Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

新鮮で刺激的な展開

2023-12-05 | 
承前)フランク・ザッパの命日は12月4日らしい。金曜日に演奏された録音を聴いている。最初の「While You Were Art II (1986) 」のシンセイザー擬きは名演であるが、調べると2016年にプラハで管弦楽団版が初演で、録音等がネットで容易に見つからないので、演奏回数は少ないのだろう。指揮者エンゲルは初演魔であるとともに、昨年のハース作曲「ブルートハウス」指揮のように再演若しくは再再演ぐらいで振ると決定的な演奏を行っている。

二曲目に演奏された「Revised Music for Low Budget Symphony Orchestra (1969) 」はイエローシャークという企画で、ザッパの死の直前にフランクフルトのアンサムブルモデル―ンで演奏するようにアスキンという人によって管弦楽化されたシリーズのようで、オリジナルの演奏はCD化されている。それを聴くと今回の演奏とは大分異なっている。第一印象はとても古びているという感じで、その専門楽団が当時前衛的に活躍していた響きを伝えている。現在も活動は続いているようだが、面子を見てもとても老けていて、前世紀の化石という感じが免れない。その様な演奏がそこでは展開されている。
Revised Music For Low Budget Orchestra


今回の演奏では戦後の新しい放送交響楽団ではありながらもそもそも古典的な交響楽団形態であって、新しい音楽の為のアンサムブルとは音楽的にも大分異なっているのが余計にザッパのオリジナルの音楽と1980年代に響いていた当該楽団を髣髴させる。それほどに今回の演奏がとても新鮮で刺激的な展開となっている。

取り分け興味深いのは、LPなどの発達で若しくは1960年代のステレオ録音技術などによって些か古めかしい響きとは言ってもそれも百年後にも耳に残る音として記憶に残るという嘗てなかったような体験をするようになって来ていることだ。嘗ては百年前の音などは誰も知らず、憶測で想っていたに過ぎなかった。

そうした現象と史観を扱って芸術作品としたのが、九月末に再演されたステン・アンデルセン作の「Play Big」であった。何故この作品が21世紀前半を代表する作品であるかの証明である。そしてそれはエンゲル指揮の再演で本来の効果を示していた。エンゲルが21世紀前半を代表する指揮者であることは、「ブルートハウス」の再演と共に最早否定しようがない。

指揮者と言えば、ザッパのところにブーレーズ作品の録音を持ち込んだのはアメリカに移ってからのストラヴィンスキーの傍らでアシスタントであった指揮者のロバート・クラフトと書いてあった。実は西海岸ではバークレー校などの音楽家ともコンタクトがあって、こうしたアメリカでの音楽創作がどのように流れているかには関心もあって、全く想像がつかないというものではない。思いの外小さな世界なのである。

YouToubeにもあるのだが、今回の生中継放送でやはりなんといってもアレクス・ぺクストンの話しやら、その二曲の作品がやはり奇異でもあって、最も評価するのも容易ではない新機軸のものだった。世界初演の曲で批判して切り捨てられるものは決して少なくない。寧ろもう二度と関心をもたないでいいという作曲家は幾らでもいる。しかしこの作曲家はもしやととても気になるところがあって、もう少しじっくり聴いてみないと判断が付かない。



参照:
タイヤ交換の予約完了 2023-11-25 | 生活
Play Bigの新たな指揮者像 2023-07-20 | 文化一般
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