『羽州ぼろ鳶組』シリーズのスピンオフというか外伝の2作目が出ました
『恋大蛇 <羽州ぼろ鳶組 幕間>』 今村翔吾著 祥伝社文庫
シリーズとしては10作目の『襲大鳳<上・下>』が出たのが一昨年の10月ですから久しぶり、待ってましたの三本立てです。
第一話 流転蜂 は八丈島に遠島となった流人が実は火消番付にも名を列ねたほどの火消であったというお話。
この火消は江戸三大纏師に数えられた出羽本庄藩火消組頭取だった鮎川転で、文庫本の既刊紹介をちょっと見てみたのですが、おそらくシリーズ6作目の『夢胡蝶』の主要な登場人物だったと思います。
流人ではありますが、その姿に憂愁や悲哀、卑屈さなどはなく、自分の罪と向き合い折り目正しくきちんと日々を送っていて、好感のもてる男として描かれています。
第二話 恋大蛇 は本シリーズの主人公出羽新庄藩火消組頭取松永源吾さんの盟友、淀藩火消組頭取野条弾馬さんが妻を娶るまでのお話。
京都の大旅籠緒方屋と縁のある弾馬さん、緒方屋の一人娘紗代が自分に思いを寄せていることを薄々感じ取ってはいながら、火消というわが身を思えば妻帯は出来ぬと考えていますが。
紗代さん、源吾さんの奥方深雪さまに通じるものがあるような、ストンと太い芯が1本通っているような女性です
第三話 三羽鳶 は源吾さんたち黄金の世代より少し下の世代の火消たちのお話。
黄金の世代に憧れ敬いながら自分を見失うことのない、め組の頭銀蛍の銀治、医師でもあるけ組の頭白毫の燐丞、仁正寺藩火消頭凪海の柊与市の三人が縄張りの垣根を越えて力を合わせ事件を解決に導くのですが、三人とも好い漢です。
それにしても与市さんの荒事の腕前ときたら…
前作『襲大鳳』がその前の外伝『黄金雛』を引き継いでの壮大なお話でしたから、これが集大成ってことでシリーズはおしまいなのかなぁと思ってもいましたが、今作を読んでみると
終盤で“そのときにはよろしく”と田沼の使者から頼まれて承引した転さんという伏線
終盤で大坂火消の頭と弾馬さんが楽し気に語り合っている“江戸火消との腕比べ”という伏線
黄金の世代を引き継ぐであろう世代に銀波の世代という素敵な呼称がついたこと
などを考えると、シリーズはまだ続くわね
『恋大蛇 <羽州ぼろ鳶組 幕間>』 今村翔吾著 祥伝社文庫
シリーズとしては10作目の『襲大鳳<上・下>』が出たのが一昨年の10月ですから久しぶり、待ってましたの三本立てです。
第一話 流転蜂 は八丈島に遠島となった流人が実は火消番付にも名を列ねたほどの火消であったというお話。
この火消は江戸三大纏師に数えられた出羽本庄藩火消組頭取だった鮎川転で、文庫本の既刊紹介をちょっと見てみたのですが、おそらくシリーズ6作目の『夢胡蝶』の主要な登場人物だったと思います。
流人ではありますが、その姿に憂愁や悲哀、卑屈さなどはなく、自分の罪と向き合い折り目正しくきちんと日々を送っていて、好感のもてる男として描かれています。
第二話 恋大蛇 は本シリーズの主人公出羽新庄藩火消組頭取松永源吾さんの盟友、淀藩火消組頭取野条弾馬さんが妻を娶るまでのお話。
京都の大旅籠緒方屋と縁のある弾馬さん、緒方屋の一人娘紗代が自分に思いを寄せていることを薄々感じ取ってはいながら、火消というわが身を思えば妻帯は出来ぬと考えていますが。
紗代さん、源吾さんの奥方深雪さまに通じるものがあるような、ストンと太い芯が1本通っているような女性です
第三話 三羽鳶 は源吾さんたち黄金の世代より少し下の世代の火消たちのお話。
黄金の世代に憧れ敬いながら自分を見失うことのない、め組の頭銀蛍の銀治、医師でもあるけ組の頭白毫の燐丞、仁正寺藩火消頭凪海の柊与市の三人が縄張りの垣根を越えて力を合わせ事件を解決に導くのですが、三人とも好い漢です。
それにしても与市さんの荒事の腕前ときたら…
前作『襲大鳳』がその前の外伝『黄金雛』を引き継いでの壮大なお話でしたから、これが集大成ってことでシリーズはおしまいなのかなぁと思ってもいましたが、今作を読んでみると
終盤で“そのときにはよろしく”と田沼の使者から頼まれて承引した転さんという伏線
終盤で大坂火消の頭と弾馬さんが楽し気に語り合っている“江戸火消との腕比べ”という伏線
黄金の世代を引き継ぐであろう世代に銀波の世代という素敵な呼称がついたこと
などを考えると、シリーズはまだ続くわね