■ 自民党支持者、安倍総裁ファンの皆様、オメデトウございます!! ■
衆議院選挙が終わり、蓋を開けてみれば自民・公明で衆議院の2/3を超える大勝利。
自民党支持者の皆様、オメデトウございます。
実は、私も「怖い物見たさ」で○○党さんに入れてしまいました。
流行モノには昔から弱いたちなのです。
さらに、小泉以降の、安倍、福田、麻生という不憫な内閣が好きなので、
安倍首相、麻生副首相兼財務大臣 という布陣は少々嬉しくもあります。
オマエ、この前まで、安倍総裁の20兆円建設国債をバカにしていたじゃないか!!
そういう突っ込みがある事は、承知しておりますが、
はたして、20兆円、本当にばら撒けるのか、
それでも、日本の国債の需給バランスは崩れないのか、
リアルで検証できる貴重な機会だと思います。
■ 衆議院で2/3以上を確保した意味あいは大きい ■
自公は衆議院で2/3以上の議席を獲得しました。
これは、今後の政権運営の上で実に大きな意味を持ちます。
参議院では自公は過半数に達していないので、
衆議院で可決された法案も、参議院で否決される可能性があります。
しかし、この法案は衆議院で再可決して2/3以上の賛成を集めれば、成立します。
「衆議院の優越」の一つです。
■ 公明党の存在がクローズアップされる ■
衆議院で2/3以上を確保するには自民党単独では不可能です。
その結果、連立を組む公明党の発言力が高まります。
そもそも公明党は「弱者の為」の政党で、
自民党の政策とは、相反するものがあります。
本来、「民主党」や「日本未来の党」に近い、福祉バラマキ政策の政党です。
自民党の政策は、「日本維新の会」や「みんなの党」に近く
連立を組むなら、これらの党の方が分かり易いのですが、
創価学会という巨大な集票組織が欲しいが故に、自民党は公明党と連立します。
これは、自民党政治の「弱者に冷たい」側面を緩和する意味においては、
私達にとって、決してマイナスになる選択ではありません。
「自民党 + 日本維新の会」の方が、イケイケで危険な臭いがします。
しかし、ここで注意すべきは「外国人参政権」と「人権擁護法案」です。
民主党政権が成立を断念したこれらの法案が、
看板を架け替えて、再び国会に提出されないか、
私達は注意して見守る必要がありそうです。
■ 反原発よりも、目先に利益を優先した国民の打算 ■
少し意外だったのは、「日本未来の党」が9議席しか獲得出来なかった事。
「卒原発」を前面に掲げ、「反原発票」を集めるかに思われましたが、
国民は意外にも、「反原発」よりも「バラマキ」を選んだと言えます。
もしかするとネットなどで「反原発」や「子供の為に原発は廃止して欲しい」と訴える層は、
選挙には興味が無い層なのかもしれません。
Twitterやブログで「不安」をたれ流す人達は、
意外にも、選挙よりも家族でお出かけをする事を優先する人達なのかも知れません。
今回の衆議院選挙は戦後最低の投票率59.32%でした。
4割の有権者が棄権する国政選挙というのも情けない話です。
個人事業主や経営者などは、明日の生活が掛かっていますから選挙には熱心です。
彼らは、反原発が経済の負担になる事も良く理解しています。
前回の衆議院選挙では、自民党を見放した彼らも、
民主党の体たらくを見たら、やはり自民党しか無いと決意を新たにした事でしょう。
一方、浮動票のほとんどはサラリーマンや主婦でしょう。
彼らは、会社さえ潰れなければ、亭主が失業さえしなければ安泰です。
ですから、「反原発」「反消費税」「反TPP」と何にでも反対しますが、
逆に言えば、痛みを受け入れても、何かを選択する事はしません。
(全てがそういう人達で無い事も承知しています。
サラリーマンや主婦の方でも政治に真剣な方は沢山いらっしゃいます)
結局今回の選挙は、選挙結果が仕事や生活に与える影響がシビアな人達が勝利し、
選挙結果がどうあれ、とりあえず会社が存続していれば良いという人達が敗北したとも言えます。
今回の選挙は、政治に打算を求める人々が、政治に理想を求める人々に勝利したとも言えます。
■ 政治に理想を求めて、政治に失望する人々 ■
しあし、何故、日本に国の将来を左右する様な選挙を4割の人が棄権したのでしょう?
前回選挙では日本人が始めて経験する2大政党による政権交替だったので、
いつもは政治に興味を示さない人達にも争点が分かり易く、
普段は選挙に興味を示さない人も、投票所に足を運びました。
その結果、69.28%という近年では珍しい高い投票率となりました。
しかし、その結果、多くの国民が民主党政権に失望する結果となりました。
国民は民主党政権に失望すると同時に、どの政党が政権を取っても、
大して変わりは無いという、マイナスの学習をしてしまいました。
ですから、選挙で直接利害が生じない人達は、今回の選挙を棄権してしまったのでしょう。
■ 「反原発」のワンイシュー選挙に出来なかった ■
投票率の低さのもう一つの原因は、「反原発」を争点に出来なかった事では無いでしょうか?
「日本未来の党」も「民主党」も「維新の会」も、「卒原発・脱原発」を掲げたので、
何だか、「反原発」の魅力が薄れてしまいました。
むしろ「原発推進」という現実的選択をした自民党が、
責任のある政党の様に見えてしまうという現象を引き起こしました。
■ 意外に影響力の少ないネットの小沢ファン ■
ネットには小沢ファンが沢山いらっしゃる様です。
しかし、今回意外にもネットの小沢ファンの影響力は発揮されませんでした。
そもそも小沢氏の魅力は、アメリカに対してはっきりモノを言って、
そして、そのシッペ返しに、検察にイジメられている事です。
従来の小沢氏の主張は、「日本維新の会」の主張に近く、
永年の小沢ファンは、大衆にオモネル最近の小沢氏の言動に戸惑っています。
今回は選挙直前に突然、反原発政党に合体吸収されるという荒業を使いましたが、
相手はどう見ても、社民党に近い、環境団体政党です。
これが、ネットの小沢ファンの支持を大きく損ねたとも言えます。
本来は小沢氏は、「原発は日本にとって必要だ」と主張すべきだったのです。
そうすれば、硬派の小沢ファンは彼を支持したはずです。
日本最後の保守政治家と思われていた小沢氏は、
いつの間にか、菅直人と似たり寄ったりの存在となってしまいました。
そして、中国韓国との緊張の高まりが、
これら2国とパイプの深い小沢氏にとって、不運だったとも言えます。
自公が衆議院で2/3を獲得したので、しばらくは政局は発生しません。
今後は民主党に右派が離党したりして、負け組みの再編が進みそうですが、
自公に対立する勢力の結集には、まだまだ時間が掛かりそうです。
■ 4割を超える棄権で、民主主義と呼べるのか? ■
政党支持率よりも多くの議席数が獲得できる現在の選挙制度に問題が無いとは言えません。
しかし、選挙に参加せずに「民主主義を守れ」と主張するのは間違っています。
確かに民主主義の構造的欠陥は多くあります。
2大政党が裏で結託したら、民主主義など意味を失います。
しかし、私達が民意を反映する方法が選挙しか無い以上、
私達は選挙に参加して、その上で不満を述べるべきです。
今回の選挙の結果、日本の財政が破綻したとしても、
選挙を棄権した人々は、それに対して不満を述べる権利を有しません。
■ 不満足な人々は選挙を棄権する ■
少し古い本ですが、経済学者、ジョン・ケネス・ガルブレイスの『満足の文化』は、
日本の政治情勢について理解するのに役立ちます。
彼は選挙や政治に熱心なのは「満足した人々」だと言います。
「満足した人」は、それを失わない為に政治に熱心なのだと。
逆に「満足しない人」「失うものすら無い人」は政治に無関心だと。
多くの貧乏人や、マイノリティーは政治に感心を示さないと彼は主張します。
すると、民主主義は「満足した人々」の為に運営される様になり、
「貧富の差」はさらに拡大するのです。
これは現在の日本に良く当てはまります。
現在日本は「満足しない人」で溢れています。
フリーターは選挙に行きません。
日々の仕事で疲れたお父さんも選挙に行かないかもしれません。
生活に疲れた家庭の主婦も、選挙に行かないかも知れません。
こうして「満足しない人」が増えるに従って、
日本の選挙の投票率は下がり、
いわゆる「勝ち組」と呼ばれる人達の意見が、政治に反映する様になるのです。
日本に蔓延する「満足しない人達」が、日本の民主主義から脱落して行きます。
今回の選挙は、日本の民主主義の崩壊を象徴する選挙だったのかも知れません。