夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

烏賊図 大野麥風筆 

2013-11-15 04:46:00 | 日本画
大野麥風展を東京ステーションギャラリーで観てから、所蔵しているはずの「鮎」の版画はまだ探していませんが、本日は肉筆画の「烏賊」の色紙の作品です。


烏賊図 大野麥風筆 
紙本淡彩
色紙サイズ:縦270*横240



無名だった画家に光が当たり始めたのは、大野風麥が原画をてがけた『大日本魚類画集』であり、東京ステーションギャラリーで公開され話題を呼んでいます。

東京ステーションギャラリーで陳列された絵を見ていると自然に吸い込まれ、図鑑の絵とは明らかに違い画趣や味わいがあり、虚心でひたむきに描いていることが魅力的な作品でした。




皮肉なことに肉筆よりも版画のほうが良いという評価を受けている傾向がありますが、肉筆で魚類を描いた作品の現存数は少なく、そういう意味では貴重な作品といえるかもしれません。


大野風麥:洋画家。東京生。名は要蔵。白馬会・太平洋画会に学ぶ。兵庫県に住した。昭和51年(1976)歿、87才。



有名なのは『大日本魚類画集』(昭和12年から19年まで6期に分け発行 500部限定)で、全72セットといわれていますが詳細は不明です。

『大日本魚類画集』は昭和十年代に部数限定&解説つきで毎月一枚ずつ販売されました。当初は水族館で魚を観察していたが、やがて海の中で泳ぐ魚を求め潜水艇に乗り込み、間近で観察し始めたそうです。

鱗の模様などを細やかに描写するとともに、生息環境をも正確に描き出した。海水魚だけではなくドジョウやメダカといった川魚も、色鮮やかに生き生きと描写されています。

2010年に姫路市立美術館でそのすべてが公開されたのが初めてで、2013年に東京ステーションギャラリーで公開されました。驚くことは「原色木版二百度手摺(てす)り」と、この木版画集のうたい文句があるように、200回も重ねて摺って1枚が完成するという手法だそうです。

一般的な浮世絵なら10回ほどだからいかに特異であったかが伺われます。それは彫師や摺(すり)師ら優秀な職人がいたからこそ可能となったのでしょうが、採算性はどう考えたのでしょうかね。




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