■ バブル崩壊こそがFRBの目的 ■
私は「中央銀行はバブルを作って壊して来た」と主張し続けています。
アメリカ経済は1980年代から成長力が低下しており、バブル無くしては成長出来ないというのが、サマーズやクルーグマンが最近主張している「長期停滞論」。
「バブルが無ければIT革命も起こらなかったし、経済は成長しなかった」と言うのが彼らがバブルを正当化する理由です。
それを言うなら、「日本のバブル崩壊が無ければ、日本企業は未だに株の持ち合いを続け、外国人投資家による日本企業の支配は起こらなかった」と私は主張します。要は、バブルは自国だけでなく他国にも仕掛けられているのです。
■ 陰謀論の抱える矛盾 ■
私は近い将来、リーマンショック以上の金融危機が発生すると信じています。そして、それにより世界各地で「反グローバリゼーション」の反乱が起こる。トランプはその先導役では無いか。
ここで一つの疑問が生じます。「世界の政治を裏から支配しているのはグローバリストなのに、何故彼らがグローバリゼーションに歯止めを掛けるのか?」
田中宇氏らは「グローバリストと反グローバリストの力が拮抗していて、彼らが争っている」という仮説を立てています。陰謀論者はこれをロックフェラーとロスチャイルドの対立と見ます。
しかし、私はもっと頭のネジが緩んでいるので、「世界は裏で結託している」と妄想しています。世界の支配層の意思は統一されていて、「対立」はリアリィーを演出する為のスパイスだと・・・。
そうなると、「反グローバリズム」もグローバリスト達の戦略と考えざるを得ません。トランプ大統領はグローバリスト達が生み出した反グローバリストの象徴・・・そんな矛盾を抱えてしまいます。
■ ドル基軸体制の制度疲労 ■
そこで私はこんな妄想にふけっています。
1) ドル基軸体制は、アメリカの成長力を世界の成長力のエンジンにして来た
2) 80年代アメリカの成長力が低下して世界経済をけん引出来なくなった
3) 金融革命でアメリカとドルをハブとした集金システムで世界経済を回す転換が起きる
4) このシステムは金利差によって作動するので、度々バブル崩壊を引き起こす
5) 次のバブル崩壊でドル集金システム自体が破壊される
6) 新たな通貨システム構築の為には「強いアメリカ」は邪魔
7) 中央銀行制度は通貨発行益を得るビジネスから変質している
8) 現在の中央銀行はインフレを恐れていない
9) 中央銀行制度は「管理通貨=政府通貨」になりつつある
10) ドル基軸体制の破壊によって次なる通貨制度が作られるのでは無いか
現在、世界経済は過剰な生産力を抱えていますが、これは新興国や途上国の消費が足りない事に原因が在ります。
中国や日本を例に取るまでも無く、世界経済は対米輸出に頼りすぎているのです。「ドル基軸体制」は「アメリカがドルを発行して世界の消費を引き受ける」システムですが、すでにアメリカの消費は限界に達し、世界経済を牽引できません。ならば、アメリカ以外の消費を増やせばいい。その為にはドル1極の基軸通貨体制は邪魔ですし、超大国アメリカも邪魔。」
・・・グローバリスト達はこう考えているのでは?
■ 強い国家から、都市国家と大企業の支配する時代へ ■
現在の国民国家は近代に生まれたもので、製造業の様な労働集約型の産業が成長するのに適したシステムでした。国家は資本家達の生産設備を国民の軍隊によって守り、資源獲得の為に国民が血を流して戦い、国家に教育された従順な労働者が企業に奉仕する・・・。
ところが、グローバリゼーションの時代には、企業は国家の枠組みの外で活動する様になります。海外に工場を建設し、安い労働力を使役し、海外のインフラを使い、税金はタックスヘブンに隠す。
この様な時代には、国民の利益と、企業の利益と、国家の利益が必ずしも一致しません。国家は国民と企業の板挟みになり、まともに機能しなくなります。
一方、国家は民主主義によって運営されますから、企業に不満を持つ国民が増えると国家は企業の活動を制限しようと動かざるを得ません。
実際にアメリカの政治はロビイストを呼ばれる企業群が支配していますが、彼らの思惑と国民の要求は相反します。今までは何とか誤魔化して来ましたが、それが誤魔化しきれなくなったのが今回のアメリカの大統領選挙です。
こうなると企業は利益を最大化させる為にどういう行動に出るか・・・多分、国家を破壊する。或いは都市の独立性を高め、企業の裁量を保全しようとする。
東京都の知事に小池氏が選ばれたのも無関係では無いでしょう。東京を特区化する事で、東京に本社を置く企業や、海外の企業が「衰退する日本」に縛られずに活動する事が可能になります。
仮にカリフォルニアが合衆国から独立したならば、豊富なヒスパニックの安い労働力を使役する事が出来ます。そして住民は連邦に所得税を二重取されなくなります。テキサス州も豊富な石油資源の恩恵を州民で分かち合える。そして、州内で有力企業の支配力はますます強まります。
まさにバットマンの「ゴッザム・シティー」が出来上がる。
■ 超大国を必要としたのは戦争を抑止する為 ■
戦後、アメリカやソ連といった超大国が必要だったのは戦争を抑止する為。冷戦時代には地域的な戦争は起きても、大国間の全面戦争は抑止されていました。これには両国の核開発競争も大きく貢献しています。
さて、現在の世界で大規模な戦争は起こるでしょうか?無理です。お互いに核兵器を保有する国同士の戦争は、限定的な地域紛争は可能でも、全面戦争は不可能です。
一方で軍需産業が在る意味世界を支配していますから、「管理された戦争」と「経済の為の戦争」は継続されます。但し、今までの様にアメリカが出掛けていって全てを収める時代は終わりました。
日本もこれから参加しようとする集団安全保障体制によって地域の軍事秩序は保たれて行くのでしょう。
単一民族の日本人には理解が難しいのですが、歴史を共有しない国家は、意外に簡単に瓦解するのかも知れません・・・・。
・・・まあ、妄想に過ぎませんが・・・。