■ 「地下空間」が本当に隠したのはTPP議論 ■
ニュースやワイドショーで豊洲問題とオリンピック問題が持ち切りの時に、国会では日本の将来に大きな影響を与えるTPP法案が審議されていました。
「TPP合意」によって「既に決まった事」と国民が解釈しているTPPですが、各国の国会が批准しなければ発効しません。その審議が今期国会で行われています。
自公含めると2/3以上の議席を衆院で占めるので、TPP法案可決は既定事実ではありますが、順調にいけば11月4日にも衆議院を通過します。これには民主党も合意していますが、そもそもTPP交渉への参加を決めたのは野田首相時代の民主党政権です。
豊洲問題ですっかり国民の目は逸らされてしまいましたが、農業従事者にとっては死活問題のTPP、どのTV局も申し訳程度にしか報道をしていない様です。
■ 「アメリカが反対するTPPは日本には国益」と言うバカ ■
TPP法案は自由貿易を推進しようとする条約で、当然、競争力の無い産業には痛手となります。日本では農業が大きな影響を受けますが、同様に医療保険や金融など、規制に守られていた国内企業と国民は「アメリカン・スタンダード」の洗礼を受けます。
健康保険や医療、さらには個人の資産運用などで「自己責任」の理論が浸透して行きます。
そんなTPPですが一部ネトウヨは「アメリカが反対するTPPは日本には国益」などというバカな発言を繰り返しています。
アメリカ議会やアメリカ企業がTPPに反対する理由は、アメリカ企業の主張する「過度な権利」が繁栄されなかった為です。
一例を挙げれば、新薬の特許期間をアメリカでアメリカは12年を主張します。日本は8年、その他の国は5年。新薬の開発力はアメリカがダントツなので、アメリカにとっては特許期間を長くして市場を独占したい。一方、新薬の開発力の無い国では、特許を早く公開させてゼネリック薬品で医療費を抑え、国民に新薬の恩恵を早く与えたい。
同様に自動車の輸入関税や、米を始めとする農産物の輸入規制など、アメリカ企業はアメリカの利益が最大化する要求をし、日本を始めとする各国がそれをできるだけ阻止して妥協点を見出しています。
当然、様々な分野においてアメリカもある程度の妥協をしていますから業界団体としては納得がいかない。「もっとアメリカの利益になるTPPでなければ認められない」と言い出した訳。
1) TPPの内容は自由貿易を推進するもの
2) アメリカの利益を大きく反映している
3) アメリカも多少の妥協はしている
4) 妥協せずに、もっとアメリカの利益に叶ったTPPでなければ認められない!!
↑今ここ
これ、「現状のTPPでもアメリカに有利で他国(特に日本)に不利だけど、そんなんじゃ物足りない」とアメリカは主張している訳です。
さて、「アメリカが反対するTPPは日本には国益」ろ主張している人はどの様な思考回路をされているのでしょうか・・・・?
■ アメリカが批准しなくても第三国経由で無理を押し通せる ■
アメリカ議会がTPP法案を批准するかは微妙な状況ですが、アメリカは第三国を利用してTPPの内容を日本の押し付ける事も可能です。
例えばアメリカのグローバル企業の生産地はすでに米国外に存在します。それらの国から工業製品などを日本に輸出した時、日本に非関税障壁などが存在したら、ISD条項を振りかざして圧力を掛けて来るのは当然でしょう。
さらに、どこかのTPP加盟国の訴えに日本が応えて市場をTPP加盟国内で解放した場合、アメリカは日米の二国間協議にその前例を持ち出して、「我が国だけ差別されるのはオカシイ」と突っ込んで来るはずです。
■ TPPに加入しない方が利益が拡大するアメリカ ■
一方で鉄鋼や自動車などアメリカはTPPに加盟しない方が利益が得られます。輸入関税も現状を維持できます。
後は二国間の貿易協定を順次結んで行き、力の圧力でアメリカの利益を押し付けていけば良い。
■ 安い輸入食品で生かされる低所得者層 ■
TPPの報道に関しては農業問題をクローズアップする傾向が顕著です。確かに稲作を始めとした日本の農業は規制と補助に守られて来たので、TPPの影響を最も受けやすい分野です。ヨーロッパ各国は仮に貿易協定を結ぶ場合も、国内農業保護は聖域です。
だだ日本の農業は就農者が高齢化する中で後継者がますます不足しますから、現状のままでもやがては衰退し、日本は安い輸入作物に頼らざるを得なくなります。貧乏人は安い輸入品を食べ、金持ちは安全な国産を食べる・・・これは現在も進行している現象に他なりません。
今後、貧富の差が益々拡大する日本においては、低所得者層にとっては「安い輸入食品」は生きてゆく為には不可欠です。牛丼が一杯500円になったら食べられなくなります。
■ 医療分野で進む二極化 ■
TPP法案が可決されれば、医療分野でISD条項が連発される可能性は高い。日本の誇る「皆保健制度」ですが、これは「安い医療報酬と安い薬価」に支えられています。
海外の製薬会社は日本の薬価が安すぎると主張していますが、厚生労働省は医療費削減の為に保健適用される薬の価格は低く抑えています。
海外の製薬会社は新薬の保険適用を申請しなければ自由に価格を決められますが、それでは新薬を使う患者は限られます。日本の現行制度では保険診療と自費診療を混ぜる「混合診療」は制限されているからです。当然、医療負担を抑えたい患者は「保険診療」を希望するので、自費診療は伸びません。
アメリカの製薬会社は医療保険会社は日本の皆保健制度の「混合診療解禁」を強く要望して来ましたが、厚生労働省が突っぱねて来た歴史があります。
TPPはISD条項を振りかざして、「新薬が売れないのは混合診療を解禁しないからだ!!」と迫るはずです。厚生労働省は先行して一部「混合診療」を解禁していますが、今後、混合診療は一機に広がっていくでしょう。
そうなると、アメリカの製薬会社が新薬の保健申請をする意味は薄くなります。なにもワザワザ安く売る必要は無いからです。
金持ちは高い医療費を自己負担して新薬を希望し、貧乏人は特許の切れたゼネリック薬品を処方される・・・資本主義としては当然とも言えます。
■ 外資系の医療保険がジャンジャン参入して来る ■
混合診療が本格的に解禁になれば、個人の負担する医療費は上昇します。今は安く受けられている治療や投薬のコストが跳ね上がるからです。
そこで腕まくりして日本に乗り込んで来るのが外資系の医療保険会社です。「いざという時の為に医療保険に加入しましょう」というわけです。
医療保険は現在でも国内外の保険会社が販売していますが、混合診療が規制されている状況では差別化が難しい。
例えば、外資系の医療保険会社が製薬会社と結びついて、その製薬会社の薬に関してキャッシュバックを受ける様なシステムになっていれば、その保険会社は他社よりも安く保険を提供する事が出来ます。現に米国内の医療保険は保険のグレードによって、医療機関や治療方法が制限されます。
これ、中身が結構ブラックボックスで、低所得者の医療保険が高額の医療保険に使われていても分かりません。尤も、日本の現行制度でも得をしているのは高額所得者ですから、どっちもどっちな訳ですが・・・。
■ アメリカが批准しないのであればTPPを批准しない事が日本の国益 ■
いずれにしもアメリカ議会がTPPを批准しないのであれば日本もTPPを批准しない事が日本の国益になります。後は二国間交渉を粘り強く続けるだけ。本来はマスコミはこう主張するのが国民ファーストの報道です。
ところが、日本はTPPは国家議論から国民の目を逸らせて、民主党も合意してTPPを批准しようとしています。
■ もともと白髪の甘利元TPP担当大臣? ■
「TPPの交渉過程においては甘利元大臣がアメリカを無効に回して一歩も引かないハードネゴシエーションを展開した」と報道されています。
「あまりにハードは交渉に甘利大臣はすっかり白髪になってしまった」と思われている方も多いでしょう。
実は甘利大臣は元々白髪だったとか。ただ、国会議員は髪の毛が黒い方が若く見えて選挙で有利ですから皆さん染めてらっしゃる方が多い。
甘利元大臣はTPP交渉の期間、黒く染めていた髪を、徐々に元々の白髪に戻していったというのが真相らしい。その方が苦労している感じが演出できますから。(噂です)
同様にTPP交渉に臨んだ官僚達も、最後の頃はアメリカの要求をほぼ丸呑みして、会議で手持ち無沙汰で各国の交渉団を呆れさせていたとか・・・。(噂です)
実は私はTPPよりも甘利元大臣の白髪の真相の方が気になります・・・。