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いきなりの梅雨明け宣言。
虚を突かれた、という大袈裟な話でもないが、今年は
いやに呆気なかった。
というわけで夏、今年初めての「霧が峰」に出動。
その前にマイフィールドに寄っていく。
流石この時期は「ミドリシジミ」系の最盛期、何十匹
もコナラなどの梢を飛んでいる。
光の具合で、金属的な緑色がちらちらと光り(或いは
メタリックブルー)、かなりきれいだ。
唯、高いところにいるばかりで、なかなか写真を撮れ
る位置まで降りてくれない。
当然、その種類も判らない。
そして、霧が峰。
今回は「池のくるみ」の湿原周回コースを歩く。
「車山」の方は、ニッコウキスゲのシーズンでもあり、
相当な人が押し寄せているのは想像に難くない。
しかし、ここには人がいなかった。
車は数台止まっているので、いることはいるのだろう
が、ざっと湿原を見渡した時には、人影はなかった。
新鮮な「コヒョウモンモドキ」や「ヒメシジミ」がち
らちら舞うコースを歩く。
軽く歩くにはこのコースは最適で(三キロちょい)、
人はいないしかも風景は良いと条件は揃っているのだ
が、「霧が峰」の中心からずれているので全く静かで
ある。
こちらからするとあり難いが、それにしてももう少し
人が多くても、とは思う。
周回コースの真ん中も過ぎた頃に、前方に人影が見え
た。
60前後のおやじ二人だ。
それは良いのだが、どうも態度に落ち着きがない。
盛んに一人が、こちらの方を気にするのだ。
よく見ると、なにやら捕蝶網のようなものをさっと振
り回している。
しかも、こちらの視線を気にして直ぐにそれをしまう
のだ。
どうも、折りたたみ式の捕蝶網のようで、網の部分が
直ぐに収納できて、一見唯のステッキのようにしか見
えないようなものなのだ。
二三十メートル先なので、よくは見えないのだが、そ
んな仕組みらしい。
等距離を保ち、前を進む二人組。
明らかに、後ろめたさを感じている。
柵内は収集は禁止されているが、歩道上は禁止はされ
てないようだが、常識的にはここで収集は如何なもの
か、という周りのコンセンサスを感じてのことだろう
が、そんなにこそこそするのだったら最初からがやる
な、と言いたいところである。
しかも、いい歳したおやじが。
よく、希少種を狙いに収集家が来て、大体それはいい
歳したおやじだ、というのは聞いたことがあるが、こ
れがそれかと初めて確認した。
「コヒョウモンモドキ」でも採っていたのだろうか。
そんな等距離を保っていたおやじの一人が(先ほどか
らこちらを気にしていた)、突然踵を返した。
おいおいどうした、何か文句でもあるのか(言いたい
のはこちらだが)、と思っていたら、「ステッキなかっ
たですか」と聞いてきた。
どうもカメラの三脚をどこかに置いてきたらしく、そ
れがないのに今気づいたらしい。
こちらの視線に気付き慌ててた時忘れたのではないか。
いずれにしろ、知らないので「あれば気付きますよ」と
言った。
二人は、今来た道を後戻りした。
そして殆ど周回コースも終わろうという時、うしろから
大きな足音が。
例のおやじが走って、もう一度なかったかと確認しに
来たのだ。
ここではたと気付いた。
嫌がらせで三脚を隠したとこちらを疑っているようだ。
全く困ったおやじ共である。
帰りに車を確認すると、所沢ナンバーの4WDの真新しい
のが止まっていた。
この世代が日本を駄目にするのか、と思わずはいられ
ない高原の出来事だった。
ということは、あの看板紛らわしいので、全面禁止に変えてくださいよ。