ふと思い出したことがあってね
昔、といっても私が20代の頃のことだけど…。
テレビの演芸番組かなにかで、落語家がさる大師匠にまつわる逸話を語っていた。
語っていたのが誰で、大師匠が誰だか、名前は忘れてしまった…
曰く…。
大師匠が高座に上がり、座布団に座ると客に向かってお辞儀をしたまま顔を上げない。
なんとお辞儀をした姿勢のまま寝ている。
袖で様子をみていた弟子だか前座だかがみかねて起こしに近づいてきた。
すると客席から声がかかった。
「寝かしといてやれぇ」
以下どう展開したか覚えていない…
ただ、その瞬間思ったんだよねぇ、
あらぁ、粋だねぇ…
って。
いまだったらそうはいかないよね。
落語家が高座で寝るとは何事かとか、プロとしてなってないとか、お叱りというより非難轟々でしょう。
客だって木戸銭返せって騒ぐだろうし。
結果、その落語家さんは謹慎とか干されるとか…。
やれやれ…
でも、その時代の人は違ったんだね。
「寝かしといてやれ」
だもの。
考えてみればさ、高座に座った途端に寝ちまった大師匠の姿なんて滅多に見られるもんじゃない。
上手い噺を聞くよりも語り草になる、その場に居合わせたんだぜ…って。
もしも寝言でも聞けたなら儲けもの。
目ぇ覚ましたときの顔が見てぇ…、なんてワクワクしながら眺めていたかもしれない。
なんだかそういうのって、心にゆとりがあるかどうかの違いよね。
木戸銭払って噺を聞きにきてんだから木戸銭の分きっちり聞かせてくれりゃそれでいいっていう損得勘定と、木戸銭はともかくその時その場の状況を楽しんじまうっていう感性。
…とここまで書いていて、つくづく「寝かしといてやれ」のゆとりをなくしちゃいけないな、と思う。
他人に対しても、もちろん自分に対してもね
昔、といっても私が20代の頃のことだけど…。
テレビの演芸番組かなにかで、落語家がさる大師匠にまつわる逸話を語っていた。
語っていたのが誰で、大師匠が誰だか、名前は忘れてしまった…
曰く…。
大師匠が高座に上がり、座布団に座ると客に向かってお辞儀をしたまま顔を上げない。
なんとお辞儀をした姿勢のまま寝ている。
袖で様子をみていた弟子だか前座だかがみかねて起こしに近づいてきた。
すると客席から声がかかった。
「寝かしといてやれぇ」
以下どう展開したか覚えていない…
ただ、その瞬間思ったんだよねぇ、
あらぁ、粋だねぇ…
って。
いまだったらそうはいかないよね。
落語家が高座で寝るとは何事かとか、プロとしてなってないとか、お叱りというより非難轟々でしょう。
客だって木戸銭返せって騒ぐだろうし。
結果、その落語家さんは謹慎とか干されるとか…。
やれやれ…
でも、その時代の人は違ったんだね。
「寝かしといてやれ」
だもの。
考えてみればさ、高座に座った途端に寝ちまった大師匠の姿なんて滅多に見られるもんじゃない。
上手い噺を聞くよりも語り草になる、その場に居合わせたんだぜ…って。
もしも寝言でも聞けたなら儲けもの。
目ぇ覚ましたときの顔が見てぇ…、なんてワクワクしながら眺めていたかもしれない。
なんだかそういうのって、心にゆとりがあるかどうかの違いよね。
木戸銭払って噺を聞きにきてんだから木戸銭の分きっちり聞かせてくれりゃそれでいいっていう損得勘定と、木戸銭はともかくその時その場の状況を楽しんじまうっていう感性。
…とここまで書いていて、つくづく「寝かしといてやれ」のゆとりをなくしちゃいけないな、と思う。
他人に対しても、もちろん自分に対してもね
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