人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

新生アメリカ・・・貧しいアメリカと豊なアメリカ

2020-06-10 11:35:00 | 分類なし
■ 新しいアメリカと古いアメリカ ■

昨日の「アメリカの滅亡」は、多くの人には???な記事でしょう。アメリカは今でも世界の覇権国家であり、ドルは基軸通貨です。

しかし、アメリカ合衆国というシステムは「グレート・リセット」や「ニュノーマル」という時代に対しては「大き過ぎる」し「古すぎる」。

トランプは「古いアメリカ」の象徴の様な大統領です。彼の支持者の多くは、寂れた工業地帯の労働者や、南部の農場経営者です。彼らは「偉大なるアメリカをもう一度」と夢見ています。一方、トランプに反発するのは「新しいアメリカ」です。リベラリストや新しくアメリカに移民して来た人達が多い。

今まで「古いアメリカ」と「新しいアメリカ」は何となく上手く付き合って来ましたが、トランプはそのギャップを白日の元に晒す役割を果たしています。


■ 人口の多さや国土の広さが国力に結びつかない時代 ■


従来、覇権国家や大国に必要なのは「広い国土」と「人口」でした。国土が広ければ資源は豊富に確保出来ますし、他国から侵略されても容易に全土を掌握される事は有りません。人口も生産yあ防衛の基本でした。

しかし、現在や将来の世界を展望する時、「広い国土」も「人口」も国力を高めるよりも、むしろ重荷になって来ます。

核兵器の存在は、大規模な侵略戦争を世界から排除しました。イスラエルを例に取るまでも無く、核兵器を保有し、その使用に躊躇しない国家は侵略されません。

AI化や自動化の社会においては「人口」は社会の重荷にこそなれ、これが経済成長に繋がる事はありません。現在においても、アメリカの大多数を占める貧しい人達は、アメリカにとっては暴動などのリスクとなりつつあります。

現在の世界を俯瞰すると小さな「都市国家」の隆盛が目立つ。シンガポールや香港など、元気な国家は(香港は国家ではありませんが)、小さな国です。軍事的緊張が少なくなった世界では、防衛に無題な予算や人員を割く必要が無いので、小さな国家は経済効率が高い。仮に、日本から東京が独立したら、やはり世界有数の国家となるでしょう。


■ アメリカを繋ぎ止めているのはドルのメリット ■

南部諸州では毎年の様に連邦からの離脱が議会で審議され、投票の結果、1票差で離脱が避けられていたります。これは、恒例行事の様なもので、南北戦争の名残とも言えます。

カリフォルニア州は国家として独立すれば経済規模は世界で10位以内は確実です。連邦から離脱すれば、人々の生活はもっと豊になるかも知れません。

しかし、このような州が連邦から離脱しないのは「強いドル」の利益が独立に勝るからです。ドルという紙切れは世界中の人々が欲しています。連銀が紙切れを刷るだけで無から富を生み出す打ち出の小槌がある限り、いかに経済力のある州とて連邦から離脱はしない。

・・・いかにトランプ大統領が気に入らなくても・・・。

■ ドルが崩壊したらアメリカはどうなるだろうか ■

ここからは完全に思考シミュレーションですが、仮に何らかの理由でドルの価値が失われたらどうなるでしょうか?連邦からの独立心旺盛な南部諸州や、カリフォルニアの様な経済力のある州は連邦に留まるでしょうか?

農業生産力のある州はドルが無くても困りません。農産物を輸出してお金を稼ぐ事が出来ます。更に、移民を安い労働力として使役しても文句を言うリベラル勢力が居なくなるので、最低賃金を引き下げれば農業経営者は儲けが増えます。

カリフォルニア州なども困らないでしょう。ハイテク技術も有りますし、農業生産力も高い。

一方、北部の工業地帯はかなり困った事になるでしょう。ドルが無くなれば輸入に頼る事が出来なくなります。

ソ連が崩壊した後、ソビエト連邦はロシアと幾つかの国に分解された。仮にドルが崩壊したら、アメリカでも同様な事が起らないとも限りません。ただ、アメリカという国は若く、州によって民族的な偏りがある訳では無いので、歴史的な対立は南北戦争があるだけです。分断の原動力はあくまでも経済的理由になると思われます。

連邦に残って利益があるかどうか。

■ カリフォルニアが国家になったら魅力的? ■

シリコンバレーを抱えるカリフォルニアが国家になったら、かなり魅力的な国家になりでそう。ハリウッドも擁し、観光資源も豊富です。農業の生産も盛ん。シアトルがあるワシントン州辺りとは地理的にも近いので、オレゴン州も含めて「西アメリカ連邦」などを作るかも知れません。

もし、こんな国家が出来たなら、世界から優秀な人材が集まって来ます。イノベーションの機会も拡大します。

■ 大国主義の中国はロシアの成長は限定的? ■

アメリカが無くなったら誰が中国やロシアと対抗するのかという問題は重要です。ただ、中国は少子高齢化が急激に進むので、現在の成長力を維持する事は難しい。ロシアもプーチンが居なくなれば、現在の様な結束を保てるとは思えません。都市国家が隆盛する時代に、中国もロシアも「古い国家」としての性質を残し過ぎています。

アメリカが大国であり続ける理由は中東の石油利権ですが、シェールオイルでアメリカは世界最大の産油国になっていますから、中国やロシアに対抗する理由も薄まっています。中東に拘るロックフェラーの衰退と共に、アメリカの中東への拘りも薄れて行きます。

■ 世界はバラバラになって一つになって行く ■

陰謀論者は「ワンワールド」的な妄想を良く口にします。しかし、アメリカの様なジャイアン国家が存在すると、世界は一つになり難い。ヨーロッパがEUとして纏まるのは、俺様国家が存在しないから。(ドイツは上手く誤魔化しています)

ワンワールドへの通過点としてブロック化が起ると言われていますが、合衆国の解体後に、カナダを含めて北米連合みたいな枠組みが出来るのでは無いか。そして、それが環太平洋連合の様なものに拡大して行く。

世界はそうやって、50年、100年を掛けて「国民国家」という古い呪縛から解放されるのかも知れません。



アメリカが地図から消える・・・・そんな与太話を話す人はあまり居ませんが、そこに何等かのメリットが在るならば、世界の経営者はそれを選択する。