
人種差別が根強く残っている田舎の小さな町が舞台。そこで娘がレイプ殺人で焼き殺された母親が主人公。警察の捜査が進まないことに苛立ち、それに抗議するために大きな看板を三つ(赤字に白抜き文字で田舎には似合わず結構お洒落)出したことにより起こる騒動がその内容。しかしこの母親完全に常軌を逸し暴走する。殺された娘は娘で真面目ないい子ではなくバカ娘。別れたDV旦那は若い娘と暮らしている。警察官はこてこての差別主義者でしかも直情径行型。しかし上司である署長はかなりまともというか結構良い人。その署長に対しての母親は、権力に対して戦う闘士というより嫌な奴という立場のモンスタークレーマーに近い。だから、見てる人はこの母親にまず感情移入できない。よくある腐った権力機構に戦いを挑む正義の味方という分かりやすい構図の映画ではないのだ。むしろ母親の暴走ぶりをはらはらしながら見る映画と言った方が良い。見終わっても決してスカッとはしない。がちょっと希望は抱かせる。まあトランプが大統領になる国の実情が良く分かる映画、とでも言っておけば尤もらしくまとめられるかも。