ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

荷風

2011年02月25日 | Weblog

 

 

起動するとき、パスワードを設定したおかげで余計な手間がかかってしょうがないのパソコンにもやっと慣れてきた。それにしても、安全性確保のためのいろんなお知らせがちょっと鬱陶しい。

ところでこのパソコンのない時に読んだ本に、面白い文章を発見した。永井荷風の「日和下駄」というエッセイの中の文章だ(何故荷風かというのは、本屋の棚を見ていて他に興味を惹くものがなかったからと)。以下原文より。「当世人の趣味は大抵日比谷公園の老樹に電気灯を点じて綺麗綺麗と叫ぶ類のもので、清夜に月光を賞し、春風に梅花を愛するがごとく、風土固有の自然美を敬愛する風雅の習慣今は全く地を払ってしまった。」実は最近感じていたことと全く同じだったので思わず「そうそう」と頷いてしまった。確かに電飾の明かりは綺麗であるが、良いとはぜんぜん思わない。特にこのところ一気に普及したLED、あの人工的な青い光がうら寂しささえ感じさせるのだ。むしろ昔の裸電球一つのほうが風情があった。

他にも、路地歩きの楽しみや、詰まらないものを発見しては自分だけで喜んでいる世界とか、何だか荷風の趣味と同じ自分が笑える。これは悲しむべきことなのか。まあしかし、そうなっちゃったものはしょうがないでゲスね。

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