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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

ISILはアメリカの置き土産・・・混乱こそが欧米の利益を生み出す中東情勢

2014-06-18 03:11:00 | 時事/金融危機
 

■ ISILって何? ■

イラク第二の都市モスルを制圧した事でにわかに注目を集めている「イラク・レバントのイスラム国(ISILまたはISISと表記)」。いったい彼らは何者なのでしょうか?


1) イスラム・スンニ派の過激武装集団
2) シリア内戦で世界中から集まった外国人戦士で構成される
3) シリア内戦で民間人を殺害するなど残虐な行動が目立つ
4) アルカイーダですらISILを敵視しシリア国内で対立している
5) シリア・イラク・ヨルダン・イスラエルに跨るイスラム国家建設を目標としている

ISILは世界中のイスラム教徒の過激な若者達が中心に構成され、シリア内戦で実践経験を積み、自分達のイスラム国家建設を夢想する集団のようです。

■ シーア派とスンニ派の対立 ■



イスラム教の2大勢力はスンニ派とシーア派です。シーア派は全イスラム教徒の10~20%と言われ、イランを中心にシリア、イラク、サウジアラビア、ヨルダン、レバノン、イエメン、トルコ、アルバニア、アフガニスタンなどの国に住んでいます。(上の地図の濃い緑色の地域)

シーア派とスンニ派は対立関係にありますが、イランやイラク以外の国では少数派です。ただ、湾岸の油田地帯に多く住んでおり、石油を巡る世界情勢において無視出来ない存在です。



http://blog.goo.ne.jp/qwerty765/e/1d9057e2041480ae43107987fd51321f より

スンニ派に対して少数派のシーア派ですが中東では大きな影響力を持っています。

・ イランはシーア派の中心国家
・ イラクはシーア派が6割で現政権もシーア派
・ シリアはスンニ派が多数派だが、アサド政権はシーア派の分派であるアラウィー派
・ レバノンのヒズボラはシーア派
・ サウジアラビアが影響力を持つバーレーンはシーア派の反乱が起きている
・ サウジアラビアの東部州の42%がシーア派
・ イエメンの40%がシーア派

中東の多くに国々ではシーア派とスンニ派がパッチワークの様に住み分けていますが、宗派対立によって国内情勢は不安定です。

国内にシーア派を抱えるサウジアラビアやトルコなどはシーア派の動向に敏感に反応します。シリアの内戦はシーア派であるアサド政権を崩壊させる為に、サウジアラビアやトルコやカタールが反体制派のスンニ派のテロリストを送り込み支援しています。

特にサウジアラビアは東部の油田地帯に多くのシーア派住民が居住している為に、ここで分離独立運動が起きると国家の存亡に関わりるので、イランを始めとするシーア派を敵視しています。

■ アメリカや欧州諸国もシーア派を敵視 ■

アメリカがイランを敵視するのは、シーア派の革命運動をイランが周辺諸国に輸出しているからです。イランはシリアのアサド政権を支援し、さらにシリアを通じてレバノンのヒズボラを支援しています。

シリアの内戦で欧米諸国がスンニ派過激勢力を支援した理由も、シーア派のアサド政権を打倒する為です。

中東においてイランとイスラエルは犬猿の仲です。イスラエルはレバノンのヒズボラをけし掛けてイランを脅かしていますし、イスラエルはイランの核武装を警戒してイラン国内の核施設を空爆して破壊しています。この様に従来はイスラエルを支援する目的で、アメリカを始めとする欧米諸国はイランを敵視して来ました。

■ 反シーア派内部の対立 ■

サウジアラビアは東部の油田地帯の独立を恐れてイランを敵視しています。ところが、最近、シーア派敵視を巡ってカタールとの対立が明確化して来ました。

シリアの内戦でカタールはアルカイーダやムスリム同胞団をも支援しています。これらイスラム原理主義者達がサウジアラビア国民を焚き付けると、サウジ王家が革命によって打倒される恐れがあります。サウジアラビアはカタールを強く非難し、大使を本国に召還するなど両国の対立は急激に悪化しています。

■ シーア派国家を支援するロ中 ■

旧西側諸国がシーア派を敵視する一方で、イランを始めとするロシアと中国はシーア派国家を支援する事で中東利権の足掛かりを築いています。敵の敵は味方という構図です。

特にシリアのアサド政権とロシアの関係は緊密で、ロシアはシリアに軍港を構えています。欧米によるアサド政権打倒は、ロシアの中東利権の切り崩しが目的であるとも言えます。

■ アメリカがイラクのISIL掃討に消極的な訳 ■

イラクのフセイン政権はイラクでは少数派のスンニ派でした。イラン・イラク戦争はシーア派によるイスラム革命をイラクに輸出しようとしたイランに対するスンニ派のフセイン政権の防衛戦争でしたが、アメリカはこの時フセインを強力にバックアップしました。

ところがフセインが自国の利益を優先してアメリカと対立すると、イラク戦争を起してフセイン政権を崩壊させます。

しかし、シーア派が最大勢力のイラクで民主的な選挙を実行すれば、イラクにシーア派の政権が樹立する事は自明の理です。

アメリカは財政的な理由によってイラクにおける軍事行動を終了せざるを得ません。一方、アメリカが居なくなれば、イラクのシーア派政権はイランとの関係を強化する事は想像に難くありません。

そこで、アメリカはISILという置き土産を残したのでは無いでしょか?

アメリカはかつてアフガニスタンでアルカイーダを養成した様に、ISILを裏から支援しているのでは無いか?

■ 中東の宗派対立こそが、欧米の中東利権を生み出す ■

イギリスを始めとするヨーロッパ諸国はかつて中東を植民地として支配していました。しかし、植民地経営は独立運動の高まりでコストの高いものとなります。

第二次世界大戦後、多くの植民地が独立しますが、旧宗主国は独立政府を影から支援する形で利権を温存してきました。


中東においても、傀儡政権を作り、石油利権を守ろうとします。その際、傀儡政権はイスラム教の少数派を選んでいます。少数派の政権基盤は不安定なので、旧宗主国やアメリカとの関係を緊密化する事で政権を維持しようとするからです。イランのパーレビ国王やサウジの王家は、こういった欧米の傀儡王家でした。

一方、エジプトの軍人ナセルは社会主義的汎イスラム主義を唱えてクーデターを起こし、欧米の傀儡政権を打倒します。汎イスラム主義は周辺諸国の若者達を刺激し、フセインやカダフィー、そしてアサドがこれに続きます。

「悪の枢軸」とアメリカに名指しされた彼らは、実は欧米から自国を守った英雄達でした。しかし、多くの部族が入り乱れ、宗教的な対立も激しい中東の国家では、民主的に国家を運営する事は不可能でした。イスラム的社会主義を夢見た若き青年将校達の夢は儚くも敗れ、彼らは独裁によってしか政権を安定させる事が出来なくなります。

独裁下したフセインをアメリカは支援します。これはイスラム原理主義勢力がパーレビ王家を打倒したイランに対抗する目的もありますが、汎イスラム主義の指導者達を懐柔する事も目的だったのでしょう。

この様に、中東諸国における部族間の対立と宗派間対立は、常に欧米諸国に利益をもたらして来ました。


TVのニュースや新聞などは、アメリカがISILを敵視していると報道されますが、中東の歴史を振り返れば、シーア派と敵対するISILこそアメリカの置き土産だという事に気づくのではないでしょうか?


本日は久しぶりに中朝情勢の妄想に浸ってみました。

すっかりベランダが菜園になってしまいました。

2014-06-13 07:46:00 | エコロジー
 





ウサギの餌ではありません・・・サラダです。
レタスミックスという種を蒔いて1か月半。ようやく収穫時期を迎えました。小松菜の様な葉っぱはロメインレタス。

上にトッピングさてている涼やかな花は何でしょう???

答えはこちら。



チコリーです。

チコリーはレタスの仲間と同じキク科の植物です。私達がお店で目にするのは、上の写真の様なる白菜を小さくした様な姿です。実は普通にチコリを栽培しても、このような形になる事はありません。野菊の様な姿で、背丈も1m以上に成長します。そして花は、一重のキクの花に似ています。

チコリーを白菜状にする為には、しっかり根が成長した株を、暗くて涼しい場所に移して栽培します。これを「軟白栽培」と呼びます。誰がこんな事を考え着いたのかは知りませんが、私達が目にする白菜の様なチコリは、随分と手間ひまを掛けて作られているのです。

さらに、チコリの根はタンポポ同様に代用コーヒーとしても利用されます。普通にコーヒーが手に入る時には有難味はありませんが、戦時下などで物資が不足して来ると途端に注目を集めるそうです。カフェインが入っていないので、これを愛飲している方もいらっしゃるとか。

ところで、チコリの花ですが、キクの花同様にサラダとして食べる事が出来ます。味は葉と同様にほろ苦く、決して美味しいものではありませんが、苦みのある野菜は食べ慣れるとクセになります。



レタスは大き目のプランターに種をばら蒔きにして育てています。発芽から1月くらいから間引いたものを食べ始め、1月半頃から、大きくなった葉を外側から千切って食べています。

レタスの仲間は夏場は花芽が直ぐに伸びてしまうので、収穫時期をズラしたプランターを別に用意しています。



今年はトマトも2つのプランターで育てています。1つはプチトマトですが、上の写真は娘が学校の実習で種から苗を育てた「桃太郎」です。まだまだ色づくまで時間が掛かりそうですが、ベランダで大型のトマトが育つのは驚きです。

娘は学校で土のPHの違いによるトマトの生育の差を研究するらしいので、いくつものプランターに桃太郎を栽培しています。今年の夏はトマトは買わなくて済みそうです。

株や債券はバブル状態か・・・実体経済からの乖離

2014-06-12 09:16:00 | 分類なし
 

■ 「米経済の力強い回復」って本当? ■


アメリカの就業者数 

「アメリカの雇用が回復している」「アメリカの雇用はリーマンショック前の水準に回復した」と言われる昨今、就業者数のデータでもそれがほぼ裏付けられています。

「リーマンショックは去った」として市場はリスクオンのムードが高まっていると分析するアナリストも少なくありません。

■ アメリカの平均所得は下がっている ■


米国の世帯所得の平均(セントルイス連銀)

上のグラフはアメリカの世帯所得の平均の推移です。リーマンショック以降低下傾向が続いていた事が顕著に分かります。ようやく下打ちした様ですが、アメリカの世帯所得はリーマンショック以降、確実に減少しました。



リーマンショック以降もアメリカではインフレが進行しているので、名目所得が増えても実質所得は低下してる事が上のグラフから分かります。

■ 拡大する格差 ■

一方でアメリカは1970年代以降、所得格差が拡大し続けています。現在のアメリカでは所得の多い人達は資産運用で益々富を増やす一方で、平均以下の所得層はほとんど資産を持っていません。



上のグラフは所得階層と所有資産の割合を示しています。上位1%の富裕層が資産に占める割合が33.8%、90-99%が37.7%に達しています。上位10%の人達が70%以上の資産を独占するのがアメリカの社会です。平均以下の層の資産は2.5%に過ぎません。

この様に上位10%の人達の所得や資産が全体に与える影響が大きいアメリカでは、平均所得の数値は所得の現実と乖離しがちです。アメリカの雇用や所得の数字を見る時には注意が必要だと言えます。

■ 第一四半期のGDPがマイナス成長 ■

雇用統計の数字が回復する一方で、アメリカの実体経済の数字は芳しくありません。1-4月期のGDPも1.0%のマイナス成長となりました。

大雪の影響なども無視できませんので、今後の動向如何ではありますが、中間層の所得が低下傾向にある状況では、アメリカの消費の拡大は期待出来ません。

■ 「顕著な悪材料が無い」という理由で買われる株と債券 ■

ヨーロッパもECBがマイナス金利を導入するなど、世界経済は減速傾向を示していますが、株式市場や債券市場は高値を続けています。

リーマンショック以降、ギリシャ危機に端を発する欧州債権危機やユーロ危機など、世界は危機が続きました。しかし、危機が去ってしまうと、「意外にも世界経済や金融市場はタフだった」という印象が残ったのではないでしょうか。

危機に慣れた市場では、「顕著な悪材料が無い」という理由からリスクオンのムードが広がっています。

確かにウクライナや中国沿岸での緊張は高まっていますが、誰もが直ぐに戦争が始まる状況で無い事を疑いません。「危機は存在するけれども無視出来る」という事でしょう。

■ 市場が鈍感になるとバブル化する ■

現在の株式市場や債券市場がバブルかと言えば、過熱感が不足している気がします。危機に対する警戒レベルは下がっているものの、非常口から遠ざかりつつも、非常口を視野に入れた状態での取引が続いている感じがします。

この様な状況では、市場は一定のスパンで調整を入れながら値を上げて行くので、どこからがバブルなのかの判断が難しくなります。そのうちに、「調整」に対しても鈍感になって来ると、いよいよバブル状態になって行くのでしょう。

■ 市場を過熱させる材料はあるのか? ■

各中央銀行はバブルを警戒していますので、市場に資金を異次元に注入する一方で、市場の過熱を牽制しています。

FRBはテーパリングで、日銀は追加緩和の否定で、ECBは緩和規模を実質的に拡大しない事で、ゆるやかにブレーキを掛けながら、アクセルを踏み込んでいます。

市場関係者も、量的緩和無くして現状を維持出来ない事を誰もが理解しているので、過度なリスクを取る事をありません。

現在の市場に「イケイケ・ドンドン・マーチ」は響いていません。

■ 市場を崩壊させる要素の方が怖い ■

実体経済の回復の弱さからして、株式市場も債権市場もバブルには程遠い状況に見えます。

しかし、どのバブル崩壊も切っ掛けは思わぬ所から姿を現します。私達がノーマークの所で既にバブルは膨らんでいるのかも知れません。

「バブルは弾けてみて初めてバブルだと認識される」という言葉が事実ならば、一般の私達がバブルの匂いをかぎ分ける事は難しいのでしょう。

危険な「金融抑圧」政策・・・中間層の貧困化で効果が薄いのでは?

2014-06-10 03:20:00 | 時事/金融危機
 

■ 政治は「短期」・財政政策は「長期」 ■

アベノミクスの面白い所は、安倍首相と日銀&財務省の認識が「異次元」に食い違っている点でしょう。

安倍首相は浜田氏らリフレ派にそそのかされて、日銀に「異次元緩和」を迫りました。この時の安倍首相の認識は、三橋貴明氏の信望者達と同様に「お金を大量に刷ればやがてはインフレになりデフレを脱却する」程度のものであったのではないかと私は邪推します。

一方で、安倍首相に「異次元緩和」を強要されたかに見える日銀は、実際は財務省と連携して金融抑圧という新たな金融財政政策の実験を開始しています。

金融抑圧の目的は、国債金利を抑えて債務負担を軽減する事にあります。特に、税収では財政が賄えなくなった日本では、増税によって経済に多大な犠牲をはらうより、実質的な日銀による財政ファイナンスが短中期的な財政維持にはメリットが大きいのです。(長期的にはどこかで金利が上昇して破綻しますが・・・)

経済に詳しいマスコミの方達も多分気づいていらっしゃると思いますが、日銀・財務省を敵にはしたく無いので、「異次元緩和でデフレ脱却を目指す」などという提灯記事を書いています。

■ 金融抑圧で債務を圧縮する為にはインフレが不可欠 ■

金融抑圧政策で財政負担を軽減する為には、金利が抑えられた状態でインフレが進行して、債務を実質的に軽減する事が必要になります。第二次世界大戦後のアメリカはこれに成功しますが、戦後の好景気と旺盛なドル需要がこれを支えていました。戦後のアメリカは好景気でインフレ率も高かったのですが、FRBが上限金利を定めていたので戦時国債を低金利で償還する事に成功しています。

この様に金融抑圧が成功する為には、ある程度の経済成長とインフレの進行が必要ですが、s少子高齢化が進行し、産業の空洞化も進む日本では、高率の経済成長とインフレの実現は難しく、結果的には金融抑圧政策は財政の延命にはなりますが、解決策には成りえないでしょう。

最後は通貨の信用喪失によって金利が急上昇して終焉を迎えます。

■ インフレとセットの量的緩和 ■

一方、日本同様に金融抑圧的な政策を取るFRBよECBですが、ドルは基軸通貨というチート技がありますし、ヨーロッパの国々の財政状況は日本に比べれば健全です。これらの国の金融抑圧はあくまでもリーマンショックの債務が解消する間、金利上昇を抑制する事に主眼が置かれておると思われます。

FRBもECBもリーマンショック以降「量的緩和策」を実行して、市場に強制的に資金を供給しています。これは金利がゼロの状態では強制的にバイアスを掛けない限り民間の資金需要が生まれない為と説明されます。

1) 金利がゼロになり、中央銀行が金利操作という手段を失う
2) 量的緩和で強制的に市場に資金を供給する
3) 過剰に供給された資金は、いずれは物価を押し上げインフレが発生する
4) 金利がゼロでインフレが進行するので「実質金利」はマイナスになる
5) 実質金利がゼロ以下になるので資金需要が生まれる
6) 投資が活発化して実体経済が回復する

各国中央銀行が2%程度のインフレ率に拘る理由は、「実質金利をマイナスにする」効果を生むためだと思われます。

■ マイナス金利に追い込まれたECB ■

ところが、リーマンショック以降世界が落ち込んだ不況は、日本のバブル崩壊以降同様に簡単には解消できるものではありません。

特にヨーロッパの好景気はユーロによって旧東欧諸国や南欧諸国の経済成長を搾取する事で支えられていたので、世界的需要の低下と、中国など新興工業国の成長で日本同様にヨーロッパは成長のエンジンを失いつつあります。

日本は安易に財政拡大で内需を拡大しようとしましたが、その結果GDPの200%にも及ぶ財政赤字を積み上げました。ヨーロッパは伝統的に財政規律が厳しいので、リーマンショック直後こを財政を拡大しましたが、現在は拡大ペースを緩めています。結果的に内需は不足しがちになり、デフレ傾向が発生しています。

ユーロの規約により財政拡大に制約のあるヨーロッパでは、ECB(ヨーロッパ中央銀行)がマイナス金利の導入を発表しました。ECBの当座預金にマイナス金利を掛ける事で、ブタ積になっている資金を市場に押し出そうというのです。

量的緩和政策は「インフレ」を伴って初めて実質金利をマイナスに出来ますが、デフレ基調では実質金利はプラスになってしまいます。そこで、強引に金利をマイナスに引き下げたのです。

マイナス金利は実は特異な事では無く、危機の度に資金が集中して通貨が高騰してしまうスイスなどは度々マイナス金利を実施しています。ただ、スイスは通貨が強すぎる事を抑制する為にマイナス金利を実施するのに対して、ユーロは実体経済が弱すぎて資金需要が無い為にマイナス金利を実施するので、両者の間には大きな隔たりがあります。

■ 日本のインフレは円安効果と消費税便乗値上げで達成された ■

昨今、日本はインフレが達成されつつあるという記事を目にしますが、庶民の間に景気回復の実感はあまりありません。ただ、「物価が高くなった」事は確実で、スーパーで買い物をする主婦の方々が一番敏感に感じていらっしゃるでしょう。

日本のインフレは急激な円安の進行による輸入物価の上昇と、消費税増税に伴う便乗値上げによって強引に達成されつつあります。これは景気回復を伴わないインフレなのでスタグフレーションと言っても良い悪性のインフレです。

■ インフレから好景気は生まれるのか ■

リフレ派の中にはインフレ達成を明らかに目的化している方達が見受けられます。アベノミクスの生みの親の浜田氏なども、財政拡大を望ます、金融政策の効果のみで景気回復が実現するといったニアンスの発言を繰り返しています。

「インフレは好景気、デフレは不景気」と勘違いしている人達は世の中には意外に多いのですが、インフレやデフレは通貨量によって決まるので、異次元緩和の様に通貨を過剰に供給すればいずれはインフレが発生します。

インフレのメリットは先にも述べて様に「実質金利をマイナス」にする効果にあります。インフレの状況下では将来的な物価や資産の値上がりを考えると現金や預金は実質的には目減りします。本来、人々は「お金を愛しています」から、お金を貯めたがる傾向がありますが、「貯めたお金が明らかに目減りする」と分かった時、人々のお金に対する執着が薄まります。

「今の内にお金を使って、安い内に物を買っておこう」というのがインフレによる景気刺激効果です。消費税アップの直前の駆け込み需要はこの端的な例とも言えます。

■ 貯金も無いのに庶民はこれ以上お金を使えない ■

ここで問題になるのが、過剰な預金の有無です。子供の将来的な教育費や老後の資金を考えたら、多少のインフレが進行しても消費を増やす事は躊躇されます。むしろ、消費を絞って将来のインフレに備えようというのが庶民の心情というものです。

消費税額アップの様に短期にある程度分かり易いインフレが発生する場合は、人々は消費を選択しますが、その後消費を継続する訳では無いので、これは消費の先食いに終わります。

■ 「お金持ち=貨幣愛の強い人」はインフレで投資を拡大する ■

それでは、消費を拡大出来る人達は誰かと言えば、預金を沢山持っている人達です。しかし、残念な事に、お金を沢山持っている人達は「貨幣愛」が非常に強い傾向があります。かれらが預金を拡大出来たのは、安易な消費を行わずに、手元資金を運用して「お金でお金を稼いだから」だと言えます。

この様な人達は、将来的なインフレを予測すると、金利の高い資産や金融商品に投資する傾向があります。日本の国内で金利が確保出来なければ海外の金融商品購入や外貨預金も躊躇しません。

■ 量的緩和によるインフレは資産市場で発生してしまう ■

こうして、皮肉な事に各国中央銀行が供給する過剰資金は、実体経済をほとんど刺激する事が出来ずに、資産市場に摘み上がて行きます。

株式と国債が同時に値上がりする昨今の状況は、過剰流動性が既に行き場を失って市場に溢れている事の兆候とも言え、こうして市場は次第に実体経済から乖離してバブル化して行きます。

■ 危険な「金融抑圧」政策 ■

「インフレ下で金利を抑制する」という金融抑圧政策は、実体経済において思った程効果的にインフレを発生させていません。

1) 先進国の中間層は既に貧しくなってしまったので消費が抑制されている
2) 資金は富裕層に集中しているので、資産市場に滞留してしまう
3) 金融のグロバリゼーションの進行により金利の高い国に資金が流出してしまう
4) 結果的に新興国に資金が流入したり、逆に急激に流出する現象が発生する

どうやら、日銀や財務省の目論みとは裏腹に、「金融抑圧政策」は実体経済のインフレを福利出す事が出来ずに、資産市場を不安定化させています。

リーマンショックの穴埋めという短期的な目標達成には効果的ですが、金融緩和が資産市場のバブルの生成と崩壊を生む出す限り、長期的に財政負担を軽減する目標達成の前に、金融市場の崩壊という結果を生み出すのでは無いでしょうか。

何だか、第二次世界大戦の前にも世界は同じ様な状況だった気がします。そして、戦争によって強引に需要を引き揚げ、生産設備を破壊して供給を低下させ巨大インフレを作り出し様な気がします。



世界からキナ臭さが漂って来る昨今、10年、20年後には、戦争という強引な手段も起こり得るのかも知れないと思う今日この頃です・・・。

シマニョーロ11速・・・・さらばフルカンパ

2014-06-09 13:58:00 | 自転車/マラソン
 



■ 「私、気になります」 ■


シマノの9速ホイールを、どうにかカンパ8速の変速系の改造で使えないか色々を調べていました。ブログの更新を怠る程真剣に・・・・。

所謂シマニョーロというやつですが、意外な情報がチラホラ。「カンパ11速とシマノ11速はほぼ互換性がある。」「シマノデュラ11速にカンパ11速エルゴを付けたら気持ちよく変速した」

「私、気になります」

といっても、謎解きしてくれる折木さんが居る訳でも無く・・・。


■ さらば8速 ようこそ11速■



夜中のヤフオクで新品をポチットなしてしまいました・・・。ほんの出来心です・・・。気になり出したらブログの更新もままなりません。

今まで1996年製のコーラス8速仕様でしたから、いきなり11速になったら他のパーツが使える訳がありません。


地味にチェーンリングだけ10速用に交換。多分ベローチェ。コーラスの削り出し加工とは異なり、プレスで安っぽいパーツですが・・・気にしない・・・。


フロントディレーラー。カンパ・・・じゃない?! シマノ6800アルテグラ??



リアディレーラー・・・・・エーーー!? シマノ6800アルテグラ・
スプロケットも当然・・・シマノ6800アルテグラ(11-28T)
チェーンはデュラエース11Sをおごっています。


■ シマニョーロ11速 ■

ほとんど「人柱」と呼ばれる状態ですが、パーツが揃ったので、土曜日の明け方から組み始めます。駆動系はBBとクランク以外は全交換に近い作業。

途中、ボルト1本止めでとても不安だったステムも交換しようと思い立ち・・・。


1996年製コーラスで統一されていたプチビンテージのカーボンバイクは、いきなり11速シマニョーロ仕様になってしまいました。


■ 全然問題無い ■

ディレーラーワイヤーの調整を済ませ、一応、全速問題無くシフトする事を確認しました。土曜日は終日雨だったので、実走はお預け・・・。

日曜日、待ちきれずに小雨の残る中、試走に出掛けます。新品パーツが雨と砂利だらけに・・・。気にしない気にしない。サイクルスポーツはフィールドスポーツだから、「パーツが錆びる」なんて言うのはヤボなセリフです。

ところで変速の調子は・・・全速、全く問題有りません。

■ シマノがカンパになった ■

面白い事に、カンパのシフターで操作すると、シマノのディレラーがカンパになったみたな作動をします。

本来、アルテグラのリアーのシフトはシュルルンって感じでショックが少ないはずですが、カンパで操作すると、カタン、カタンとカンパニョーロのRDの様な動作をします。シフトショックが結構大きいのです。アルテグラのシフト・フィーリングってシフターに拠る所が大きかったのですね。

■ 11Tって・・・あれ、結構軽いじゃない? ■

ところで、シマノのスプロケットの11-28Tって何?11Tっていったい誰が使うの?16Tを入れて11Tを抜くべきじゃないのか?

試に53Tー11Tを踏んでみると、あれあれ、不思議だ。スタートも出来てしまうし、坂だってそれなりに登ります。これって、回転系のロスが減ったという事でしょうか?2段分くらいは軽くなりました。

・・・・そう言えば、チェーンを交換した事無かったな・・・相当伸びていたかも知れません・・・。

重いギアーが踏めなくなったのは、加齢が原因では無く、パーツの劣化が原因と言う事にしておきましょう。

■ 困った、又ホイールを共用出来なくなった ■

ところで、今回のシマニョーロ化の目的はシマノ9速とカンパ8速のホイールの共用化・・・。

あれあれ、シマノ9速ではシマノ11速スプロケは使えないぞ・・・・。困った・・・・。



あまりに美しくて手放せないカンパ8速のリアディレラー。
プーリーだけを10速用にしてみました。
どうしても、こいつを使ってみたい・・・・。

そんなこんなで、シマノ9速のレモン2号は現在全パーツを取り払ってフレームのみの状態に。

カンパの8速ショートゲージのRDではたしてシマノ11速に対応するのか。さらには28Tのスプロケが使えるのか?

「私、気になります・・・」