■ 雇用の回復無き経済の回復 ■
<ロイターより引用>
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-12255620091102
[ワシントン 2日 ロイター] オバマ米大統領は2日、向こう数週間か数カ月間に雇用が一段と失われるとの見方を示した。一方で、1月の大統領就任以降に経済は上向き、大きく足場を固めたと述べた。
大統領はホワイトハウスで行われた経済再生諮問会議の会合に先立ち、現在の失業ペースは「悲惨」とし、労働市場はすぐには改善しないとの見方を示した。「向こう数週間か数カ月間に、引き続き一定の雇用喪失が見られると予測する」と述べた。
<引用終わり>
先進国の雇用は回復していないのに、
企業収益は改善しています。
何故でしょう?
答えは簡単で、リストラで雇用を削減しているからです。
世界の株価は、企業収益の発表で上向き、
失業率や消費動向の発表で下降する事を繰り返しています。
■ 表面上復活した金融機関 ■
現在、高い収益を上げているのは金融機関です。
リーマンショックで致命的な打撃を被りながら、
政府の支援で倒産を免れ、
さらに金利1.3%で潤沢に供給されるドルを、
金利3.5%のアメリカ国債で運用しているのですから、
彼らは将来のアメリカ国民の負担と引き換えに、利益を出し続けています。
この手法事態はバブル崩壊以降の日本政府と日本の金融機関の関係でもあります。
日銀やFRBがお札を刷りまくって、そのお金で国債を購入する訳ですから、
これは借金の時間的な付け替え以外の何物でもありません。
■ 資金流動性が完全に絶たれている ■
アメリカは現在日本のバブル崩壊とそれに続く失われた10年を追体験しています。
1) 不動産バブルの崩壊(サブプライムローン)
2) 流動性の崩壊
3) 金融機関の経営破綻
4) 金融機関への資本注入
5) 超低金利と量的緩和の実施
6) 消費の落ち込みとデフレスパイラルの発生
7) 雇用の破壊
8) 商用不動産市場の崩壊
9) 不況の長期化と、低金利の長期化
10) キャリートレードの発生による金融政策の無効化
失われた10年の間、日銀はゼロ金利政策や量的緩和など、
非伝統的な金融政策を駆使して景気浮揚を試みました。
しかし、国内景気を救ったのは、バブル状態のアメリカはの輸出でした。
■ 不効率な財政出動 ■
潤沢に供給される円は、本来なら銀行から企業に融資され、
国内経済を回復させるはずでした。
しかし、銀行は民間融資に後ろ向きで、
日本国債という安全な運用を選択します。
当然、景気は浮揚せず、政府は財政出動を余儀なくされます。
財源は国債ですが、買い手が沢山居るので、
金利の上昇の心配はありませんでした。
公共投資は民間の投資よりも不効率です。
本来ならば、10年前に整理されるはずの企業をいたずらに延命させ、
産業構造の改革を遅らせると共に、社会に大きな歪を生み出しました。
■ キャリートレードによる富の流出 ■
低金利で供給される円は、金融機関には打出の小槌です。
金利の高い通貨や、国債で運用すば、確実に利益を生み出します。
国民の将来の増税と引き換えに供給された円は、
結局、日本国外で運用され、国民に利益をもたらす事はありませんでした。
ただ、円キャリートレードは円安を伴ったので、
輸出企業は、アメリカのバブルの影響もあり、史上最高益を更新して行きます。
■ 金融グローバル時代に無効な金融政策 ■
金融経済が一国の中で完結していた時代には、
中央銀行の金融政策は有効に機能しました。
しかし、現在の様に、金融グローバル化の時代には、
資金は金利差を求めて世界を高速で徘徊してしまいます。
さらにHFTの様に、高頻度に売買を繰り返す様な取引が開発されると、
僅かな金利差や、相場の変動を求めて、益々流動性が高まります。
これらの流動性は、実体経済に波及する事無く、
金融市場や商品市場に滞留します。
得られた利益も、実体経済が冷え切っているので、
金融市場で運用されます。
株価が回復すれば、生産や雇用が崩壊した状態でも、
企業の業績は向上した様に見えます。
最近のアメリカ企業の業績改善は、縮小による成長無き改善で基盤が脆弱です。
■ 雇用と消費が改善しない ■
日本が失われた10年を過ごしたのは、不良債権が清算されなかったからだと言われます。
しかし、実際は一部の輸出企業以外の雇用が改善せず、
むしろ不正規就労などの雇用変化で国民所得が低下した事にその大きな原因があります。
アメリカはまさにこの状態に突入しています。
いいえ、多くのヨーロッパ諸国も、失われた10年に突入しています。
ヨーロッパがアメリカより痛手が少なく見えるのは、
時価会計を採用していないので、巨大な不良債権が発覚していない事と、
政府の財政状態がアメリカや日本よりも健全な為です。
■ 出口へ殺到する世界 ■
EUは痛手が表面化していないので、財政が痛手を追う前に出口戦略へ梶を切るでしょう。
ユーロの金利が上昇すれば、金利に飢えた資金がEUに流れ込みます。
アメリカがこれを黙って見逃すはずはありません。
ドルも金利が上昇するでしょう。
そこから先は我慢比べです。
どちらの実体経済が先に破綻するのか・・・・。
国際通貨としては蚊帳の外の円は、じっとしているしかありません。
既にキャリートレードは経験済みですし、
国民も貧しさに慣れてきています。
ただ、ここで外貨準備として積み上げたドルとアメリカ国債を保全する為に
アメリカ側に付くのか、
それともアメリカに見切りを付けて、ドルとアメリカ国債を叩き売るのか・・。
尤も、その前に中国が動いて、大勢は決してしまうのでしょうが・・・。
■ 最悪のシナリオを避ける為に ■
今のままで、各国が出口に殺到する事は避けなければなりません。
その為の最善の方法は、振興国経済を早期に拡大する事です。
既にG7は役割を終え、G20が調整の場となり、振興国の発言力は増大しています。
振興国の経済にハズミを付ける為に、先進国からの資金と技術の流入も不可欠です。
少し以前ならば、アメリカか中国かという2つの選択がある様に思われましたが、
今はアメリカが中国を選択せざるを得ない状況です。
■ 消費無き経済の発展は在り得ない ■
経済の発展とは、ゴミの生産と同義です。
消費こそが経済発展の原動力です。
昨年までは、ドルのマジックでアメリカが消費を担って着ました。
しかし、その魔法は既に解けてしまいました。
雇用を喪失したアメリカ人は、消費が出来ないのです。
日本もEUも似たりよったりです。
先進各国は循環型社会という非効率社会によって、
さらなる消費社会を生み出そうとしましたが、
結局、そこには欲望が欠如していまいした。
CO2削減を目的にした、循環型消費社会は、
社会主義の失敗に似た道を歩むでしょう。
結局、いつの時代も、欲望と物欲むき出しの活力ある消費が経済を回しているのです。
老人と若者とどちらが活力があるかという問題に似ています。
既に老人の域に達した先進諸国は、
いかに狡猾に若者の上米をはねるかが生き残りのポイントです。
かつて、イギリスがアメリカにして来た事であり、
アメリカが日本にして来た事でもあります。
はたして、真面目な日本人はどうするのでしょうか・・・・。
<ロイターより引用>
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-12255620091102
[ワシントン 2日 ロイター] オバマ米大統領は2日、向こう数週間か数カ月間に雇用が一段と失われるとの見方を示した。一方で、1月の大統領就任以降に経済は上向き、大きく足場を固めたと述べた。
大統領はホワイトハウスで行われた経済再生諮問会議の会合に先立ち、現在の失業ペースは「悲惨」とし、労働市場はすぐには改善しないとの見方を示した。「向こう数週間か数カ月間に、引き続き一定の雇用喪失が見られると予測する」と述べた。
<引用終わり>
先進国の雇用は回復していないのに、
企業収益は改善しています。
何故でしょう?
答えは簡単で、リストラで雇用を削減しているからです。
世界の株価は、企業収益の発表で上向き、
失業率や消費動向の発表で下降する事を繰り返しています。
■ 表面上復活した金融機関 ■
現在、高い収益を上げているのは金融機関です。
リーマンショックで致命的な打撃を被りながら、
政府の支援で倒産を免れ、
さらに金利1.3%で潤沢に供給されるドルを、
金利3.5%のアメリカ国債で運用しているのですから、
彼らは将来のアメリカ国民の負担と引き換えに、利益を出し続けています。
この手法事態はバブル崩壊以降の日本政府と日本の金融機関の関係でもあります。
日銀やFRBがお札を刷りまくって、そのお金で国債を購入する訳ですから、
これは借金の時間的な付け替え以外の何物でもありません。
■ 資金流動性が完全に絶たれている ■
アメリカは現在日本のバブル崩壊とそれに続く失われた10年を追体験しています。
1) 不動産バブルの崩壊(サブプライムローン)
2) 流動性の崩壊
3) 金融機関の経営破綻
4) 金融機関への資本注入
5) 超低金利と量的緩和の実施
6) 消費の落ち込みとデフレスパイラルの発生
7) 雇用の破壊
8) 商用不動産市場の崩壊
9) 不況の長期化と、低金利の長期化
10) キャリートレードの発生による金融政策の無効化
失われた10年の間、日銀はゼロ金利政策や量的緩和など、
非伝統的な金融政策を駆使して景気浮揚を試みました。
しかし、国内景気を救ったのは、バブル状態のアメリカはの輸出でした。
■ 不効率な財政出動 ■
潤沢に供給される円は、本来なら銀行から企業に融資され、
国内経済を回復させるはずでした。
しかし、銀行は民間融資に後ろ向きで、
日本国債という安全な運用を選択します。
当然、景気は浮揚せず、政府は財政出動を余儀なくされます。
財源は国債ですが、買い手が沢山居るので、
金利の上昇の心配はありませんでした。
公共投資は民間の投資よりも不効率です。
本来ならば、10年前に整理されるはずの企業をいたずらに延命させ、
産業構造の改革を遅らせると共に、社会に大きな歪を生み出しました。
■ キャリートレードによる富の流出 ■
低金利で供給される円は、金融機関には打出の小槌です。
金利の高い通貨や、国債で運用すば、確実に利益を生み出します。
国民の将来の増税と引き換えに供給された円は、
結局、日本国外で運用され、国民に利益をもたらす事はありませんでした。
ただ、円キャリートレードは円安を伴ったので、
輸出企業は、アメリカのバブルの影響もあり、史上最高益を更新して行きます。
■ 金融グローバル時代に無効な金融政策 ■
金融経済が一国の中で完結していた時代には、
中央銀行の金融政策は有効に機能しました。
しかし、現在の様に、金融グローバル化の時代には、
資金は金利差を求めて世界を高速で徘徊してしまいます。
さらにHFTの様に、高頻度に売買を繰り返す様な取引が開発されると、
僅かな金利差や、相場の変動を求めて、益々流動性が高まります。
これらの流動性は、実体経済に波及する事無く、
金融市場や商品市場に滞留します。
得られた利益も、実体経済が冷え切っているので、
金融市場で運用されます。
株価が回復すれば、生産や雇用が崩壊した状態でも、
企業の業績は向上した様に見えます。
最近のアメリカ企業の業績改善は、縮小による成長無き改善で基盤が脆弱です。
■ 雇用と消費が改善しない ■
日本が失われた10年を過ごしたのは、不良債権が清算されなかったからだと言われます。
しかし、実際は一部の輸出企業以外の雇用が改善せず、
むしろ不正規就労などの雇用変化で国民所得が低下した事にその大きな原因があります。
アメリカはまさにこの状態に突入しています。
いいえ、多くのヨーロッパ諸国も、失われた10年に突入しています。
ヨーロッパがアメリカより痛手が少なく見えるのは、
時価会計を採用していないので、巨大な不良債権が発覚していない事と、
政府の財政状態がアメリカや日本よりも健全な為です。
■ 出口へ殺到する世界 ■
EUは痛手が表面化していないので、財政が痛手を追う前に出口戦略へ梶を切るでしょう。
ユーロの金利が上昇すれば、金利に飢えた資金がEUに流れ込みます。
アメリカがこれを黙って見逃すはずはありません。
ドルも金利が上昇するでしょう。
そこから先は我慢比べです。
どちらの実体経済が先に破綻するのか・・・・。
国際通貨としては蚊帳の外の円は、じっとしているしかありません。
既にキャリートレードは経験済みですし、
国民も貧しさに慣れてきています。
ただ、ここで外貨準備として積み上げたドルとアメリカ国債を保全する為に
アメリカ側に付くのか、
それともアメリカに見切りを付けて、ドルとアメリカ国債を叩き売るのか・・。
尤も、その前に中国が動いて、大勢は決してしまうのでしょうが・・・。
■ 最悪のシナリオを避ける為に ■
今のままで、各国が出口に殺到する事は避けなければなりません。
その為の最善の方法は、振興国経済を早期に拡大する事です。
既にG7は役割を終え、G20が調整の場となり、振興国の発言力は増大しています。
振興国の経済にハズミを付ける為に、先進国からの資金と技術の流入も不可欠です。
少し以前ならば、アメリカか中国かという2つの選択がある様に思われましたが、
今はアメリカが中国を選択せざるを得ない状況です。
■ 消費無き経済の発展は在り得ない ■
経済の発展とは、ゴミの生産と同義です。
消費こそが経済発展の原動力です。
昨年までは、ドルのマジックでアメリカが消費を担って着ました。
しかし、その魔法は既に解けてしまいました。
雇用を喪失したアメリカ人は、消費が出来ないのです。
日本もEUも似たりよったりです。
先進各国は循環型社会という非効率社会によって、
さらなる消費社会を生み出そうとしましたが、
結局、そこには欲望が欠如していまいした。
CO2削減を目的にした、循環型消費社会は、
社会主義の失敗に似た道を歩むでしょう。
結局、いつの時代も、欲望と物欲むき出しの活力ある消費が経済を回しているのです。
老人と若者とどちらが活力があるかという問題に似ています。
既に老人の域に達した先進諸国は、
いかに狡猾に若者の上米をはねるかが生き残りのポイントです。
かつて、イギリスがアメリカにして来た事であり、
アメリカが日本にして来た事でもあります。
はたして、真面目な日本人はどうするのでしょうか・・・・。