人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

解体される国家・・・都市国家とグローバル企業の時代

2016-11-17 05:49:00 | 時事/金融危機
 


■ バブル崩壊こそがFRBの目的 ■

私は「中央銀行はバブルを作って壊して来た」と主張し続けています。

アメリカ経済は1980年代から成長力が低下しており、バブル無くしては成長出来ないというのが、サマーズやクルーグマンが最近主張している「長期停滞論」。

「バブルが無ければIT革命も起こらなかったし、経済は成長しなかった」と言うのが彼らがバブルを正当化する理由です。

それを言うなら、「日本のバブル崩壊が無ければ、日本企業は未だに株の持ち合いを続け、外国人投資家による日本企業の支配は起こらなかった」と私は主張します。要は、バブルは自国だけでなく他国にも仕掛けられているのです。

■ 陰謀論の抱える矛盾 ■

私は近い将来、リーマンショック以上の金融危機が発生すると信じています。そして、それにより世界各地で「反グローバリゼーション」の反乱が起こる。トランプはその先導役では無いか。

ここで一つの疑問が生じます。「世界の政治を裏から支配しているのはグローバリストなのに、何故彼らがグローバリゼーションに歯止めを掛けるのか?」

田中宇氏らは「グローバリストと反グローバリストの力が拮抗していて、彼らが争っている」という仮説を立てています。陰謀論者はこれをロックフェラーとロスチャイルドの対立と見ます。

しかし、私はもっと頭のネジが緩んでいるので、「世界は裏で結託している」と妄想しています。世界の支配層の意思は統一されていて、「対立」はリアリィーを演出する為のスパイスだと・・・。

そうなると、「反グローバリズム」もグローバリスト達の戦略と考えざるを得ません。トランプ大統領はグローバリスト達が生み出した反グローバリストの象徴・・・そんな矛盾を抱えてしまいます。

■ ドル基軸体制の制度疲労 ■

そこで私はこんな妄想にふけっています。

1) ドル基軸体制は、アメリカの成長力を世界の成長力のエンジンにして来た
2) 80年代アメリカの成長力が低下して世界経済をけん引出来なくなった
3) 金融革命でアメリカとドルをハブとした集金システムで世界経済を回す転換が起きる
4) このシステムは金利差によって作動するので、度々バブル崩壊を引き起こす
5) 次のバブル崩壊でドル集金システム自体が破壊される
6) 新たな通貨システム構築の為には「強いアメリカ」は邪魔

7) 中央銀行制度は通貨発行益を得るビジネスから変質している
8) 現在の中央銀行はインフレを恐れていない
9) 中央銀行制度は「管理通貨=政府通貨」になりつつある
10) ドル基軸体制の破壊によって次なる通貨制度が作られるのでは無いか

現在、世界経済は過剰な生産力を抱えていますが、これは新興国や途上国の消費が足りない事に原因が在ります。

中国や日本を例に取るまでも無く、世界経済は対米輸出に頼りすぎているのです。「ドル基軸体制」は「アメリカがドルを発行して世界の消費を引き受ける」システムですが、すでにアメリカの消費は限界に達し、世界経済を牽引できません。ならば、アメリカ以外の消費を増やせばいい。その為にはドル1極の基軸通貨体制は邪魔ですし、超大国アメリカも邪魔。

・・・グローバリスト達はこう考えているのでは?

■ 強い国家から、都市国家と大企業の支配する時代へ ■

現在の国民国家は近代に生まれたもので、製造業の様な労働集約型の産業が成長するのに適したシステムでした。国家は資本家達の生産設備を国民の軍隊によって守り、資源獲得の為に国民が血を流して戦い、国家に教育された従順な労働者が企業に奉仕する・・・。

ところが、グローバリゼーションの時代には、企業は国家の枠組みの外で活動する様になります。海外に工場を建設し、安い労働力を使役し、海外のインフラを使い、税金はタックスヘブンに隠す。

この様な時代には、国民の利益と、企業の利益と、国家の利益が必ずしも一致しません。国家は国民と企業の板挟みになり、まともに機能しなくなります。

一方、国家は民主主義によって運営されますから、企業に不満を持つ国民が増えると国家は企業の活動を制限しようと動かざるを得ません。

実際にアメリカの政治はロビイストを呼ばれる企業群が支配していますが、彼らの思惑と国民の要求は相反します。今までは何とか誤魔化して来ましたが、それが誤魔化しきれなくなったのが今回のアメリカの大統領選挙です。

こうなると企業は利益を最大化させる為にどういう行動に出るか・・・多分、国家を破壊する。或いは都市の独立性を高め、企業の裁量を保全しようとする。

東京都の知事に小池氏が選ばれたのも無関係では無いでしょう。東京を特区化する事で、東京に本社を置く企業や、海外の企業が「衰退する日本」に縛られずに活動する事が可能になります。

仮にカリフォルニアが合衆国から独立したならば、豊富なヒスパニックの安い労働力を使役する事が出来ます。そして住民は連邦に所得税を二重取されなくなります。テキサス州も豊富な石油資源の恩恵を州民で分かち合える。そして、州内で有力企業の支配力はますます強まります。

まさにバットマンの「ゴッザム・シティー」が出来上がる。

■ 超大国を必要としたのは戦争を抑止する為 ■

戦後、アメリカやソ連といった超大国が必要だったのは戦争を抑止する為。冷戦時代には地域的な戦争は起きても、大国間の全面戦争は抑止されていました。これには両国の核開発競争も大きく貢献しています。

さて、現在の世界で大規模な戦争は起こるでしょうか?無理です。お互いに核兵器を保有する国同士の戦争は、限定的な地域紛争は可能でも、全面戦争は不可能です。

一方で軍需産業が在る意味世界を支配していますから、「管理された戦争」と「経済の為の戦争」は継続されます。但し、今までの様にアメリカが出掛けていって全てを収める時代は終わりました。

日本もこれから参加しようとする集団安全保障体制によって地域の軍事秩序は保たれて行くのでしょう。

単一民族の日本人には理解が難しいのですが、歴史を共有しない国家は、意外に簡単に瓦解するのかも知れません・・・・。


・・・まあ、妄想に過ぎませんが・・・。











政府債務はインフレで消せ・・・リフレ派の本音

2016-11-17 04:35:00 | 時事/金融危機
 

■ リフレ政策の限界を認めた浜田宏一氏 ■

アベノミクスの生みの親の浜田宏一氏が「私がかつて『デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない」と発言し、事実上リフレ政策の限界を認める発言をしています。

日本や先進国のインフレ率の低下は、グローバル化の進行によって国内の製造業が流出し、生産性の低いサービス業が産業の主流になっている事が原因です。さらに、先進国で共通に進行する少子高齢化もインフレ率を低下させます。

日本の失われた20年の最初の10年はバブルの後始末でしたが、あとの10年は製造業の衰退と少子高齢化の影響が大きい。(リーマンショックの影響もありますが)

この極めて当たり前の事を認めず、「通貨の供給量を強引に増やして、実質金利をマイナスにすれば資金需要が生まれ、景気は回復する」と主張していたリフレ派は「まじない師」に等しい。

■ FRBの言い出した「高圧経済」とジャクソン・ホールのシムズ講演 ■

浜田氏が目からウロコだっと言う、8月のジャクソン・ホールにおけるクリストファー・シムズ氏の講演。

金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるし、マイナス金利を深掘りすると金融機関のバランスシートを損ねる。今後は減税も含めた財政の拡大が必要だ。もちろん、ただ歳出を増やすのではなく何に使うかは考えないといけない

そう浜田氏は語ったらしい・・・。おいおい、浜田氏まで三橋貴明氏の様な事を言い出したよ。昨年あたりから急激に拡大した「ヘリコプターマネー論」になって来た。

FRBも「高圧経済」などと言い出して、財政出動のプッシュが必要と言い出したし、何だかリーマンショック以降の量的緩和政策が節目を迎えた感が強い。

■ 政府債務は税収ではバランスしない。インフレで帳消しにすべきと言うシムズ氏 ■

シムズ氏は積み上がり過ぎた政府債務は増税や緊縮財政ではバランス出来ない。インフレによって帳消しにすべきと主張します。

これ、別に目新しい政策では無く、戦後にアメリカやイギリスは「金融抑圧」によってインフレによって戦時中の債務を帳消しにしていますし、日本は預金封鎖や新円発行という過激な手段によって同様に債務を帳消しにしました。

金融抑圧とは実際のインフレ率よりも低い上限金利を決めて、国債金利を圧縮する方法です。

アメリカは戦争の被害が少なく、戦後復興による好景気が続いたので、インフレ率が高く政府債務は早期に解消し、逆に戦争によって疲弊していたイギリスでは10年以上掛かった。

私はリフレ論者の目論みははじめから「金融抑圧」だと主張していますから、今更驚く事も在りませんが、但し、少子高齢化が進み人口の減る日本の潜在成長率では「金融抑圧によって債務が解消する前に財政が破たんする」と主張して来ました。

もととも、多くの識者は「財政破綻を防ぐ為には緊縮財政と増税が必要」と主張していますが、頭のネジの緩んだ私は「早期に財政破綻を実現した方が将来世代の負担が少なく。ガラガラポンは大賛成」などと無責任な主張をして来ました。

■ 「高圧経済」と「トランプ大統領」 ■

トランプ大統領決定以降の市場の様子を見ていると、どうもアメリカの奥の院は「高圧経済」の道具にトランプを使おうとしている様に思えます。「トランプ景気」なる幻想を盛んに振りまいています。

一方、「高圧経済」が実現する前に、金利上昇によって現在の市場が崩壊するであろう事を考えると、どうもシムス講演も、FRBの「高圧経済」もブラフの様に思えて来るのが陰謀論者的思考。

「新聞の一面は疑え!!」は陰謀論の基本。もっとも新聞はとっくに購読を止めてしまいましたし、TVも捨ててしまいましたが・・・。



<追記>

トランプ政権の人事がスタートしていますが、GS出身者がチラホラ居たり・・。ジュリアーノNY元市長の名前が司法長官かCIA長官で挙がっていますが、もしかするとヒラリー逮捕なんていう国民サービスで政権の人気取りをするのか・・・?

日銀の予言・・・金融レポート

2016-11-17 04:24:00 | 時事/金融危機
 

『金融システムレポート 別冊シリーズ』という日銀の金融レポートが、米国債金利の上昇を警告しています。低金利で成り立って来た現状の市場が変調し、日経平均は13,000円になると・・・。さらに、日本企業のドルの調達コストが跳ね上がるとも・・。

グリーンスパンの8月の予言、日銀の予言。現実は予言によって成就する?

金利が上がると言われると、安すぎる債券を手放すインセンティブが働く?株が下がると言われると、売りたくなる。

アメリカでインフレが加速するという予測による金利上昇ですが、どうも物価よりも資産バブルの方が加速している感じがします。大型のピックアップトラックが売れまくっている。別荘も高騰している。

米国債金利をFRBがコントロールできなくて、後追いで利上げすると金利がスパイラル的に上昇して危険?

一時的にはドル高要因で、円安によって日経平均にも上昇圧力が掛かりますが、新興国から資金流出して上海ショックの様な事が再び起こる・・・というのが日銀の予言。

トランプ期待で浮かれる市場ですが、冷静に考えれば「金利上昇はヤバい」