さて本日も月見にちなんだ平福百穂の作品・・。
*平福百穂においては模作や贋作、果ては工芸品が非常に多く、素人では真贋の判別が非常に難しい画家ですね。最もややこしいのが印刷、もしくは版画の精巧にできている作品です。さも所定鑑定人であった平福一郎氏の鑑定のように箱書されているものもあります。ともかく入手の判断は慎重にならざる得ない画家のひとりです。
その平福百穂の作品で筋のよさそうな作品を入手したので紹介します。
晩秋(兎) 平福百穂筆 その109
絹本水墨淡彩軸装 軸先象牙 舟山三朗鑑定(昭和43年)書添付 合二重箱
全体サイズ:縦1110*横480 画サイズ:縦345*横280
表具などの誂が非常に上出来の作品です。
波に千鳥の紋様の表具・・・。
表具や収納箱の作りがそもそも尋常ではないほどいいものです。
月を観る兎かな? 左上に月が想像されます。今年の干支の作品で月に飾る作品としては最適を思い入手しました。
この箱は腕のよい指物師によるものでしょう。
この箱からだけでも真作と判断できますね。
舟山三郎の鑑定書は一般的には全面的は信頼できないとされていますが、当方での蒐集作品ではまだ怪しげな鑑定書はありません。この作品は秋田市内からの入手で、表具などの誂えも丁寧で信頼のおける作品のようです。
本作品中の印章である朱文白楕円印「百穂」は1925年(大正14年)~1931年(昭和6年)の晩年の作品に押印され、図集の「寒冬」などにも押印されている。落款の書体から大正末期から昭和期になってからの作品であろうと推定されます・
作品の出来、誂共々筋の良い作品は気持ちの良いものです。この点が贋作類とは格段の違いがあります。
歌を詠む平福百穂らしい作品で、また収納箱や軸装も含めて楽しめます。しばし本作品を展示室に飾って楽しみます。