■ アメリカは資本主義の実験国家 ■
陰謀論的にはソビエト連邦は、世界の支配者達が作った社会主義の実験国家とされています。マルクスにロスチャイルドは資金援助していたとも言われています。
世界の支配者にとって、社会や人々を計画的に管理して世界が運営出来るのならば理想的と考えたのでしょう。人々が平等で不満が無い世界は、管理し易い。しかし、社会主義や共産主義は生産性の低下や、汚職の充満によって自壊してしまった。
一方、アメリカはイギリスが作った傀儡国家です。元々は清教徒達が宗教的な新天地を求めて移住した地ですが、多くの国から多くの移民が海を渡り、アメリカの土台を作った。彼らは土着の資本として、会社を作り、ビジネスを拡大させて行きます。
しかし、金融資本家達が仕掛けた1929年のNY株の大暴落によって、土着企業の株式の多くはイギリスを根城にする金融資本家達の傀儡勢力によって買い占められた。当時のアメリカは株式バブルでしたが、その原因は銀行が短期の投資資金を低利で貸し出していたから。その金利を一斉に引き上げる事で大暴落を発生させたのです。
ドルがアメリカの通貨とされたのは1913年12月の連邦準備法の成立によりもすが、この法案には反対者も多かった。当時のアメリカの通貨はヨーロッパでは信用が弱く、強い通貨が求められたという背景は有りますが、連邦の支配強化を嫌う南部諸州の議員を始めとして、連邦準備制法への反発は強かった。この法案によって金融資本家達がドルを支配する事になります。
近年もアメリカは金融市場の実験場となっています。様々な金融商品を生み出し、シカゴ市場は二酸化炭素までも先物で売買する。
■ 行きすぎた資本主義 ■
ソ連の失敗と同様に、今、資本主義の失敗が明らかになりつつあります。
1)巨大化しすぎた資産市場はバブル崩壊を繰り返し、その規模は拡大し続ける
2)グローバルな市場は、生産力の落ちた先進国から資金を吸い上げ先進国の成長を阻害する
3)資金が資産市場に集中すので、実体経済の成長を阻害する
4)「お金がお金を生むシステム」によって貧富の差が拡大する
これらの弊害は、「金利の消失」として観測されます。本来、貸してと借り手を繋ぐ金利は、社会のあちこちに分散して存在する事で、社会に満遍なく資金を循環させる血圧の役割を担います。
しかし、巨大化し過ぎた資産市場と、そのシステムによって、資金は体幹部だけに集中し、末端からどんどん吸い上げられてしまった。当然、経済は末端から壊死します。
共通通貨を用いる事での弊害で、日本でも「円」が用いられる事で、地方の資金は中央に集中します。これをリバランスする為に徴税と財政による再分配が国家の役割となりますが、国家は資本家に支配され、金持ちや大企業の税率は低下し、一方で消費税などの増税によって貧乏人から吸い上げるシステムに変わってしまいました。
さらには、タックスヘブンによって税金を納めない企業や個人まで現れると、徴税と再分配の基本構造までが脅かされる事になります。
この現象は世界全体で同時進行しており、金融市場の恩恵に浴していると思われる新興国や途上国も、そのシステムによって利益を吸い上げられています。
■ 納税の義務を逃れ、政府の全て押し付ける ■
資本家達にとって必要なのは「安い労働力」と「安い税金」です。彼らは安い労働力を求めて新興国や途上国に投資し、税金の安い国やタックスヘブンに本社を置こうとします。既にグローバル企業の多くが「国家と税金という鎖」から解放された存在です。
一方で、先進国の多くの政府が「負担」だけを押し付けられています。暫くは貧乏人から徴税して、さらに貧乏人に分配する事で「維持」されて来ましたが、これもやがて限界を迎えます。少子高齢化が進行する多くの先進国で、これは継続不可能になるからです。
そこで俄かに注目されるがの、MMTに代表される「政府の借金は国民の資産」や「統一政府において国の借金は無限に拡大出来る」という考え方です。
これまで、中央銀行や財務省は財政バランスを重視し、インフレ抑止の為に大規模な財政拡大に否定的でした。麻生財務大臣も、無秩序な財政拡大を牽制していた。しかし、麻生氏の最新の発言は財政拡大を容認するものです。コロナ禍によってインフレは極端に抑制され、金利は上昇出来ないのだから財政拡大余力は大きいと言い出した。これは正し発言であると同時に、数年前から話題になっているシムズ理論やMMTに呼応する発言とも言えます。
「金利がゼロならば、財政はいくらでも拡大出来る」というのがコロナ後のニューノーマルとして確立しそうですが、これによってほくそ笑むのは徴税を逃れたグローバル企業や資産家です。
「財政がいくらでも拡大出来るのならば、負担は政府の丸投げだ!!」
■ アメリカはスタグフレーションになる ■
「負担丸投げ」の実験は日本で始まり、世界中に広がりつつあります。ここで注目すべきはトップランナーの日本では無く、資本主義の実験場たるアメリカでしょう。
アメリカ国債は自国通貨建てですから、金利がゼロならば幾らでも発行可能です。しかし、金利がゼロの米国債を誰が欲しがるでしょうか・・・。少なくとも魅了的な投資先とは思えません。
確かに金利がゼロの日本国債やドイツ国債にも買い手は居ます。それは日銀がもっと高い額で国債を買い取るからであり、ECBがマイナス金利で資金を貸し付けるからです。
米国債金利は10年債で0.87%まで低下しています。コロナ前までは2%程度は維持していたので、これはアメリカとしては異常です。コロナによる景気悪化を先取りしている数字とも言えますが、アメリカ国債もゼロ金利に向かいつつあります。
日本やドイツでもマイナス金利の深堀は出来ないので、各国の国債金利はゼロ近傍で殆ど差が無くなります。こうなると、為替差損を考えると、米国債の魅力は全く無くなります。これによってドルに次ぐ流動性を誇る米国債の流動性が枯渇します。買ってくれるのはFRBのみになる。これは米国債の日本国債化です。
ゼロ金利国債はMMT的には理想的ですが、「資産としての米国債の魅力」を失わせます。これは米国債と表裏一体のドルの価値にも影響します。そんな状況でもコロナ対策で米国債もドルも増え続けるのですから、ドルの価値に疑問が持たれない方がオカシイ。
仮にドルが下落に転じると、輸入大国のアメリカではインフレ率が跳ね上がります。FRBは国債金利を強引にゼロ近傍にペッグする必要が有りますから、米国債を無制限に買い入れる必要が有る。(今でもそうですが・・・)
こうなると、ドル安によるインフレスパイラルが止められなくなります。不景気なのに物価が上昇する・・・・。これ、スタグフレーションです。そして、通貨価値が棄損した事による悪性インフレでも有ります。
■ アメリカで大規模な暴動が発生する ■
今回は警察官による黒人殺害が暴動の発端となったアメリカですが、今後、失業率が上層する中でインフレが発生したら、貧困層の生活は破壊されます。
トランプが大統領で居る間は「分断」は解消しない(あるいはトランプが分断を煽り続ける)ので、必ずや貧困層の暴動は再び発生し、その規模は拡大します。こうなると州兵では手に追えず、連邦陸軍を米国内に展開する様にトランプは求めますが、これには軍の反発も強い。仮に銃撃戦になった場合、自国国民に軍は銃を向けられません。
そうしている内にも暴動や略奪はエスカレートし、リベラル諸州はトランプの退陣か、連邦からの離脱の二択をトランプに迫るのでしょう。そして、トランプは絶対に退陣せず、暴動や略奪をする者達を糾弾し続け、一部の白人がこれを支持し、最悪は市民同士で内乱に発展する。
■ 資本主義の失敗の墓標となるであろうアメリカ ■
ダボス会議ではありませんが、世界は資本主義の行き詰まり(失敗)に突き当たっており「グレート・リセット」が求められています。
「グレート・リセット」を、現在の経済システムの恩恵に最大限浴しているアメリカが認める訳が無く、アメリカが抵抗勢力となります。しかし、資本主義の実験国家たるアメリカが邪魔となるならば、世界の経営者はこれを破壊する事も辞さない。強固に見えるアメリカは、世界最大のモザイク国家なので、内部からの圧力に弱い。
ソ連が社会主義の墓標となった様に、アメリカが資本主義の墓標として、地図から国名が消える・・・・そんなバカげた事があるか・・・あるかも知れないから世界は面白い。
・・・貧乏人の私達もも、世界のジャイアンたるアメリカの泣きっ面を妄想する自由だけは持っています。妄想ですから。