ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

ノマドランド

2021年04月27日 | Weblog


現代のアメリカで遊牧民のように暮らす人々を描いた「ノマドランド」、アカデミー賞を受賞して少しは観客も増えるだろうか。この前見に行ったときは貸し切りだった。季節労働者のようにあちこちを車で生活しながら渡り歩く主人公が、職場やトレーラーハウス専用の駐車場で出会う同じような仲間との触れ合いをドキュメンタリータッチで描くこの映画には物語として盛り上がりはない。あるのは自然の風景。束縛されない自由な生活を選んでいるが、それは孤独死との隣りあわせでもある。そんなことは重々承知している人達の緩い関係は、ともすれば閉鎖的なコミューンになりがちな集団とは一線を画している。今流行りのソロキャンプ集団のような趣もある。基本的には資本主義に疑問を抱いているが、職場がAmazonだったりと、矛盾を抱えながら生きていくしかない彼らの姿はそのまま現代社会のある現実を映している。

と、こんな真面目な映画なので観客も少ないという訳だ。
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