Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ヘテロセックスの暴力

2023-12-30 | 文化一般
出かける用事がないと起きられない。二度寝して仕舞った。そしてお天気が良いとそのうちにと思って一っ走りする。疲れて早く寝れるといいのだが、夜は夜で活動となる。

イヴの魚のテリーヌは今年も悪くはなかった。以前は三種類ぐらい売っていたが、今年は一種類しかなかった。注文しておかないといけないのかもしれない。リースリングを食事に合わせるのは容易ではないが、こうした白身のものはやはり合う。

頭は年末の献立へと移るのだが、手軽で無精が出来て飲めるものが欲しい。結構素材はあると思うのでなんとかなるだろ。

シュトットガルトの劇場での新制作「影のない女」の三幕を観た。そして幾つかの初日の批評を読んだ。一番気にしたのは三幕の皇帝と皇后のペアーデュオをその前の水子の歌からカットしたことだ。それを知ってから三幕を観ると予想通りにこの楽劇の核を抜いていた。ここは特にカトリック圏においては大きな意味を持つところで、上野の文化会館でハムブルクの劇場による上演に接しなかったら移住はしていなかったところでもある。

その代わり妊娠によって得られるのはローズマリーの赤ちゃんの様に怪物でしかない。それも男性二人が妊娠をしている。様々な解説が為されているが、演出は多くを「魔笛」に依っていて、それの現代版となるが、皆目分からないというのが実態だ。上演上の問題の多い楽劇で途方に暮れるとあるようにお客さんはブーイングも出来ていない。

SF作りにしたのはヘテロセックスにおいても妊娠の行為自体が暴力的なものであってと、ある意味女性への視線を投げかけてはいる。つまりそれだけの為に手の込んだ設定をしている。怪物が核の汚染によって生じたとすればさらに馬鹿らしいのでブーが起きやすかったであろう。つまり適当に成功へととの演出で、それは指揮者にとってもコンセプトとなっていて、到底客演のエンゲルのような音楽劇場の第一人者でないことも分かる反面、比べる迄もなくバーデンバーデンでのペトレンコ指揮とは比較のしようがなく、音楽的に振り切れていない。特に三幕始めの最も美しいデュオでもテムポ運びが緩んで仕舞う。ドイツの劇場では屈指の指揮者ではあるが、故ザヴァリッシュなどにも似てもう一つメリハリがつけられない。それでも先行したリヨンでの「75名の室内楽編成」上演の指揮ルストーニよりははるかに素晴らしかったのは当然だろう。

どの新聞も書くことがあまりないのでいつも以上に奈落と歌手のことに多くを割いているが、一致するところはロールデビューとなったブルンスへの評価で、恐らくもう少しベルリンなどの小さなところで歌ってミュンヘンでもデビューするだろう。ヘルツェリウスに関しては必ずしもいつも力強いわけではないとしていて、あの唱法では表現に限界があることを示している。

シュトッツガルトのような客演を抑えるアンサムブル劇場で99名の奈落と舞台上の五人の主役他多数の脇役を纏めた手腕の音楽監督としては評価したいが、同時にそれ以上には指揮できていないのが確認された。
Stream: Die Frau ohne Schatten | Staatsoper Stuttgart 三幕2時間7分から



参照:
明けるのか大晦日 2023-12-28 | 文化一般
原罪のエクスタシー 2023-04-16 | 文化一般
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