Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

美学的な豪華絢爛

2022-08-03 | 文化一般
今回のザルツブルク訪問はその大劇場に二十年以上ぶりに足を踏み入れたことになる。最後は覚えていないが、サリアホのオペラではないかと思う。ザルツブルクが嫌になっていかなくなったのではなくて、ヴィーンの副首相故ハイダー博士が少女凌辱を起こしたベルギー人モルティエ監督を追い出したからボイコットしたに過ぎない。

それで久しぶりの大劇場を堪能した。この間私自身も様々な会場を経験していて更にオペラ上演に関してはお勉強させて貰った。だからオペラに必要な要素を学んだ。先ずは視覚的に、フォンカラヤンが大阪の当時のフェスティヴァルホールの印象をもとに舞台からの距離の大きくない客席を実現するために、大阪に倣って横幅15mとして更に扇状に広げることで等距離も実現させた。

今回は特別いい席を配券されたので、バルコン五列目は初めてだった。その視覚的な利点はとても実感された。同じ距離感をミュンヘンやバーデンバーデンで得られるのは特別な座席しかない。勿論安い席だったので、一番端に追いやられたので音響的には若干壁からの反射があったのだが、歌手の歌う向きなどによってであって苦には殆どならなかった。そして高さからしてもテキストは明瞭だった。これもミュンヘンの上階よりは良かった。実際に同じ価格で、ミュンヘンならばバルコンに座れるのでそれはそれで悪くはない。但し眼鏡があってないものだから遠い方のテロップの独語は読めずに近い方の英語で我慢した。

音響に関しては収容人数もバーデンバーデンほど大きくないので、比較的小ぶりな容積乍音がそれほど残るようなことがなく癖はない。日本から来る人などがコンサート会場としては悪いとか評価するのはそうなのかもしれない。その点では昔のフェスティヴァルホールよりもドライだが、ザシムフォニーホールの様に飽和はしない。但し静雑音が大きく喧騒感があるかもしれない。ケルンのフィルハーモニーなどでも似たようなことは聞くので形状上の欠点なのだろう。

オペラ上演上の特徴はその舞台形状であろうが、カラヤン劇場だっただけに平土間がスロープしていて、指揮者がそこからでも見やすい。それは正直今回迄気が付いていなかった。カラヤン指揮ベルリナーフィルハ―モニカーもこんな距離感でやっていたのだ。因みにバーデンバーデンでそれに匹敵する席はサイドのバルコンぐらいか。また、ローゲも使ったことはないのだが、悪くはないとも思った。反対に正面バルコンの最前列は現在はカメラやら照明装置があって決して良くない感じだった。その意味からも今回の席は取り分けよかった。来年も同じようなものを配券して貰えるのかどうかは分からないが、今年はコストパフォーマンスは良かった。


独仏文化放送局Arteが復活祭の「スペードの女王」を流す日程を発表した。8月21日である。メディア発売化などは出ていないので、しっかり観てDLしておかないといけない。出来るだけいい音質で流して欲しい。それに伴って制作会社からトレイナーが出された。それを観て、なによりも映像が美しいのに驚いた。確かに舞台を売春宿に移してネオロココを上手に舞台演出化したので豪華絢爛である。同時にカラヤン時代とは異なる美学的な視点がある。本公演は四回全て通ったが、またカメラは二回しか回していなかったが、音響的には当然のこと映像的にもとても期待される。ザルツブルクとの音響的な利点はこれでも分かるような放映水準を待ちたい。
Festspielhaus Baden-Baden: Tchaikovsky: Pique Dame - Trailer



参照:
音楽劇場指揮者の実力 2022-08-01 | 文化一般
百年祭記念の映像制作品 2021-02-25 | 音
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