■ 風はますます強くなり・・・■
昨日からの続きです。
道の駅「潮風大国」は海岸に面しています。その海岸の状況はというと、岩に当たって砕け散る波頭が強風で真横に吹き飛ばされて行く有様・・・。
多くの自転車乗り達が続々と「潮風大国」に非難して来ます。自転車ラックが有るのですが、風で自転車が吹き飛ばされるので皆さん芝生の上に自転車を倒して駐輪します。目が合うだけで皆さん苦笑いです・・・。
■ 「花摘み」畑に癒される ■
「潮風大国」の道の向かい側は観光の「花摘み」畑が広がります。観光客の自動車が結構駐車しています。ポピーとストックが満開でした。
「潮風大国」の中には巨大なイケスがありました。職員の方がタモ網を持ってヒラメを捕まえようと奮闘している最中でした。
新鮮な魚介類を売るお店が並んでいます。プチ魚市場と言った感じでしょうか。
■ 再び向かい風に挑む・・・ ■
「潮風大国」で1時間程休息して折れた心を再び奮い立たせ、野島崎を目指します。
目指しますが・・・進まない。風速15m/s以上って、まさに壁です。私、平地でフロントをインナーに入れたのも初めてですが、知らない間にリアもローの25tに入っていました。これ10%の斜度の坂道と一緒。さらには、ダンシングしなければ進まない状態に。
たまにペダルがフっと軽くなるなと思うと上り坂だったりします。上り坂が向かい風を遮るのです。ところが、下り坂は風が吹き上げてくるので、力を入れてペダリングしないとなかなか進まない・・・。もう、「マジかよ」なんて独り言が出てしまいます。
珍しい神社を見つけたので写真を一枚。
しかし、周囲を防波堤に囲まれた神社って珍しいですね。
波の荒い日は、ここまで波が押し寄せるのか、或いは元禄津波の様な津波に備えての事か・・・?
■ 野島崎は立ち寄らずにスルー ■
ようやく野島崎の灯台が見えて来ました。風に吹き散らされる潮で霞んで見えます。
野島崎灯台に就いたのが15:30。
17:00までに館山駅に着きたいので、ここは寄らずにパスします。風が強すぎて観光客もまばら・・・。
野島崎を過ぎても風は一向に止まず、岩場に砕ける波は、「東映か!!」って突っ込みたくなる感じ。尤も、波の高さは台風などに比べればカワイイものなのでしょう。
ところで東映映画のオープニング映像のロケ地は何処?
ちょっと気になって調べたら、千葉県銚子市の犬吠埼でした。この映像、「荒磯に波」という立派な名前が付いているそうです。ちなみにロケ地を聖地巡礼しているブログを見つけまました。勝手ながらリンクを張らせて頂きます。
http://blog.livedoor.jp/a26z3594/archives/51736253.html
■ 進まない・・・ ■
野島崎を過ぎた辺りが本日の強風のハイライトでした。二人組の自転車乗りが強風に挑んでいましので後ろに着きたかったのですが、ここは心を鬼にして前に出ます。しばらくして振り返ると後続は無し。前を引いたつもりでしたが、こんな強風では風除けにはならないみたです。
館山市内へ向かう県道86号を右折したい欲望に耐えて海辺のフラワーラインを進みます。左手が砂丘になる辺りでは、強烈な横風。
向かい風より良いかと思いきや、何と砂粒が猛烈な勢いで吹き付けて来て痛い事この上なし。目にも砂が入るし、気を抜くと道路に堆積した砂に車輪を取られそうになります。
ここからは写真はありません。カメラが砂だらけになってしまうからです。
国道410号線で内陸に入りたくなる気持ちも必死に堪えて、洲崎の灯台を目指すべく、海岸をひた走ります。ここからは右手が山になるので、風も幾分和らぎますが、上り坂が始まります。
再び砂丘地帯で砂嵐攻撃を受けた後、洲崎に向かう登り坂に取りついてやっと一息。
■ 洲崎神社、パナイっす ■
洲崎灯台を過ぎれば追い風になる事だけを考えてひたすらペダリングしますが、右手に洲崎神社がちらりと見えて、思い切りUターン。
何か非常に「そそられる」ものがあります。
立派な鳥居の奥に見えるのは、なんと長ーーーーい、石段。
何故だか近所の子供達が石段を何往復もしています。中学生と小学生です。「兄弟?」って聞いたら「従妹です」と元気に応えます。房総の子供達、ハンパ無いっす!!
私はビンディングシューズなので慎重に上りますが、MTB用のシューズなのでどうにか登る事が出来ます。最近、靴裏のクリート(金具)が良い具合に擦り減って来たので、だいぶ歩きやすくなりました。
石段を登り切って振り返ると、そこには東京湾の入り口の景色が眼下に広がっていました。これは絶景です!!
江戸時代に建てられた御社が木立の中に建っています。なかなか立派な造りです。あまりの景色に良さに、奮発してお賽銭は500円にしました。これは、道中の安全に感謝して。
本殿の裏山の桜も見頃です。
神社の境内の山全体が千葉県の天然記念物に指定されています。上部はヒメユズリハ、下部はスダジイなどの高木が上層を、ヤブニッケイやヤブツバキが中間層を、トベラやイヌビワなどが低層を成す、人の手の入らない常緑照葉樹の貴重な天然林です。
■ 映画「帰郷」のロケ地かと思ったけれど・・ ■
一瞬、西島秀俊の主演映画『帰郷』のロケ地かなと思いました、後で調べたら「瀧斑神社」という富浦の神社がロケ地でした。確かにこんなに長い石段は無かったし、社務所も普通の民家だった・・・。
ところで、『帰郷』は私の一番好きな日本映画です。高校を卒業して田舎を離れた主人公(西島秀俊)が母親の再婚で帰郷した数日の出来事を描く作品です。再会した昔の彼女には一人娘が居ます。彼女は、何となくそれが彼の子だと匂わせます。当惑する彼が彼女の家を訪れると、娘が一人残されています。
いきなり娘かもしれない女の子を押し付けられて、母親は失踪・・・。西島は娘の記憶を頼りに母親が行きそうな場所を探し回ります。無邪気な娘と、必死な西島の対比が見事です。そして、娘が熱を出して西島が父性本能に目覚めた時、駆け付けた母親が語る真実は・・・。
映画は俳優が演じ、監督やスタッフが作り上げる虚構の世界です。しかし、極まれに、虚構と現実の区別が難しい映画が出現します。俳優が演じているという感じが全くしない作品があるのです。「帰郷」はまさにその様な奇跡的な映画の一本だと私は確信しています。
この映画のロケ地は千倉、館山、富浦と南房総一体に散らばっています。私が自転車で館山を目指すのも「帰郷」の中の風景を見たいからに他なりません。
■ 洲崎灯台を過ぎたら、追い風でGO! ■
洲崎神社からすぐ近くに東京湾の入り口を見張る洲崎灯台があります。ここからは道は下り坂、風は追い風!!
館山市内までは追い風に乗って35Km/hペースで快走。
あっと言う間に、海上自衛隊、館山航空隊前に到着。「館山航空隊3人娘」の居る基地ですね。(イタ車ならぬ、アニメ絵が描かれたイタヘリですが)
館山駅に着いたのが17:05分。
浦安からの距離は172Km
メーター読みの平均速度は、麻綿原からの5Kmの徒歩区間と向かい風強風区間の影響で23Km/h。まあ、これはあまり気にしません。
輪行バックに自転車を仕舞うのに手こずっていたら、17:15分の電車が発車してしまいました。次は18:08分まで待つことに・・・。これなら、岩井か勝山まで自転車で走っても同じ電車だったかも・・・。
仕方ないのでお土産屋に入ります。一度食べてみたいと思っていた「クジラのタレ」(干物)を買います。
後は電車で2時間30分掛けて新浦安に戻ります。
本日も良い一日でした・・・強風地獄ではありましたが・・・・。
帰ったら、塩だらけの自転車の掃除が待っています。