Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

交差する実験予測と命題

2005-08-13 | 数学・自然科学
独日協会へハイデルベルク大学医学部内科から論文作成の為の生体実験協力者を探している旨の連絡があった。実験の内容を詳しく見て行く。

最近比較的話題になっている薬剤代謝の遺伝子別研究を、既に市販されている「カビ防止剤」を使って行うようである。遺伝子により肝臓で供給される酵素に差があるので、薬剤を代謝する能力が人種によって大きく異なる事象を言う。この酵素の種類によっては、人種差が大きい。これを、薬品を投与する事で、代謝されて血液に集積される量や尿への排出を調べると、投薬の効果の差が推測出来るという。その資料をもとに其々の試験者の遺伝子型を詳しく調べる事で、酵素の差の遺伝子別の特性が現れるという研究であるようだ。博士論文のために企画されたようだが、非商業的といっても製薬会社には貴重な資料となるであろう。少なくとも手元の実験計画書抜粋では、この全く違う命題の実験意図が分からなかった。遺伝子調査の結果も知らされないというのも非常に疑問に思われる。

さて酵素と聞くと一般的にはアルコール代謝酵素を思い出し、大酒飲みは必要も無いのに事改めて自分の代謝能力を知りたいと願う。アルコールを飲んで肝臓で、チトクロームP450 (CPY2E1)酵素の助けでアセトアルデビドとなり、更にこれが酵素で酢酸となりクエン酸を経て炭酸ガスと水に分解され代謝されるとなっている。この酵素が十分生成出来ないのは、モンゴロイド系の日本人等の遺伝子に特有の現象であるのは周知の通りである。

さてチトクロームP450 ファミリーのCPY2C19ならびにCPY2C9と云うのが今回重要なスクリーニング要素となっている。つまりこれらの分布特性が顕著に現れるモンゴロイド系は貴重な試体となる。前者などはイタリア人には欠けているなど民族的特長もあるようだ。遺伝子染色体クロモゾモでは10q24と云われるものらしい。更に面白いのは、アルコールを飲みつけたり、飲みすぎると血中のエタノールにこれら酵素が総動員して代謝に働くようになるので、酒飲みには薬が効かないと云うようになるらしい。そうなると、薬物が代謝されないから薬物の血中濃度に現れる。

この薬が効かない、効き過ぎると云うのが投薬上重要な要素で、遺伝子型を簡易に認定する試薬などが開発されて、薬学上の適量滴定が出来るように見込まれている。経済効果は、投薬上の医療ミスを減少させる事にもなる。

さて、上の実験参加への要綱を詳しくなぞると、拘束時間の長さや運転の禁止、グレープフルーツジュースやコーヒーの禁止、日光浴禁止などの制限、最低65回採血に対して、490ユーロと謝礼は低い。学生相手にも見付からなかったのだろうか?倍の報酬ならば考えてみようかと思ったが、飲酒の制限や常習飲酒で事前判定で落とされそうである。

そして薬品自体が、黴の細胞膜形成を抑えるため日和見感染等の免疫系の症状である対カンディオゼ(Candida)などに効用がある。このようなものを摂取すると必要な時に効かなくなる可能性は無いのだろうか?またこれら酵素の働きは、向精神薬の効果などにも影響するという。

健康に留意している方!ハイデルベルクで二泊五食付きで、大学病院で事前健康診断受けれます。ハーブ茶も期間中飲む事が出来ます。協力希望者の女性の方には、影響が不明の妊娠を避けるために期間中に二つの有効な避妊方法も指導して下さるそうです。
コメント (5)
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