人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

オタクアニメと侮るなかれ・・・・ただただ素晴らしい『ガールズ&パンツァー』

2012-12-11 11:26:00 | アニメ



緊張と絶望が絶頂に達した時、まさかの、全員参加の「アンコウ音頭」!!
これぞ、アニメにしか出来ない演出。
『ガールズ&パンツァー』9話より 

■ 毎回が神回 ■

またまた『ガールズ&パンツァー』です。

第9話は、雪原での総力戦。
プラウダ高校の強力戦車群に包囲された大洗女子高校。
戦力の差は圧倒的。

「怪我人を出さない為にも降伏しましょう」
「ここまで来れただけでも十分です」と言うミオと部員達に生徒会から告げられたのは、
「この大会に優勝しなければ、わが高は廃高になる!」という事実。

「来年も又皆で戦車道をやりたい!!」との思いが全員の心を一つにします。
しかし、包囲されて精神的には追い詰められてゆく大洗女子。

と、そこでミホが取った行動とは・・・・
ナ、ナント・・・「アンコウ踊り」、キターーーーー!!!

恥かしがり屋のミホの決意に、全員奮起。
ナ、ナント・・・・全員で「アンコウ踊り」、キターーー!!

スクリーンで試合を見守る観客は唖然・・・。

しかし、ここからが怒涛の展開。
抑え目だった前半、じらしにしらされた後での戦車戦。

雪の中をドリフトしながら突進する戦車達。
飛び交う機銃と砲弾。

そして決着はどちらに・・・???










『雪上の戦車バトル・・・これ程までに熱い戦闘シーンを最近見たことが無い。
ガールズ&パンツァー 9話』より



■ 30分間の悦楽 ■

『ガールズ&パンツァー』を見ると毎回思います。

最近のハリウッド映画も含め、現代の映像作品に如何に無駄なシーンが多いのかと。

30分の作品の中にこれ程の密度を持たせながら、

決して「お腹イッパイ」にならない演出には脱帽です。

そして最後にはしっかりと山場を用意する。

30分間の交響曲を聞き終わった様な充実感を味わえます。」

■ シンプル極まりない設定 ■

『ガールズ&パンツァー』の良さは、説明しない事です。

尤もらしい説明を排除して、「この世界はこうなんだ!!」で押し切る。
初めは視聴者も???なのですが、
その世界観に慣れてくると、色々と自分なりの理屈で納得してしまう。
後はその大雑把な世界観を、スタッフがどうアレンジするかをひたすら楽しめば良い。

例えば、野球マンガで「甲子園が何か」とか、「出場する意味」なんてどうでも良いでしょう。
ただ、「甲子園に出て勝ちたい」という気持が伝われば読者は引きこまれます。

『ガールズ&パンツァー』では、一応「優勝しなければ廃校」という動機付けはされていますが、
それも9話までは伏せられています。

少女達の個人的動機も一応は説明されますが
彼女達が戦車道に魅せられる根源的理由は「皆で戦車道をやる事が楽しいから」
という実に女子高生らしい理由です。
そして、「やるからには勝ちたい」という目標も分かり易い。

視聴者は複雑な世界設定とか、伏線とか、感情の裏読みなどせずに
ただひたすら、彼女達の頑張りと活躍に拍手を送れば良いのです。

一昔前のジャンプマンガの様な「単純明快さ」が
戦闘シーンへの集中力を高めるのです。

■ 戦車ってこんな機動性が高いの? ■

ネットに映像が置いてあったので、ちょっとだけ紹介しときます。
エエーー戦車って、こんな状態でも走り続けられるのーーー!?

そこら辺は、今回も鍛冶屋隊長に解説して頂きたいと思います。

http://folderman.in/s/foi-29936.gif

隊長! 解説キボンヌ

選挙を前に「原発」と「放射線」の復習を!!

2012-12-09 07:32:00 | 福島原発事故




Jaif TV特別編 「福島とチェルノブイリの虚構と真実」 (2012/4/20)


選挙では原発問題で、賛成は自民党だけですが、
もう一度、冷静に考える必要があります。


私は今でも、風評により大きな被害を社会に与える原発に反対ですが、
一方で、性急な原発停止は日本の国益を損なうと考えています。

何事も程度の問題で、現在のレベルの放射線を恐がる人は、
レントゲンもCTスキャンも恐れる必要があるのです。


尤も、放射線の安全性を主張するこのビデオも、
バックグランドの音楽が不安を搔きたてます。
そういえば、出演している科学者達の顔つきも悪人っぽい・・・、

「ヤツラはウソを付いている」と疑わせる演出が心憎い。

「本当の事を伝えているのに、人々が信じてくれない。」と彼らは主張しますが、
どうやら、原子力村は人々を疑心暗鬼の中に閉じ込めておきたいのでは邪推してしまいます。

これこそが、巧妙な「洗脳」の方法なのではないでしょうか?


そもそもエネルギーに関する世界は、魑魅魍魎の世界です。
世界の覇権がそこに掛かっているからです。


ドイツは省エネ大国、再生可能エネルギー大国と思われていますが、
私は緑の党のプロパガンダを利用した壮大な社会実験だと見ています。

エネルギーが枯渇した社会の検証実験や、
あるいは、産業の成長が限界に達した時の新たな産業として
グリーンビジネスが有効かどうかの実験が為されているのでしょう。



日本人は単純ですから、原発事故あ起これば、国中の原発を停止させてしまいます。
一方、チェルノブイリでも、スリーマイルでも
事故原発の同じ敷地内にある原子炉は稼動していました。

ここら辺が西洋人の合理性であり、したたかさです。
こういう思考を理解しない限り、日本人は何回でも敗戦を味わう事になるのです。


遺伝子組み換えでは無く、農薬に発癌性があるのでは?

2012-12-09 05:57:00 | 時事/金融危機
 



■ モンサントの遺伝子組み換えコーンを与えたラットが高率で発癌!? ■

ここを読まれている方なら既にご存知だと思いますが、
フランスの研究機関がモンサントの遺伝子組み換コーンをラットに与えた所、
メスでは乳癌、オスでは肝ガンなどの増加が確認されました。

詳細はこちらに詳しい様です。

http://www.webdice.jp/dice/detail/3664/

http://blog.livedoor.jp/wisdomkeeper/archives/51848804.html


■ 遺伝子組み換えでないラットでも発癌が有意に上昇している ■

α=除草剤(ランドアップ)とセットで栽培されたコーン
β=除草剤を使用せずに栽培された遺伝子組み換えコーン
γ=水にランドアップを含有


Aグループ・・・α33%の飼料 ・・・20匹
Bグループ・・・α22%の飼料 ・・・20匹
Cグループ・・・α11%の飼料 ・・・20匹

Dグループ・・・β33%の飼料 ・・・20匹
Eグループ・・・β22%の飼料 ・・・20匹
Fグループ・・・β11%の飼料 ・・・20匹


Gグループ・・・Aグループ相等のγを飲み水に使用 ・・・20匹
Hグループ・・・Bグループ相等のγを飲み水に使用 ・・・20匹
Iグループ・・・Cグループ相等のγを飲み水に使用 ・・・20匹

Jグループ・・・対照群(遺伝子組み換えでないコーン+普通の水)・・・20匹

合計200匹のラットを2年間飼育。

<結果>

1)対照群Jのラットは平均年齢に達する前にオス30%、メス20%が自然死。

2)ABCDEFGH群はオスの50%、メスの70%が早期に死亡

3)これらの症状は与えられた遺伝子組み換えコーンやランドアップ含有の水の量に比例しない

4)オスの間では肝臓のうっ血や壊死が2.5~5.5倍多かった。

5)重度の腎臓障害も1.3~2.3倍現われた。

6)対照グループに対してすべての実験グループにおいて乳房の腫瘍が多く監察された。



興味深いのはFDA(アメリカ食品医薬品局)の
基準値上限のランドアップを含有した水を与えたラットで
他のラットに比べ巨大腫瘍の発生率が200%から300%の多さであった事です。

■ 不明な点も多い実権結果 ■

この実権で注目すべきは、錠剤ランドアップ自体に危険性がある事が証明された事です。

遺伝子組み換えで無いコーンを与え、
水にランドアップを含有したグループでも早死や障害が発生しています。

出展が見つからなくなってしまったのですが、
ネットで見つけ飼料では、同量のランドアップを含有するコーンと水では
コーンにおける障害の発生が顕著に高率でした。

この事はコーンによってランドアップが生物濃縮される事を示しているのでは無いでしょうか?

或いは、吸収形態によって、ランドアップの毒性に違いが出るかの何れかを示唆します。


この実権結果にはいささか不明な点もあります。

ランンドアップを与えないで育てた遺伝子組み換えコーンDEF群でも
早死の減少が発生したと文章からは読み取れる事です。


ランドアップを与えない遺伝子組み換えコーンでも障害が発生した場合、
遺伝子組み換え自体にも、発癌性がある事になってしまいます。

■ 遺伝子組み換えで何故発癌性が上昇するのか? ■

実は、私は遺伝子組み換え作物で癌になるという考え方に懐疑的です。

耐除草剤の遺伝子(DNA)を細胞に導入しても、
人間が消化吸収する過程で、遺伝子はアミノ酸に分解されています。
細胞がアミノ酸を取り込む時には、アミノ酸は基本的な単位に分解されているはずです。
アミノ酸レベルでは、DNAの特徴は残されていないと思うのです。

ですから、遺伝子組み換え作物で健康障害が起こる場合は、
組み合わせて使用される殺虫剤や除草剤に問題がある私は考えています。

今回のフランスの実験は、ランドアップ自体に問題がる事を立証しているので
非常に評価される内容だと思います。

一方で、ランドアップを与えずに育てた遺伝子組み換えコーンにも
健康障害を起す可能性が結果として出たならば、
この原因がはたして遺伝子組み換えコーンなのか、
または、別の要因なのかは、もう一度精査する必要があると考えています。

■ この実権結果を否定するモンサント ■

実権に使用された遺伝子組み換えコーンと除草剤ランドアップを販売する
モンサント社は、この実権の信憑性に疑問を投げかけています。

http://www.monsanto.co.jp/data/for_the_record/french-rat-study.html

<引用開始>

本試験結果はこの種の科学的な研究において、必要とされる基準に達しておらず、また、所見はデータによって裏付けられておらず、導かれた結論は安全性評価の目的にかなったものではありません。
毒性学、公衆衛生学の専門家達は、本試験の試験設計に基本的な問題点を見出しています。本試験がどの様に実施されたかを示す決定的な情報が明らかになっておらず、公表されたデータは著者の示す解釈を裏付けていません。主な欠陥としては以下が挙げられます。

○ 本試験の試験設計はOECD基準を満たしていない

○ 本試験に用いたトウモロコシの出所、品質が不明確である

○ 飼料調製、飼料摂取量に関する情報がない

○ 肝臓及び腎臓の病理組織学、肝機能試験、シトクロム活性に関する主張に関連したデータが、欠落している

○ 死亡率、腫瘍発生のエンドポイントにおける統計学的解析が欠けている

○ 雌雄の試験動物で異なる手法を用いるなど、今回示されたデータは極めてばらばらであり、導かれた結論を裏付けるデータとして十分ではない

○試験全体を通じ、用量相関関係を示していない

遺伝子組換えトウモロコシに関連して報告された結果には、信用できるメカニズムが欠けており、これまで広範に行われた数多くの科学的研究、調査結果と一致していません。これまで広範に行われてきた動物試験、In vitro試験のデータは、グリホサートが癌、腫瘍、内分泌攪乱作用を引き起こさない事を示しています。本試験は、グリホサートやラウンドアップ除草剤のこれまでに行われた広範な安全性評価に疑問を投げかける、いかなる情報をも示していません。


弊社コメントの詳しくは、以下のホームページからもご覧頂けます

<引用終了>


実権データを詳細に検討したうえでのコメントだと思われるので、
今回の実験に疑問点が無い訳ではありません。

ただ、これだけ顕著に障害が出るとなれば、
それは、「疑わしい」では無く、明らかに「問題有り」だと思われます。

■ 3ヶ月だけの実験で承認を与えていたFDA ■

今回のフランスの実験で特筆すべきは、実験機関が2年に及んだことです。

FDA(アメリカ食品医薬品局)は、モンサントの3ヶ月の実験結果を元に
遺伝子組み換えコーンとランドアップに認可を与えていたといわれています。

これは、行政としてはかなり手抜きの判断です。

■ 遺伝子組み換え作物(あるいは併用される薬品)の害は隠されてきた ■

今までも遺伝子組み換え作物の危険性を指摘する研究はあった様です。

ウィリアム・インドール著の『マネーハンドラー ロックフェラーの完全支配 食料医療編』では
研究者に対する政治的圧力の実態が赤裸々に綴られています。

■ 医薬品も同じ構造を持っている ■

アメリカで食品の安全を管理するのはFDA(アメリカ食品医薬品局)です。
この組織は日本の厚生労働省に相等する機関です。

FDAの遺伝子組み換え作物の認可に疑問が生じている現在、
FDAの医薬品の承認にも同様の問題が無いか疑惑が生じざるを得ません。

アメリカでは新薬の承認が早く、日本では遅いという苦情を色々耳にしますが、
新型インフルエンザ騒動では、私達は厚生労働省の時間稼ぎ戦略によって、
アジュバンド入りの輸入ワクチンの接種を免れています。

アジュバンドはFDAですら承認していません。

健康や食品に関しては、臆病くらいが安全なのです。

私達はFDAが新薬を承認してアメリカで使用されてから、
副作用が問題にならない事を確認して、
新薬の導入を決めれば良いのだと思います。

貴重な実験データはアメリカ人が、人体実験で提供してくれるのですから。

彼らが健康かどうかを見れば、その結論は明確と言えますが・・・。





首筋に突きつけられた熱く冷たいナイフ・・・『BANANA FISH』 吉田秋生

2012-12-08 11:46:00 | マンガ
 




■ 少女マンガってイライラするよね ■

私は47歳の中年男ですが、
たまに、少女マンガを夢中になって読みます。

だいたい娘の本棚から拝借してハマッテしまうのですが、
最近では「いくえみ綾」作の『プリンシパル』が結構楽しみです。

しかし、少女マンガを読みつけない男性は、
少女マンガを読むと、たいていイライラします。

「こんなイケメンいる訳ネーだろ!!」
「何でここで告白しないんだよ、ボケ!!」
「背景、花、引込め!!」
「フレームからはみ出すんじゃネェーーー」

多くの少女達が少年マンガを普通に読めるのに対して、
何故か多くの男性は少女マンガを生理的に受け付けません。
れは一つの謎です。

多分、女性特有の「はっきりさせたく無い気持ち」が男性には理解出来ないのです。


■ お花畑の対局にある少女マンガ ■

こんなお花畑的な少女マンガの世界において、
少年マンガよりもクールな作家達が沢山居る事は意外に知られていません。

吉田秋生(よしだ あきみ)もそんな作家の一人です。

彼女の作品の登場人物は、何処となくナイフを思わせます。
鋼の持つ硬さ、しなやかさ、鋭利さ、冷たさ・・・そして内に秘めた熱さ。

彼女の作品の主人公たちは、周囲に馴染めない者達です。

彼らは、学校から、友達から、社会から、ジェンダーから、家族から
好むと好まざるにかかわらず、阻害された存在です。

何処となく周囲と馴染めないけれど、
それを確信を持って受け入れる強さを持っています。

最新作の鎌倉を舞台にした「海街シリーズ」でも、
中学生の「すず」ですら、このナイフの肌合いを共有しています。
家庭環境に恵まれなかった彼女は、大人顔負けの強靭さで、この運命と対峙しています。

吉田秋生作品の魅力は、彼らの醒めた視点から眺めた世界の意外性です。
学校も、職場も家族も、集団から疎外された視点で捉えなおされます。

彼らは自分を阻害した、あるいは自分からスピンアウトしてしまった世界を愛しています。
あちら側の社会と、こちら側にいる自分に極めて自覚的でありながら、
確固とした自分の意思で、こちら側の自分を選択し得る人間のみが持つ強さに私は惹かれます。

彼らは、凛としてカッコイイのです。






■ 青年マンガ顔負けのハードボイルドアクション巨編 『BANANA FISH』 ■

そんな吉田秋生の作品群の中では、少し異色なのが今回紹介する『BANANA FISH』です。

『別冊少女コミック』で1985年5月号〜1994年4月号まで連載され、
コミックスで19巻になる大作です。
これは、小品が多い吉田作品では異例です。

さらに、ニューヨークのストリートギャングの青年と
コルシカマフィアの攻防を描くストーリーは、少女マンガとしても異例です。

ところが、吉田秋生の代表作は?と聞かれると、
多くの方はこの作品を挙げます。
最終回は、新聞の記事になった程のヒット作でもあります。

『BANANA FISH』は少女マンガでありながら
多くの男性ファンを持つ稀有な作品です。

■ 謎の麻薬「バナナフィッシュ」を巡るミステリー ■

物語は、謎の麻薬「バナナフィッシュ」を巡るミステリーで始まります。

ベトナム戦争に従軍したグリフィンは、突然、錯乱して戦友を銃撃します。
グリフィンが最後に口にした言葉は「バナナフィッシュ」。

10年以上経過したNYで再び「バナナフィッシュ」と口にして死んだ男が一人。
偶々、彼の最期に立ち会ったアッシュはニューヨークの少年ギャング達のリーダー。
そして、彼そこが、グリフィンの弟だったのです。

アッシュは金髪碧眼の17歳の美少年。
しかし、その風貌とは裏腹に銃の腕前は殺し屋以上。
そして、頭脳はIQ200の天才児です。
彼は、優れた統率力でNYの下町の不良少年たちを仕切っています。

とこらが、アッシュには暗い過去があったのです。
彼は少年のと時、レイプされ、男娼としてマフィアに飼われていたのです。
コルシカマフィアのボス、ゴルチーネはアッシュを愛玩すると同時に、
アッシュの才能にほれ込み、彼に英才教育を授け、
行く行くは自分の後を継がせようとしています。

ところが、アッシュは野生の山猫の様に自由気ままで、
なかなかゴルチーネの思い通りには行動しません。

そして、アッシュの兄、グリフィンを廃人にしたのが、
「バナナフィッシュ」という違法な薬物であり、
その実験にゴルチーネも関わっていると知り、
アッシュは決定的にゴルチーネと対立します。

コルシカマフィアとNYの不良少年達の、
血で血を洗うような抗争が勃発します。

■ 魂のペアー ■

ニューヨークのダウンタウンの不良達に中にあってアッシュは
掃き溜めに降り立った白い鶴の様な存在です。

彼は仲間に囲まれていても、いつも孤独です。
これは、吉田作品の主人公に典型的な「阻害され、孤立した人格」です。

しかし、吉田作品は必ず、「孤立した個人」に「魂のペアー」を用意しています。
取材でアッシュの元を訪れれた日本人青年、英二が、アッシュの魂のペアーです。

極めて平凡ですが、人の良いところだけが取り柄の英二だけにアッシュは心を許します。
アッシュは英二の前でだけは、その鋼に様な心の鎧を脱ぐ事が出来るのです。

■ 少年たちの純粋な愛憎劇 ■

ゴルチーネはアッシュを愛しています。
それは美しい少年への性的愛情であり、
美しい生き物への、本能的憧憬であり、
自分の作り上げた作品への、自己陶酔でもあります。

ゴルチーネのアッシュへの愛は、ひたすら歪んでいますが、
ある種の純粋性の域に昇華しています。
俗を極めた先にある聖なる領域に達しようとしています。

一方、アッシュと英二の関係は、兄弟の様な代償を必要としない友愛です。
二人の美少年の関係と聞くと、腐女子の耳がピクピクと動きそうですが、
彼らの間に、性的な関係はありません。

英二に限らず、不良達ががアッシュとの間に交わす友情は、
尊敬の念に裏打ちされた純粋なものです。

少年達の結ぶ純粋な愛情(友情)と、
マフィアのボス、ゴルチーネの捻じれた純愛の対比が、
この物語のもう一つのテーマになっています。

純粋な愛情が、邪悪な愛情に打ち勝てるのかが、絶えず問われ続けます。

■ アッシュの鏡としての二人の少年 ■

人望の篤いアッシュをひたすら恨む少年が居ます。
若くしてチャイナタウンを仕切るユエルンです。

彼はアッシュと同様に不幸な過去を持ち、
そしてアッシュと同様にマフィアの財産を引き継ぐ立場にいます。

イェルンとアッシュはまさに鏡に映った己が姿です。
ところが、アッシュには英二という魂のペアーが存在し、
イエルンには存在しません。

その事がユエルンの魂の平穏を乱し、
彼は英二を執拗に憎みます。

本来、鏡に映ったペアーであるはずのアッシュが
ユエルンよりも幸せに見える事への嫉妬が彼を狂わせます。

■ ボーイズラブへと退化する「魂のペアー」 ■

連載当時、アッシュと英二の関係は少女達の憧れだったでしょう。

少女マンガを愛読する様な女子は、
現実世界では性的に奥手な子が多いはずです。

彼女達にとって、「男女の性」は興味はあるけど、現実からは遠い存在です。
だから、思春期独特の潔癖さによって性愛は「不潔」なものとして排除されます。

そこで、彼女達は「不潔」でない性的関係を探しました。
それが「少女同士」「少年同士」の性だったのです。

これらは最初は「友情」として描かれます。
ヒロインとその親友の女の子の純粋な友情。
ヒロインの憧れの男性とその親友の男の子の純粋な友情。

「ボーイズラブ」の発端は、『エースをねらえ』の藤堂と尾崎の様な
「理想の男友達の関係」として描かれます。

一方では少女マンガは進化の過程で、少年マンガよりも積極的に「性愛」を描写してゆきます。
少年たちよりも早熟な少女達が、作品の中に「性愛」を求めたのでしょう。

妄想力豊な少女達の求める「愛」は動物的肉欲では無く、精神的な強い絆です。
どうしても、「肉欲」に打ち勝てない異性との性愛より、
「同性愛」を少女達が好むのは、
その関係が生物学的必然では無く、精神的つながりだからではないでしょうか?

一方では少女の潔癖性が、「同性の魂のペア」を生み出し、
一方では「アブノマルな精神的性愛」少女達は求めてゆきます。

この二つの事象が合体した先に、現代の「ボーイズラブ」の世界があるのでしょう。

そして、『BANANA FISH』 はそういった時代の先駆けとして、
男同士の友情が、同性愛という安定性を獲得する前の
スリルングな状態を鮮やかに描き出したのです。

言うなれば、現代の「ボーイズラブ」は、魂の高みを目指した「同性同士の魂のペアー」の
墜落した姿であり、退化した姿なのです。

■ ジェンダーの障壁を軽々と越えてゆく吉田作品 ■

吉田作品の孤高の登場人物たちには、かならず魂のペアーが存在します。

『吉祥天女』の冷酷な殺人者、小夜子にも涼という「魂の鏡」と、
由依子という控えめな「魂のペアー」が用意されています。

『ラバーズキッス』は、様々な登場人物経ちが、社会から少しずつ阻害されながらも
傍らにはいつもその理解者が付き添っています。

彼らはジェンダーの壁をも超越しています。
男性と女性の組み合わせ、
男性の同性愛者と、女性の同性愛者の組み合わせなど多様です。

吉田作品では男女は理解し合えない存在では無く、
人間性の本質によって、理解し合える対象として描かれます。

■ 時代と共に変化し、成長する吉田秋生 ■

吉田作品の主人公たちは、今も昔も熱いナイフの様に強い精神の持ち主です。

しかし『ANANA FISH』や『吉祥天女』の時代の主人公達は、
「自分を守る為に相手を傷つける事しか知らない強さ」に守られていました。

しかし近作の『海街diary』では、そのエッジは大分和らいでいます。
それでも、時々登場人物達の見せる醒めた表情に、背筋がゾクゾクします。

吉田秋生の絵柄も作品の内容も時代と共に変化し、成長していますが、
作品の根底に流れる、クールさと「しなやかな強靭さ」は未だ衰えを知りません。


ちなみに、鎌倉を舞台にした4姉妹の物語、『海街diary』は少女マンガの到達点の一つです。

「海街diary」・・・本音をみつめる女性の視点 (人力でGO)



市場はファンダメンタルでは無くテクニカルで動く・・・日本国債売りを目論むヘッジファンド

2012-12-07 05:01:00 | 時事/金融危機
 

■ ヘッジファンドは安定的な保有者では無い ■

現在、日本国債の海外保有高は100兆円程度。
その内の40兆円から70兆円程度をヘッジファンドが保有していると見られています。
残りは、諸外国の中央銀行が保有していますが、
この中には中国の中央銀行なども含まれます。

最近、ヘッジファンドは日本国債の保有を拡大しています。
彼らは残存年数の短い国債を購入して、堅実に金利を稼いでいます。

しかし、一たび日本国債の需給関係が変化すれば、
ヘッジファンドは一斉に日本国債を手放す可能性があります。
例え満期保有で多少の金利が稼げたとしても、
円安になれば、為替差損が発生するからです。

■ 「地獄の投資」と呼ばれる「日本国債売り」 ■

かねてより国内保有率の高い日本国債を売り崩す事は不可能と言われて来ました。
日本国債売りに挑戦したヘッジファンドの経営者達が失敗して自殺する事から、
「地獄の投資」とも「後家作り」とも呼ばる危険な賭けとされてきました。

日本国債の一日の市場での出来高は平均で30兆円程度です。
ここに、5兆円や10兆円程度の売り浴びせがあっても、
日銀や国内の金融機関が買い支えてしまいます。

邦銀が最も恐れるのは、日本国債の値下がりで金利が上昇する事です。
ですから、邦銀は必至に日本国債を買い支えます。

■ ヘッジファンドが再び「日本国債売り」を狙っている ■

ヘッジファンド勢は再び「日本国債売り」を狙い始めています。
2%金利が動くだけで、これ程儲かる投資は無いからだと言います。
そして、テクニカル的にはそれが可能だと彼らは主張します。

仮にヘッジファンドが70兆円の日本国債を保有しているとして、
はたして、一気に70兆円が売り浴びせられた時、
日銀と邦銀はこれを買い支えられるのか?

ヘッジファンド勢は、日本国債を暴落させるとは言っていません。
2%金利が上昇するだけで、巨大な利益が出ると主張しています。
はたして、この利益はどこから生まれるのでしょうか?

多分、空売りと連動するお得意の戦略がとられるのでしょう。
CDSと連動さ、スプレッドの拡大で危機を煽る戦略も取るでしょう。

実弾を70兆円も持っていれば、金利が十分下がった所で(国債価格が値上がりした所)
日本国債を一斉に売却して利益を確定し、
さらに、空売りで利益を拡大します。

2%程度の金利上昇があれば、空売りで莫大な儲けが出るのです。

ヘッジファンド勢は日本国債を破綻させる必要はありません。
一時的な金利変動さえ演出出来れば、それで十分儲かるのです。

■ 金利の上昇は直ぐに収まる ■

ヘッジファンドの売り浴びせで、一時的にあは日本国債の金利は上昇しますが、(国債価格の下落)
日銀と邦銀の買い支えで、直ぐに金利は低下するでしょう。

ここで邦銀が慌てて日本国債を売却したら、
日本国債が本当に暴落してしまいます。
ですから、邦銀は資金の許す限り国債を買い支えるはずです。

■ 「叩けば儲かる日本国債」に変貌するかも知れない ■

今までは「地獄の投資」であった日本国債売りですが、
ヘッジファンドの売りが金利変動を演出できる様になれば、
「天国の投資」に豹変します。

ヘッジファンドは、日本国債を売り浴びせて利益を確定した後に、
価格の下がった日本国債をすぐに買戻して、次の売り浴びせの機会をうかがいます。

これはスペインやイタリア国債で繰り返されている事態です。
国債の暴落を演出すれば、ECBが銀行を通していくらでもお金をバラマイテくれます。
それを彼らは、美味しく頂いているのです。

■ 市場を不安定にする「規模」が必要であった ■

かつて日本国債売りが「地獄の投資」と呼ばれたのは、
ヘッジファンドが売り浴びせても、金利変動が起こらなかったからです。

これは、ヘッジ勢の売却額に対して、日本国内の購入資金が圧倒的に大きかったからです。

しかし、日本国債の残高は当時と比べて格段に拡大しています。
同じ「海外保有率10%」であっても、保有額は100兆円に達しています。
これは、国内の資金量に対して、充分な脅威になるはずです。


最近のヘッジ勢の発言は、日本国債の金利をテクニカル的に変動出来る自信の表れです。
そして、彼らの目的はあくまでも2%程度の一時的な金利変動。

日本国債を暴落させてしまっては、日本を強請(ゆす)れなくなります。
何度も売り浴びせて、そして何度も利益を出すのが彼らのやり方です。

■ 既に日本株はヘッジの鴨にされている ■

この手法は既に日本株で実行されています。

日経新聞は未だに、「円高で輸出企業を中心に日本株が売られ」とか
「円安で輸出企業株が買われ」などと寝ぼけた記事を載せています。

1) ヘッジ勢が株安の時期に輸出株を中心に日本株を買い込む
2) 円高になった所で、日本株を売却する
3) 日銀が日本株を買い支える
4) 為替市場でヘッジ勢が円安に誘導
5) 円安に乗じて、価格下落の大きい輸出企業を中心に株を買い戻す
6) 円高に戻る時点で、為替市場でもう一儲け

これはファンダメンタルとテクニカルの巧妙な組み合わせです。

ファンダメンタルは円高。
FRBがドルを大増刷する限り「円高基調」は変わりません。

テクニカルは為替相場の操作と、株の売買。
輸出株は円相場に敏感なので、利益を拡大します。

(ここで言う所のテクニカルは、厳密な意味での市場のテクニカルでは無く、
 テクニカルを誘導する為の仕込みといった意味合い)

■ 既に日本株市場は、ヘッジファンドと日銀による相場 ■

日本企業の決算期には銀行と日銀が日本株を買い支えます。
ヘッジファンドもこれに先んじて日本株を買い込んでいます。

そして、決算期が過ぎれば、円高を演出して日本株を売り抜ける・・・。

既に、これは風物詩の様になっていて、
日本の株式市場は、ヘッジファンドと日銀の相場と化しています。

■ 国債増発を誰が購入しているかに着目すべき ■

自民党政権の成立が確実視されていますが、
新規に発行される国債を誰が買うのかに注意が必要です。

既に近年、国内に資金余力が乏しく、日本国債の入札の海外勢の比率が高まっています。

安倍総裁が国債増刷と金融緩和を政策の両輪としているのは、
国内の国債購入余力を拡大する目的があるのでしょう。

■ 今回も「地獄の投資」で終わるのか? ■

ヘッジファンド勢は日本国債売却のタイミングを虎視眈々と狙っています。

対する日銀と財務省は、鉄壁の防御でこれ防ぐかと言えば・・・
もし、安倍政権と日銀や財務省の対立が深まれば、
日銀も財務省も、ヘッジファンドの攻撃に抵抗しない可能性もあります。

金利上昇をあえて放置して、
安倍政権の危険な賭けの弊害を明確にすると共に、
財政拡大路線を一瞬にして葬り去るかも知れません。

安倍自民党と、日銀と財務省のバトルが楽しめるかも知れません。

■ 何事にも限度がある ■

問題の本質は、中央銀行の供給し続けた過剰流動性が
海外に、これだけ大きな国債保有勢力を作ってしまった事。
日本国債は円でしか買えないので、これは日銀の緩和政策の弊害とも言えます。


結局、どんな世界においても、限界を超えると弊害は出て来ます。
薬の過度の服用が健康を害する様に、
国債の過度な発行や、過度な金融緩和が経済に影響を及ぼさない訳が無いのです。

この限度にチャレンジする自民党の政策は単なる無謀なのか、
それとも、国債や通貨の信用は意外にも強いものなのか?

私は、日銀を含めた世界の運営者に、金利上昇というお灸を据えられるのではないかと疑っています。
一瞬でも金利が2%上昇すれば、邦銀は皆真っ青になりますから・・・。

或いは、国債の大増刷と日銀の緩和拡大が容認される様ならば、
裏からアメリカに利益が供与される何等かの仕組みが存在する事を疑います。