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白いオバマ・・・不満層を手懐るトランプ

2016-11-20 06:10:00 | 時事/金融危機
 

■ 黒人である事にこそ意味があったオバマ大統領 ■

「CHANGE」を合言葉に旋風のごとく登場して、あれよあれよという間に大統領にまで上り詰めたオバマ。しかい、私は彼の登場を胡散臭く感じていました。

オバマは日本の大統領?!・・・一蓮托生の日本

政治ショーに踊るアメリカ国民

オバマ大統領を担ぎ上げたのはアメリカの奥の院でしょう。当時、ブッシュ政権の元、テロとの戦争が続けられていまいしたが、国民は戦争の熱狂からは醒めていた。一方、リーマンショックによって巨大銀行が破綻危機に瀕しており、国民は共和党政権、いえ、銀行を中心とする金持ちの為の政治に辟易していまいした。

金融危機の種を撒いたのはビル・クリントン時代でしたから、ヒラリーや他の白人大統領候補では国民の不満の受け皿にはならなかった。

特にリーマンショックで職を奪われた黒人を始めとするマイノリティー層には不満が高まる事が確実で、下手をすれば全米で暴動が広がる恐れもありました。

こんな時に「若き黒人大統領」が登場したのだから黒人のみならず多くのマイノリティーが彼に夢中になった。「金持ちの臭いのしない大統領」に白人貧困層も魅了された事でしょう。

政権交代時、崩壊しそうな投資銀行を商業銀行にして強引な資本注入を行い、TARPによってGMを始めとする経営危機の瀕した会社を税金で救う事に国民が合意したのは「クリーンで弱者の見方の黒人大統領のオバマ」に国民が期待したからの他なりません。

■ オバマを盾に暗躍したクリントン ■

しかし、今となってはオバマは「史上最低の大統領」とまで言われています。登場直後こそ核廃絶を訴えてノーベル平和賞を受賞していますが、鳴り物入りで成立させた医療保健制度改革は、中間層に負担を押し付けて医療保険会社が利益を拡大するだけの制度である事が露見しています。

一方、外交政策はクリントン国務長官が牛耳ります。当時、チェニジアやエジプト、リビア、そしてシリアでクリントンが何をしてきたか、私用メールが流出して明らかになりつつあります。アメリカはクリーンなオバマに看板を掛けかえた裏で、依然としてダーティービジネスにいそしんでいたのです。

■ 白人貧困層対策としてのトランプ ■

白人貧困層は元々共和党支持者が多いのですが、オバマブームが去った後にオバマ政権に不満を募らせた最大の勢力は彼らでしょう。尤も、アメリカの中間層の没落は20年続いているので、オバマが悪い訳ではありませんが・・・。

元々は大きな政府を嫌い、自らの努力でチャンスをつかみ取る事を良しとした、アメリカの良識ある市民であった彼らは、グローバル化によって職と誇りを奪われます。

製造業は海外に流出し、巨大モールとウォールマートが地域に進出して地元の商店を駆逐しました。職を失った人達は、文句を言いながらもウォールマートで安い賃金で長時間働かされ、ウォールマートの安い商品で生活を余技無くされた。さらには、移民達がより安い賃金で彼らの職を奪っていきました。

街が荒廃してしまったので、人々は巨大モールで日がな一日過ごす様になります。彼らを「モールラッツ(モールのネズミ)」と呼ぶ様です。(これ、イオンモールに席巻された日本の姿と同じです)

かつて「偉大なるアメリカ」を支えた白人中間層の不満は高まるばかりですが、共和党も民主党もグローバル資本家達に支配されており、彼らの不満を解消する事はありませんでした。

そこに颯爽と登場したのがトランプです。

トランプの叫ぶ「偉大なるアメリカを取り戻す」は「ワンワード・ポリティクス」の典型ですが、誇りを失った白人貧困層の心に希望をともすには十分の効果がありました。しばらくの間、白人貧困層は「自分達の大統領」の活躍を夢見て過ごすのでしょう。

■ ネオコンとウォール街が支配する新政権 ■

大統領選挙に勝利して現実路線に素早く切り替えたトランプですが、新政権の顔ぶれを見るとネオコンとウォール街の臭いがプンプンする顔ぶれになっています。

結局はオバマ政権同様に、大統領という看板だけを掛けかえて、共和党は従来然の政策を実行するのでしょう。

■ 白いオバマと化すトランプのか?そろともレーガンになるのか? ■

このままでは「白いオバマ」となりそうなトランプですが、大化けする可能性はゼロではありません。

レーガンとカーターは中央での政治実績の無いまま、シンデレラの様に大統領になり、それなりの実績を残しています。もっとも、カーターは就任中はイラン大使館事件などで「弱腰の大統領」として国民の人気は最低でしたが、どういう訳か引退後を世界中を飛び回る活躍ぶり。

トランプはレーガン型の大統領となる事が期待されていますが・・・どうなる事か。


ところで、ピーナツ農場主から大統領になったカーターは当時シンデレラボーイ扱いでしたが、どうやら300人委員会のメンバーだったという陰謀論者の噂があります。引退後の彼の活躍を見るとまんざら嘘でも無いと思います。要は、そっち側の人間だった・・・。

トランプ氏は2012年に古代スコットランドのフリーメイソン会員になっているとの噂がチラホラ。ただ、フリーメイソンは世間で言われている程怪しい団体では無いと私は考えています。要は「名士クラブ」。財界や政界の多くの人達がフリーメイソンの会員なのは、有力者にお近づきになる為では無いかと。

一方で建築の仕事でトランプ氏にトランプタワーで会った事のある私の知人は「オフィスに美女を侍らせ、グレートと何度も言う下品なオッサンだった」と当時の事を語ります。「下品な不動産屋のオヤジ」だったと・・・。

ただ、人を引き付ける魅力がある事も確かで、まあ、芸人気質なのでしょう。

■ オバマと違うのは「対立」を煽る事 ■

少し気になるのが、「融和」を主張したオバマに対して、トランプ氏がやたらに「対立」を煽る点。ヒラリーもまんまと乗せられてしまって大統領選挙は最悪の「誹謗中傷合戦」に持ち込まれてしまいました。

ヒラリーは元々演説が苦手(堅苦しくて退屈)な様で、こういう感情を煽る様なアジテーションではトランプにはとても太刀打ちできません。淡々と受け流せば良かったものを、相手の罠にまんまと掛かってしまった。

結果、有権者も感情的になり、本来アメリカがオブラートに包んでいた「対立」が表面化しています。これが今後のアメリカ社会にどういう影響を与えるのか・・・。

一般的には時間が経てば沈静化すると考えているのでしょうが、経済危機が発生したりすると不満が暴力に発展し易い。


アメリカはいったい何処に向かおうとしているのか・・・・。
芸人大統領は立派な大統領になれるのか・・・陰謀論的な興味は尽きません。