父の友人でもあった郷里出身の画家の福田豊四郎の作品を蒐集していますが、「蛤」を描いた作品は初めて見ました。大きな作品は高価なので小作品をメインとして蒐集しており、マニアックな蒐集にはならないように努めていますが、どうも自然とマニアック的な蒐集になってきているかもしれません・・。
下記の写真の黒檀の色紙額は古くからあったもので、手前のガラスケースに入っている木調は高村光雲の作(工房作品)です。
蛤 福田豊四郎筆
紙本着色 色紙タトウ 昭和40年頃
3号 画サイズ:縦270*横240
落款から最晩年の作と推定されます。丁寧に描かれている作品です。
蛤は同一個体の殻でなければぴったりとかみ合わないことから、「貞節の象徴」され、そのことから結婚式やひな祭りで吸い物が出されることも多いとされます。貝合わせという古くからの遊戯も蛤を使うことが多いのもその理由からのようです。。
福田豊四郎は最晩年の頃には病気にて入退院を繰り返しており、大きな作品を描くことが少なく、色紙のような小作品を数多く描いています。母が見舞いに行った時にも父方の祖母にと色紙の作品を渡されたと母から聞いています。
黒檀の色紙額は下部の紐が欠損していたので、神田の草土舎に依頼して新たに飾り紐を付けてもらいました。
草土社の人のよると材質が硬くてネジがなかなか入らなかったそうです。
このような手の込んだ細かい細工の額はなかなかお目にかかれなくなっていますね。