夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

富嶽 西山翠嶂筆 その9

2020-04-13 00:01:00 | 掛け軸
庭にはいつもより早く花が彩(いろどり)始めました。



冬の間は色気のない庭もだんだんと見所が増えてきました。



最初に咲く牡丹はいつも通りピンク色の花。



牡丹は散るのが早い・・。



次に咲いたのが紅色の牡丹。



次に咲くのは白? 義母のお気に入りの牡丹です。



庭のアクセントになっている楓の下にはバイモの花。



クマガイソウのあったところからに移植です。



例年より早いのがクマガイソウです。



長らく居ついています。



陽を浴びるとまるでラリックのランプのような透明な美しさです。



絶滅危惧種のクマガイソウは我が家の庭では増えています。



影になっていた木が枯れたので心配したのですが、今年は元気に増えています。



日本の庭は出しゃばらずが良しか・・・。これはなかなか難しいものです。ついつい花を植えすぎたり、岩などを配置しすぎたり、過ぎたるは及ばざるがごとし。



男の隠れ家から持ち込んだクロモジも元気に育っています。僅かで小さいながら花が咲きました。



さて本日の作品紹介は西山翠嶂の作品です。西山翠嶂は本ブログで幾度か投稿されている画家で、あまり知られていませんが、その功績から昭和32年には文化勲章を受章している画家です。



富嶽 西山翠嶂筆
絹本着色軸装 軸先象牙 共箱二重箱
全体サイズ:縦1450*横663 画サイズ:縦420*横512



本ブログでは西山翠嶂に関連する画家として竹内栖鳳、橋本関雪、西村五雲、門人としては堂本印象、中村大三郎らが投稿されています。

**************************************

西山翠嶂:(1879―1958) 日本画家。京都に生まれる。本名卯三郎(うさぶろう)。

1892年(明治25)から竹内栖鳳(せいほう)に師事、西村五雲、橋本関雪と並び称された俊秀で、のちにその女婿となる。

99年に京都市立絵画専門学校を卒業。1907年(明治40)の第1回文展の『広寒宮』で三等賞を受け、16年(大正5)の第10回展から『朱笄の女』『短夜』『落梅』で3年連続特選。19年の第1回帝展で審査員となる。この間、02年に京都市立美術工芸学校教諭、19年からは京都市立絵画専門学校教授となる。



29年(昭和4)帝国美術院会員、37年には帝国芸術院会員、44年に帝室技芸員となる。また33年から36年まで京都市立絵画専門学校、同美術工芸学校の校長を務め、57年(昭和32)には文化勲章を受章。代表作に『槿花』『牛買』『黒豹』などがあり、その画塾青甲社からは堂本印象、上村松篁らが出ている。

**************************************

 

共箱の裏には「梅軒画廊」のシールが貼られています。

梅軒画廊は大正初期、佐藤梅軒(本名・梅吉)が日本画家である故竹内栖鳳より「梅軒画廊」の屋号を命名され、創業している画廊です。昭和3年には京都市中京区烏丸通に店舗を構えた老舗の画廊です。

定期的に日本画新作展「梅軒展」(現在の祇園会展)を始めており、昭和8年には徳岡神泉の初めての個展を開催し、以降は村上華岳・福田平八郎等の有名画家の個展やグループ展を数多く開催しています。

 

西山翠嶂は竹内栖鳳の一番弟子と称され、さらには竹内栖鳳の娘婿でもあります。竹内栖鳳との関連から西山翠嶂が梅軒画廊と縁のあることは疑いもない事実であり、このシールの信憑性は高いと推測されます。

西山翠嶂の作域は人物、花鳥、動物、風景と多岐にわたりますが、中でも西山翠嶂の得意とするところは人物、動物です。京都伝統の円山、四条派の写生を根底として作風を西山翠嶂は展開しました。動物画の作品は他に投稿されている作品を参考にして下さい。

駿馬扇面図 西山翠嶂筆 その7
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 共箱二重箱
全体サイズ:縦1130*横640 画サイズ:縦160*横520



もともと当方では「西村五雲」の作品を蒐集するうちに西山翠嶂の作品にも惹かれて蒐集を始めた経緯があります。

月下猛虎図 西山翠嶂筆 その6
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 合箱
全体サイズ:縦1910*横560 画サイズ:縦1070*横410



当方の蒐集はじっくりと構えたスピード感で行われ、財布に事情にあった手頃な作品ばかり蒐集していますので、それほどの佳作はないかもしれませんが、本当に気に入った作品ばかり蒐集したつもりです。

牡丹図 西山翠嶂筆 その5
紙本淡彩軸装 軸先朱塗 共箱
全体サイズ:縦1220*横552 画サイズ:縦315*横422



西山翠嶂は、早期には歴史人物画が多いのですが、次第に抒情味にあふれる人物画に移り、晩年は動物画や山水に洗練された技法を示しています。

晩涼 西山翠嶂筆 その4
絹本水墨着色色紙 共箱入
画サイズ:縦272*横242



資金が豊富な時ほど碌な作品が集まらないという格言がありますが、贋作をつかむという側面とともに身の丈に合った作品を入手しなさいということでしょう。財布の事情に合った、それでも多少はちょっと無理をした購入が後日、いい作品であったと感じることができるということを改めて感じます。

寒雀 西山翠嶂筆 その3
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 共箱二重箱
全体サイズ:縦2040*横420 画サイズ:縦1250*横290



このような改めて蒐集した作品を眺めていると、自分の趣向がよくわかるような気がします。

秋野 西山翠嶂筆 その2
絹本軸装淡彩 共箱二重箱
全体サイズ:縦2055*横480
画サイズ:縦1255*横320



下記の作品は小生が蒐集し始めた初期の頃の作品で、もう30年以上前に購入した作品です。

双燕 西山翠嶂筆 その1
3号(色紙)額装絹本着色タトウ



西山翠嶂の描く作品の特徴は、師匠である竹内栖鳳から受け継いだ軽妙洒脱な、とてもモダンで洗練された作風で知られ、そのどこか艶やかさも感じる作風で評価を高めています。

多くの画家が描いた「富嶽」・・・、京都画壇で「富士」を描くというのは珍しいかもしれませんが、師である竹内栖鳳も描いています。

夏富士 竹内栖鳳筆
絹本着色軸装 共箱二重箱 画サイズ240*263



上記の作品は叔父が所蔵していた作品ですが、子息らが売却して手放したようです。価値の解らぬ者は常に目先の金銭に欲がくらむ者と蒐集する者としては嘆くしかありません。同時に手放したのが片岡球子、上村松園、高村光雲、棟方志功・・・。

とある大物俳優の娘さんがテレビで親の所蔵していた中国古画の名品を売り飛ばしていた映像がありましたが、とくに昔美形?の女性は骨董品をお金に換金したがるようです。ちやほやされるにはお金が必要なようで、美形の先には守銭奴の形相があると知るべし・・・。

下記の作品は当方で購入した「夏富士 竹内栖鳳筆」です。

夏富士 竹内栖鳳筆
紙本着色軸装 軸先象牙 共箱二重箱 
全体サイズ:縦2130*横432 画サイズ:縦1260*横300



さて常に蒐集は過去の作品を振り返りつつ、今の蒐集のレベルを上げていくもの。そのためには過去の蒐集作品を愉しめる気持ちが大切でしょう。そのことが蒐集の継続を促すものですね。仕舞いっぱなしは蒐集のレベルの向上なし・・



骨董蒐集の作品は庭に咲く花のごとし。手入れをし、勉強し、愛しむ、そして飾る場所は誂えが大切。草ぼうぼうの庭には花は映えぬもの。多すぎては過ぎたるものは美観を損ねるもの、骨董も数が多ければいいというものではない


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。