夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

錦秋 利倉群青筆

2013-06-28 05:09:56 | 掛け軸
骨董というものに対する日本人の考え方の中で一番問題なのは時間軸が短いということです。代々伝えていくという概念があまりのも淡泊になっています。相続税ということもあるでしょうが、いいものを長くではなく、いいものをお金に変えるという意識が強すぎる点です。

日本人はビジネスにも遊びにもスピードが一番。遅いこと、時間を費やすと言うことは悪とさえ考えるようになっています。

ビジネスにおけるコスト意識が人々の美意識に昇華させるほど日本人の生活は変化したように思います。だから孫子の代まで長持ちするような家具より、備え付けの家具のほうを好むようになっている。家具も家も30,40年持てばいいほどの発想しか浮かばないので物凄い浪費をしているのに気付かない。

消費優先の世の中で、自分というスタンスを生活の中ではしっかり持ち続けないとつまらない人生を過ごすことになります。景気回復には消費優先にどうしてもなります。目先のものばかりに消費が向き、本来大切にすべきものを壊していく、そんな風潮が強すぎます。

蔵というものもなくなり、座敷というものもなくなり、床の間というもののなくなり、掛け軸というもののなくなり、家具というものがなくなり、何を残そうというのでしょうか? スマートフォン? 高級時計? 高級車?




錦秋 利倉群青筆
絹本着色 軸先鹿角 共箱
全体サイズ:縦1750*横360 画サイズ:縦*横



鯉の作品を得意とする画家ですが、大原の里を題材にした作品もよく描いています。





それほど著名な画家ではなく、胡粉の部分が剥落していて痛んでいますが、秋の雰囲気の良い作品です。





利倉群青:明治44年大阪生まれ。師は堂本印象 京絵 日展会友 入選29 日春展1 文展1 京展関展受賞 東丘社 京都伏見区住









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