本日は緊急事態宣言下で展覧会が中断されている渡辺省亭の作品を当方で展示している「自宅の展示会」の第4回目の投稿です。
まずは「神使」(仮題)という作品ですが、この作品も同じ構図の作品が複数存在し、当方でもこの作品を含めて2作品所蔵しています。
描かれているのは鳩と鹿であり、下記の理由から仮題として「神使」としています。実際の題名は違うかもしれませんね。
「石清水八幡宮と鳩」:八幡神は、皇室の祖先である誉田別命(ほんだわけのみこと)を祭神とし、誉田別命が国内を平定するときに、水先案内人となったのが鳩であったとされ、以来、鳩は八幡神の使いであるとされるようになったこと。(春日大社・鹿島神宮・厳島神社)
「春日神社と鹿」:武甕槌命(藤原氏守護神)が白鹿に乗ってきたとされることから、鹿を神使とする。
冒頭の写真は一階の茶室床の間に飾ったものです。
16.神使 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先象牙 合箱
全体サイズ:縦1910*横495 画サイズ:縦1300*横375
面白い表具となっていますが、これはもしかしたら渡辺省亭が誂えたかもしれません。
鳩と鹿、なぜ渡辺省亭がこの題材を選んだかは定かではありません。
もう一つの同構図の作品は下記の作品です。
月下の神使 その2 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1900*横515 画サイズ:縦1025*横400
大きさはほぼ同等ですが、こちらの作品のほうが絵の出来はいいようです。
渡辺省亭の落款や印章は非常に模倣のしやすいものとなっており、かつ微妙な違いの数多くの印章があるように推察しています。作品自体の出来不出来で作品の良し悪しを見極めることは肝要なようです。
次からは1階の渡り廊下の作品展示に移ります。
前回に紹介した「月下湖麗望図」とは違った構図での「石山寺」を題材にした作品です。
17.美人観月図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1910*横500 画サイズ:縦1260*横500
滋賀県大津市にある石山寺には、源氏物語の筆者・紫式部が一室でその構想を練ったという伝承があり、かつまた「石山の秋月」と近江八景のひとつに挙げられているように、古くから石山寺あたりの秋月の眺めは格別であることがよく知られていますね。
古くから土佐光起などの画家は、そうした画材をもとに石山寺と紫式部を題材として作品を描いたようです。夜空に浮かぶ秋の名月、その月が石山寺の眼下を流れる瀬田川の川面に映え、そして源氏物語の構想に思いを巡らす紫式部を描いています。内裏造営に参加した大和絵の土佐光起らしい雅な筆致で描かれている作品があります。
師である菊池容斎と同じく渡辺省亭は歴史画を題材としており、推測ですがこの作品は初期頃の作であろうと判断しています。
次はミミズクを題材とした作品です。
18.三日月ニ木菟図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先象牙 合箱二重箱
全体サイズ:縦1840*横535 画サイズ:縦1040*横415
展覧会や日曜日美術館での紹介の力作とはちょっと趣を異にする作品です。
私は嫌いではありませんが、家内の評価は辛いようです。
次は元の戻ったような花鳥画・・。
19.紅葉中双鳩 渡辺省亭筆
絹本水墨着色軸装 軸先象牙 合箱
全体サイズ:縦1840*横447 画サイズ:縦780*横335
淡い色合いの作品です。惜しいことにシミが目立つ・・。
次の作品は少し小さめの作品ですが、渡辺省亭らしい作品です。
20.梢上双禽図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦1795*横545 画サイズ:縦1022*横418
床に飾って愉しむ・・。渡辺省亭の作品で最も大事な点です。
床の間の美を愉しまむことを忘れていますね。床の間というと茶道と思う方が多いかもしれませんが、昔は茶事での掛物とは違った美の楽しみ方があったと思います。小生の子供の頃の畳の和室の寝室には床の間があり、狩野芳崖や福田豊四郎の作品を眺めながら寝たものです。
日本人はもともと欧米より美が近くにあったはずなのですが・・。
最後は今回展示出来なった作品からひとつ。
桜ニ鵯図 渡辺省亭筆
絹本水墨軸装 軸先鹿骨 合箱
全体サイズ:縦1970*横550 画サイズ:縦1140*横410
描いている花は桜・・・???
家内が「葉が違う?」
さて湿気の多い時期になってきましたので掛け軸の展示は控える時期となりました。撤収ですが、エアコンで除湿をかけていたら、状態が思わしくないような掛け軸がしっかりしてきました。掛け軸など骨董品はしまったままではNGですね。
今回の渡邊省亭の作品展示は家内に強要されて展示したようなところがありましたが、展示してよかったと思います。
まずは「神使」(仮題)という作品ですが、この作品も同じ構図の作品が複数存在し、当方でもこの作品を含めて2作品所蔵しています。
描かれているのは鳩と鹿であり、下記の理由から仮題として「神使」としています。実際の題名は違うかもしれませんね。
「石清水八幡宮と鳩」:八幡神は、皇室の祖先である誉田別命(ほんだわけのみこと)を祭神とし、誉田別命が国内を平定するときに、水先案内人となったのが鳩であったとされ、以来、鳩は八幡神の使いであるとされるようになったこと。(春日大社・鹿島神宮・厳島神社)
「春日神社と鹿」:武甕槌命(藤原氏守護神)が白鹿に乗ってきたとされることから、鹿を神使とする。
冒頭の写真は一階の茶室床の間に飾ったものです。
16.神使 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先象牙 合箱
全体サイズ:縦1910*横495 画サイズ:縦1300*横375
面白い表具となっていますが、これはもしかしたら渡辺省亭が誂えたかもしれません。
鳩と鹿、なぜ渡辺省亭がこの題材を選んだかは定かではありません。
もう一つの同構図の作品は下記の作品です。
月下の神使 その2 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1900*横515 画サイズ:縦1025*横400
大きさはほぼ同等ですが、こちらの作品のほうが絵の出来はいいようです。
渡辺省亭の落款や印章は非常に模倣のしやすいものとなっており、かつ微妙な違いの数多くの印章があるように推察しています。作品自体の出来不出来で作品の良し悪しを見極めることは肝要なようです。
次からは1階の渡り廊下の作品展示に移ります。
前回に紹介した「月下湖麗望図」とは違った構図での「石山寺」を題材にした作品です。
17.美人観月図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先骨 合箱
全体サイズ:縦1910*横500 画サイズ:縦1260*横500
滋賀県大津市にある石山寺には、源氏物語の筆者・紫式部が一室でその構想を練ったという伝承があり、かつまた「石山の秋月」と近江八景のひとつに挙げられているように、古くから石山寺あたりの秋月の眺めは格別であることがよく知られていますね。
古くから土佐光起などの画家は、そうした画材をもとに石山寺と紫式部を題材として作品を描いたようです。夜空に浮かぶ秋の名月、その月が石山寺の眼下を流れる瀬田川の川面に映え、そして源氏物語の構想に思いを巡らす紫式部を描いています。内裏造営に参加した大和絵の土佐光起らしい雅な筆致で描かれている作品があります。
師である菊池容斎と同じく渡辺省亭は歴史画を題材としており、推測ですがこの作品は初期頃の作であろうと判断しています。
次はミミズクを題材とした作品です。
18.三日月ニ木菟図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先象牙 合箱二重箱
全体サイズ:縦1840*横535 画サイズ:縦1040*横415
展覧会や日曜日美術館での紹介の力作とはちょっと趣を異にする作品です。
私は嫌いではありませんが、家内の評価は辛いようです。
次は元の戻ったような花鳥画・・。
19.紅葉中双鳩 渡辺省亭筆
絹本水墨着色軸装 軸先象牙 合箱
全体サイズ:縦1840*横447 画サイズ:縦780*横335
淡い色合いの作品です。惜しいことにシミが目立つ・・。
次の作品は少し小さめの作品ですが、渡辺省亭らしい作品です。
20.梢上双禽図 渡辺省亭筆
絹本水墨淡彩軸装 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦1795*横545 画サイズ:縦1022*横418
床に飾って愉しむ・・。渡辺省亭の作品で最も大事な点です。
床の間の美を愉しまむことを忘れていますね。床の間というと茶道と思う方が多いかもしれませんが、昔は茶事での掛物とは違った美の楽しみ方があったと思います。小生の子供の頃の畳の和室の寝室には床の間があり、狩野芳崖や福田豊四郎の作品を眺めながら寝たものです。
日本人はもともと欧米より美が近くにあったはずなのですが・・。
最後は今回展示出来なった作品からひとつ。
桜ニ鵯図 渡辺省亭筆
絹本水墨軸装 軸先鹿骨 合箱
全体サイズ:縦1970*横550 画サイズ:縦1140*横410
描いている花は桜・・・???
家内が「葉が違う?」
さて湿気の多い時期になってきましたので掛け軸の展示は控える時期となりました。撤収ですが、エアコンで除湿をかけていたら、状態が思わしくないような掛け軸がしっかりしてきました。掛け軸など骨董品はしまったままではNGですね。
今回の渡邊省亭の作品展示は家内に強要されて展示したようなところがありましたが、展示してよかったと思います。