Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

無料情報の客観主義

2005-08-10 | 文化一般
フランクフルトでウィキの初会合が開かれて米国人創始者ジミー・ウェールスが顔を見せている。非営利企業として4年前に始めたというが、お馴染の様に皆がお世話になっている。今後も拡大されて、非営利の態度を貫くようで興味深い。サーヴァーをヤフーやグーグルに提供して貰っているというが、これらのように営利化として上場という道を踏襲しそうにはない。しかしドイツのウィキの会などは、広告収入を見込んでいるようで、そのようになると現在の哲学は通せないだろう。時間の問題となる。

最大の特徴は、周知のように無料で情報を提供して、全ての協力者も無料で作成している事である。これによって、何らの階級制度が存在せず、限りなく自由に近い空間であると創始者は言う。それゆえに、編集者の校訂が無くとも、マスの行動で淘汰され、其れほどには逸脱しない情報を提供する事が出来ていると思われる。

ここで気が付くのは、当初は編集合戦となるような話題においても、最終的には双方の論理を並列して紹介して行く 客 観 に徹すると想像される。つまり、最終的に落ち着く所は、相対的な視点と言うよりも均一化された視点と言えようか。実際にここの情報を使う時に、他の情報源と較べるようとしても、その情報が既にここの情報の孫引きとなっている可能性が今後増えるだろうから、必ずしも各々の情報を吟味する事にはならない。

反対に学会や研究機関のサイトの論文の方が、全面的に開放されて批判に曝されないと、不確かな情報の巣窟となる可能性が高い。本来は重要なネットの一要素であったこれらが往々にして、一般無料全面開放されていない方が問題であろう。情報は、所詮引用であり、独自性を以ってその積み重ねから逸脱していると考えると、このように権威付けられて相対化された情報は寧ろ個人的な 主 観 に徹すると言える。

出版社ブロックハウス社は、このウィキの活動を批判しているが、「時が立つとその百科辞典の権威ある情報こそ使い物にならない代物はない」と誰もが知っている。

更に創始者の通称ジンボは、彼の理想主義の下、大きな野心も持っているようである。つまり、これは教育や情報の経済からの開放と言えるかもしれない。独立ニュース部門の充実と、特に政治的に抑圧された中国や第三世界、階級社会への時事・教育情報やマルチメディア情報の配給も計画しているという。既に現在世界トップ50に含まれるこのサイトは、ネットの将来だけでなく情報社会の今後を左右することになるのだろう。
コメント (2)
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