人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

TPPの本当の意味・・・労働力減少を輸入で補う時代

2015-10-22 10:30:00 | 時事/金融危機
 

■ 10年後の日本を予測してTPPの意味を考える ■


10年後の日本の社会や経済を予測した時、TPP問題は労働人口が減少する日本においては将来的にはプラスに働く面もあります。

現在、日本の農家の平均年齢は66.8歳。現在でも山間部を中心に耕作放棄地が増えています。将来的には現在の農業生産を維持する事は不可能です。

競争力の無い作物や畜産品から徐々に輸入に置き換わって行く事は仕方の無い事で、農家の後継者も現金収入に繋がらない農業から離れて他の産業に従事する事は当然の結果と言えます。(一方で自給自足的農業の役割は拡大すると思われますが)

それでも、食糧安全保障を考慮すれば、最低限の耕作規模は確保しておく必要は在り、現在のバラマキ補助金を、選択的に残すべき作物への補助金に集約する必要は感じます。日本の官僚は優秀なので、政治家達が集票の為の干渉をしなければ、効率的な補助金の分配が可能かと思いますが、現状は政治がこれを邪魔しています。

■ 「食の安全」より「今日の食事にありつける事」が切実な問題だ ■

食糧輸入には「食の安全」という国民の健康を守る点も重要になりますが、こればかりは「所得に応じた」という但し書きが付かざるを得ません。仮に円安がさらに進行する場合、現状の関税水準では食糧価格が上昇し、低所得者の食費が拡大して生活を圧迫します(現状も既にそうなっていますが)。

こうなると、「食の安全」よりも「安い食品」が優先されます。先ずは食べる事が先決となります。これはアメリカとて同様で、庶民のスーパーと、高額所得者が買い物するオーガニック食品のスーパでは価格に大きな開きが有ります。要は、国内農業が衰退した後は、「食の安全はお金で買う」時代が到来します。

■ TPPなど無くとも、いずれ日本の国民皆保険制度は維持出来なくなる ■

多分、医療保険制度も外資の参入で、混合診療がどんどん進んで行くでしょう。現在の様に国民皆保険で高齢者に高額医療費を垂れ流す事は継続不可能ですから、簡単な医療と高度医療の選別が進んで行きます。アメリカの様に盲腸の手術で300万、ガラガラ蛇に咬まれて薬代が1000万というクレージーな状態には、日本の官僚がする訳が有りませんが、庶民に不相応な高度な医療は民間保険でカバーする様になるはずです。

■ 「誰もが幸せな社会」なんて過去にも未来にも幻想に過ぎない ■

とかく農業問題の矮小化されがちなTPP問題ですが、人口が減少し、かつ円安がさらに進行するであろう日本では「変化」を否定したのでは庶民の生活が破綻します。「誰もが幸せな社会」を支えていたのは労働人口であり、これが減少して高齢者が増加する社会で「物質的豊かさ」を求められるのはある程度の所得を得ている人に限定されていきます。

■ 官僚は政治家や外圧を利用しながら、50年、100年単位で国家を運営している ■

TPPにマイナスの側面とプラスの側面が存在します。ただ、急激な変化に社会は耐えられませんので、変化のショックを和らげる事が官僚の腕の見せ所と言えます。

政治家はその時々で便利に使われる存在なのでしょう。安倍首相が独断で進めているかに見えるアベノミクスですが、官僚達にはもっと深遠な思惑やビジョンが有り、アメリカの外圧も利用しながら将来の日本を守っているのだと・・・私は妄想しています。



戦争を抑止するTPP,そして戦争の原因ともなるTPP

2015-10-21 05:33:00 | 時事/金融危機
 

■ ブロック経済と戦争 ■

TPPの仕掛け人はグローバル企業です。基本的に彼らは国際分業によって生産性を最大化させ、関税撤廃によって市場を拡大する政策を好みます。1947年に締結された「GATT=関税及び貿易に関する一般協定」の時代から、関税撤廃は資本家達の悲願であります。

国家間で産業の競争力に差が有るのは当たり前の事で、国内産業を守る為には関税は必要不可欠なものです。例えば、日本の農業はアメリカには逆立ちしても敵いません。

一方で、国内産業を手厚く保護していれば国民にとって幸福かと言えばそうでも有りません。最大の例が「鎖国」ですが、日本が江戸時代の状態で鎖国を続けていれば、日本人は現在の様な豊な生活を営む事は出来ません。明治の開国以降、日本は生糸の輸出、紡織産業の育成、軽工業から重工業への転換と産業構造を変化させて来ました。江戸時代の農業国家から、工業国家への転換を成功させ現代に至ります。

第二次世界大戦以前は、帝国主義各国は自国の経済ブロック内での貿易の自由化を推進します。一方で自国経済ブロック以外には閉鎖的な政策を取りました。

ブロック経済が成立する為には、ブロック内で「資源」「生産」「消費」が完結できる事が不可欠です。速い時期にブロック経済圏を確立したイギリスに対して、フランスやドイツ、さらにはロシア、そして日本は遅れて帝国主義の競争に突入します。帝国主義において利益の最大化は、いかに多くの資源と市場を確保するかに掛っていますから、各国が「分捕り合戦」を繰り広げ、最終的には世界大戦にまで発展します。

■ 国際分業と平和 ■

GATTの自由貿易の精神は大戦の反省の上に成り立っているとも言えます。国家間の貿易を自由に活発化させる事で、経済がブロック化する事を防ぎ、再び帝国主義が台頭する事を防ごうとしたのです。

「利益を最大化したい」という国債資本家達の本音も混じってはいますが、自由貿易が戦争を抑止できるのであれば世界の人々にとって必ずしも悪い結果だけをもたらす物ではありません。

それぞれの国が産業の発展度合いや気候風土に合わせて得意分野に特化する事で、国家間の相互依存も高まります。食糧自給が出来ない国は、食糧輸出国に依存しますし、工業国は資源国や市場として将来成長するであろう後進国や新興国の発展に投資します。この様な国家間の相互依存が高まると、国家間の戦争はデメリットこそ在れ、メリットが無くなるのです。

■ 千年来の戦争に終止符を打ったヨーロッパ ■

国家間の相互依存体制を勧める実験はヨーロッパが先行しています。ヨーロッパの国々は千年以上も戦争を続けて来ました。しかし、第二次世界大戦を経験してヨーロッパの人々はこれ以上の戦争が何もメリットを生まない事を痛感します。そして彼らはヨーロッパの統合によって戦争を抑止する道を歩み始めます。

ECという共同体はEUへと進化して、経済活動の国境を事実上取り払い、不完全ならがもユーロという共通通貨を導入します。域内の財政統一が実現すれば、EUは巨大な連邦国家として機能するのです。

■ 若い連邦国家の実験 ■

ヨーロッパは古い国々の歴史や因縁が堆積した地域だったので国家統合に時間を要しましたが、新しく生まれた国は国家誕生の時から連邦国家の道を選択します。アメリカ合衆国やソビエト連邦が良い例でしょう。アメリカの諸州は移民たち連合体が発展した物とも言えますが、帝国主義の時代にそれぞれの州ではヨーロッパに対抗出来ません。そこで彼らは州の独立性を保ちながらもアメリカ合衆国を作り上げます。アメリカ合衆国とは「経済」と「軍事」という共通利益によって出来上がった実験国家だとも言えます。

ソビエトは元々多くの人種と多くの国が存在した地域を連邦にまとめ上げますが、それが成功し原因は、それぞれの国や地域に「国民国家」という意識が存在していなかった事が大きいく作用しています。「貴族」と「農民」という階級対立を「共産主義」によって煽る事で、国家や地域の枠を超える連邦国家を樹立します。しかし、「共産主義」のイデオロギーの後退によって、巨大実験国家はあえなく瓦解します。

■ TPPはブロック経済となるのか? ■

日本の国内からだけ見ているとTPPは国内産業にとっての脅威として受け取られがちです。「黒船」が襲来した様なイメージで捉えられています。

一方で、戦後一貫して続いている「自由貿易」の推進という観点からはTPPは避けて通れない道とも言えます。未だ全容は明らかになっていませんが、将来的にはEU型の経済統合や政治的な結束、さらには集団安全保障体制へと発展して行くのでしょう。

世界の歩みとしては前進と思えるTPPですが、域外との関係性を間違えると「ブロック経済」化する恐れが有ります。

中国は「周回遅れの帝国主義国家」と言えますが、ロシアもイデオロギーを失った時点で「帝国主義的拡大主義」に取りつかれている様に見えます。これらの国々は他の先進国の様に「反省」の歴史を有していません。

この様に「国家観」や「世界観」の成熟度が低い国からTPPやEUを見た場合、彼らの目にはこれらの経済圏が戦前のブロック経済圏の様に映るかも知れません。

■ 資源国がブロック化するのでは無いか? ■

昨今の資源価格の下落で元気の無い資源国ですが、ロシアとサウジアラビアの間に接近が見られるなど、利益を共有する資源国が将来的に結束する事にメリットは大きいでしょう。

中東諸国を始めとして、資源国は従来は先進工業国に搾取される立場に在りました。それに対抗してOPECの様な資源国の共同体も出来ましたが、各国の利害の対立からOPECは機能不全に陥っています。強いリーダーの不在が原因です。

仮にロシアが資源国のリーダーとなり、中国がそれをサポートするならば、中東や南米の資源国は結束を強め先進国に対抗する事が出来るかも知れません。

中東や南米ではかつては革命によって国民を代表する政府が出来ても、イギリスやアメリカの謀略によってそれらの政権は短命に終わっています。かつてこれらの革命政府が目指したのは「共産主義や社会主義」でしたが、この裏には世界革命を目指すソビエトの存在が有りました。

現代において「社会主義革命によって国民の幸福を実現する」というスローガンは色あせてしまいましたが、現在でも共産主義国を続ける中国も、かつての巨大共産主義国家のロシアも共産主義のDNAは未だに残っています。産業を国家管理する事に失敗した共産主義ですが、資源を国家管理する事にはメリットも大きいはずです。

ロシアはソビエト崩壊後、オレガリヒと呼ばれる新興財閥が台頭して石油がガスの利権を独占します。彼らは西側の資本家の支援を受けていたと言われますが、そのオレガリヒを駆逐して資源の利権を国家に取戻したのがプーチンです。石油やガスは戦略物資として機能するので、ロシアはそれらを背景に国際的な影響力を高めています。


中東は石油利権を先進国に簒奪されていましたが、エジプトのナセルが革命によってこれを国民の手に取戻します。それに続いたのが、イラクのフセイン、リビアのカダフィー、シリアのアサド、イエメンのサンハーレらが続き、そしてイランの革命と繋がります。彼らの革命は当初、ソビエト型の社会主義を目指しますが、部族社会の中東でそれは失敗に終わり、次第に権力を維持する為の独裁になって行きます。

この様に、資源国ではかつて社会主義的な政権が誕生した経緯から、資源の国家管理という方向に進みやすいのでは無いかと私は妄想しています。

■ 資源の国家管理を阻む勢力 ■

フセインやカダフィー、そしてアサドの排除が中東で行われた背景には、将来的にロシアを中心とした資源国の連合体が形成される事を防ぐ目的が有るのでは無いか・・・。敵の敵は味方の法則によって、これらの指導者達はソ連(ロシア)や中国との繋がりを重視して来ました。

これらの独裁的な指導者を排除し、部族間、宗派間の対立を煽れば、中東はいつまでたっても烏合の衆です。国内での影響力を強める為に、アメリカにすり寄る勢力は必ず存在します。

一方で、本気で国の将来を考える者は、ロシアと資源連合を組む事を否定しないでしょう。そしてそこに中国が需要国として関わる事は、彼らにとって大きな利益となります。

■ 決定的なブロック間の対立は成立しない ■

EUやTPP、そして資源国連合の様なブロック化が進むと戦争の火種になるのでは無いか・・・歴史を踏まえるとその様な心配が生まれて来ます。

しかし、資源国連合の結束が強まると、意外にも力は均衡する様に思われます。先進国は資源国に依存せざるを得ないからです。

グローバル企業が利益を最大化させる為には資源は安いに越した事は有りませんし、新興国や後進国の市場も支配したいし、労働力も手に入れたい。しかし、これが過度に進むと、貧富のい差の拡大によって世界や社会は不安定化し、資本主義は自壊します。

仮に、世界に神がごとき経営者が存在するのならば、資本主義の崩壊を望みはしないでしょう。その意味においては現在の過度なグローバル化はどこかで歯止めが掛る必要が有ります。

■ 資源国の結束のきっかけになる戦争は起こるのかも知れない ■

では戦争の心配が全く無いのかと言えば・・・・そうとうも言い切れない。

所詮は烏合の衆である資源国を結束させるには共通の敵が必要です。例えば、南シナ界で米中が対立を深めるなどのセレモニーが起こるかも知れません。バラバラの中東諸国が結集する最大のイベントは・・・やはり対イスラエルとの戦争です。

世界は50年、100年という歳月を掛けてその姿を変えて行きますが、その陰にはいつも戦争が存在して来ました。

世界大戦という「大きな戦争」では無く、地域紛争という「小さな戦争」が世界の姿を変える切っ掛けとして利用される事に私達は注意が必要なのかも知れません。

折しもアメリカでは大統領候補を選ぶ戦いが繰り広げらていますが、メール問題で脱落したかに見えたヒラリーが復活しつつ有ります。バイデン副大統領が立候補しなければヒラリーが民主党候補になる可能性が高まっています。

一方、共和党候補はトランプ氏は大統領の器では無いので、彼が脱落した後は小粒な争いとなりそうな予感。結果的に意表を突いてヒラリー・クリントン大統領が誕生する可能性も皆無では無くなって来ました。


意外にもアメリカの開戦時の大統領は民主党だったりします。太平洋戦争を始めたルーズベルトも、ベトナムの派兵を拡大したケネディーも民主党の大統領でした。


まあ、いつもながらの妄想ですが・・・米大統領選を楽しみ方の一つとして・・・。

日本のシーレンは中国に塞がれる?・・・南沙諸島埋め立て

2015-10-16 03:06:00 | 時事/金融危機
 

■ 南シナ海は公海か、中国の領海か? ■

中国が南シナ海の岩礁を埋め立てて軍事基地を建造しているとして、米軍がこれを牽制しています。アメリカ海軍は近く、南シナ海で米軍艦艇を航行させるとしていますが、米軍征服制服組のトップ、ジョン・リチャードソン作戦部長は「南シナ海の国際水域を米海軍の艦艇が航行することは挑発行為にはあたらず、誰に対してもサプライズとならない」と語っています。

これに対して中国は南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で埋め立て造成した人工島から12海里内を領海と主張しています。

■ 南シナ界の領有を巡る争い ■



現在、問題になっている南沙諸島(スプラトリー諸島)は、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾、中国が領有を主張していますが、人が居住できる島では無く、海上に頭を出した岩礁や、あるいは満潮時には水没する岩礁です。

この地域には豊富な改定資源が存在するとされており、かねてから各国が領有を主張して譲りません。特にベトナムと中国は岩礁の領有を巡り1988年に「スプラトリー諸島海戦」という軍事衝突を起こしています。

当時、ベトナム軍が防衛する岩礁に対して中国軍が艦船から砲撃を加え、多くのベトナム兵が犠牲となりました。ベトナム兵は腰まで水に浸かりながらも岩礁を死守しますが、ベトナム人の多くがこの事件を忘れる事は有りません。

■ 国際法上、岩礁は領土では無い? ■

南沙諸島問題を巡る米軍と中国の論争は、「岩礁を領土と認めるかどうかの見解の相違」に原因が有ります。

日本の法律では「島」と定義されるのは周囲が0.1km以上で、それ以下は「岩礁」となります。しかし、国際法上は「島」と「岩礁」の区分は無く、満潮時に海上に出ていれば「領土」として認められる様です。

国際海洋法条約
第121条 島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう


但し、人工的に作られた島は「島」とは認められません。

第60条 人工島、施設及び構築物は、島の地位を有しない。これらのものは、それ自体の領海を有せず、また、その存在は、領海、排他的経済水域又は大陸棚の境界画定に影響を及ぼすものではない

さらに排他的経済水域においえる島(領土)の定義はもう少し厳しく、次の様になっています。

第121条 人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。



要は上の写真の様に満潮時に海面からちょっとでも出ていれば「領土」として認められる様です。しかし、この様な「岩礁」は波による浸食に晒される為、時間の経過と共に海面部が無くなり、領土も消失します。

日本の最南端とされる「沖ノ鳥島」ですが、この火山島も長い年月に渡る海蝕によって満潮時に海面から出ているのはほんの僅かとなっています。その「岩礁」の周囲を防波ブロックで囲い、必死に浸食から守っています。





ただ、日本ま真面目なので、「満潮時に海面から出ている」事を証明する為に海面上に残された僅かな岩の周囲に、きちんと海水が入る様にして、この岩が領土である事を証明しています。ただ、島自体が沈降したり、或いは海水面が上昇すれば、沖ノ鳥島は領土としては存在しなくなります。



さらに気象観測所や灯台を設置していますが、中国は「沖ノ鳥島は「岩」なので、排他的経済水域の基準を満たしていない」と主張しています。実はこの主張は有る意味正しく、沖ノ鳥島が排他的経済水域の基準を満たしていないと国際的に認められれば、日本の排他的経済水域は大幅に縮小する事になります。

■ 岩礁を埋め立てた場合はどうなる? ■



日本が沖ノ鳥島(正確には、かつての島で現在は岩礁)を必死で守ると同様に、中国も南沙諸島の岩礁を人工の構造物で守って来ました。最初はバラックの様な建物を建てます。



次にコンクリートの構造物で岩礁を完全にガードします。



そして昨年来問題となっている大規模な埋め立てを始めました。

最早、こうなるとどんなに波が押し寄せて来ようとも、本来の岩礁は埋め立てられてしまったので海蝕を受ける事も無く、それが海面上に存在しているかどうかの確認すら出来ません。

アメリカはこれを「人工物・人口島」と見なす事で「領土では無い」と主張し、中国は元々岩礁があったのだから「領土」であると主張します。両者の主張は平行線です。


■ 日本や周辺国のシーレーンが維持出来ない可能性が有る ■



そもそも、各国が領有権を主張して譲らない南沙諸島ですが、実際には「実効支配」してしまえば他国は戦争で奪還するしか手立ては有りません。尖閣諸島は日本の実効支配下に有り、北方領土や竹島はロシアや韓国の実効支配化に有ります。

上の地図は中国が人工島建設を進める岩礁の位置になります。これらの岩礁を中国が実効支配し、かつ軍事基地を建設し、さらに領有・領海を主張しているのですから事は重大です。



人工島の中には上の写真の様な軍用滑走路や軍用の港湾施設を備えたものも登場しているので、中国は今後、この海域での軍事的な優勢を強めていきます。

米軍がこれらの人工島の12海里以内をデモンストレーションとして航行すれば、中国としては領海侵犯と見なし黙って見過ごす訳には行きません。但し、スクランブルを掛けてイヤガラセはすれど、実際的な防衛行動(攻撃)は起こさないはずです。

・・・これが自衛艦だったら・・・まあ、自衛隊はそんな冒険はしませんが・・・。

ただ、これらの岩礁の周囲12海里を繋いでも、南シナ海には公海が残りますから、平時に日本のシーレンが脅かされる事は有りません。ただ、一旦有事となった場合、この海域に巨大空母を鎮座させるに等しい中国の人工島の存在感が一気に高まります。


■ 古くて新しい領土問題 ■

群雄割拠した時代から領土は争いの元となって来ました。現代においても多くの国の間で領土問題はくすぶり続けています。

昨今の「領土」問題は、排他的経済水域を巡る争いとなっていますが、一旦、軍事的緊張が高まれば、「領土」問題は海上輸送路確保に大きく影響を与える様になります。


軍事的拡張路線を歩む中国は、将来的に必ずや日米と東アジアで軍事的緊張を高めていきます。米軍は不必要な衝突を避ける為に、将来的にはグアム・ハワイラインまで撤退する事が決まっていますが、日本や東南アジアの国々は中国から遠ざかる事は出来ません。

巨大な中国に対して、アジア周辺国は「集団安全保障」で対抗するしか手立ては有りません。安保法制はこの為の下地を整えた訳で、強引な国会決議も、中国の拡張を考慮すれば仕方無い事と思われます。


国会前に集まったデモの方々が、どの位、日本の周辺情勢の変化を自覚されているのか・・・。尤も、彼らはいざ有事となると、一気に好戦的になるのかも知れません。

いかなる時も冷静に、現実的に判断する事が国民に求められますが、日本人が最も苦手とする事なのかも知れません。


トップ3の独走・・・前期アニメベスト

2015-10-13 06:28:00 | アニメ
 

少し遅くなりましたが、前期アニメの私的総括を。
前期アニメはバラエティーに富んで充実していましたが、少し時間が経過て振り返ってみると、TOP3の印象しか残っていません。それだけ、その3作品が素晴らしかった訳ですが、趣向が異なる作品に優劣を付けるのは非常に難しいものがあります。しかし、個人的好みで独断で決めてしまいました。

第一位 『のんのんびより りぴーと』



時間の魔術師・・・『のんのんびより りぴーと』の川面真也監督(人力でGO 2015/8/1)

「アニメのベスト作品を選ぶ」という選定基準において、この作品のトップは揺らぎません。私がアニメが好きなのは、絵を一枚一枚手書きして、細部まで完全にコントロールされた世界を作り出せるという点に尽きるのですが、この作品はその限界に挑んでいます。

最終話は1期、2期の内容を総括しながらも、1話として十分に見応えのある内容でしたが、特に縁側に子供達が座っているシーンの「ロングの長回し」は凄い。ちょっと「限界」を超えて「やり過ぎ」一歩手前の感もあるシーンですが、間延びしそうな固定構図を絶妙な「セリフや音の間」で力技で持たせてしまっています。この作品の「手品のネタ」を明かされた様な気がするシーンです。



お花見のお弁当作りの途中、お母さんが来客で玄関に行っている間、子供達は縁側で時間を潰します。


「夢」の話がスベッタ後、子供達は「かさね手叩き」を始めます。


二人が抜け、二人残ります


女の子達が誰も居なくなりますが、縁側で寝そべる猫がゴロリと転がって間を繋ぎ、最後にお兄ちゃん登場


女の子達が戻って来ます

全体の構成としては不自然に長いシーンで間延びしていますが、「ロングの長回し」の限界に挑戦した意欲的なシーンとも言えます。玄関で世間話をする母親の声、鳥のさえずりなどがバックグランドを満たしている事でシーンのリズムを継続させるという手法が取られています。

『のんのんびより』自体、「間」が非常に長い作品なのですが、その間は鳥のさえずりや自然の音に満たされていて決して「空白」では無く「充実した間」である事が、この作品を豊なものにしている事に気付かされます。


第ニ位 『ガッチャマンlン・クラウズ インサイト』



『ガッチャマンクラウズ・インサイト』・・・民主主義の本質を問う意欲作(人力でGO 2015/7/21)

「日本人が空気に支配されている」という指摘を最近良く目にしますが、まさに「空気の支配と民主主義」について考えさせられる作品。

「政治」や「思想」をエンタテーメントに昇華する手法はSFやアニメではおなじみですが、従来は「権力による支配」を告発する内容がほとんどでした。ところが、この作品は「国民の責任と無責任」を明確にする事により、「民主主義が内抱する根本的な問題点」を露わにしていきます。

アニメの活劇としての面白さをスポイルしていない点も評価に値するかと。


第三位 『GATE自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』



軍隊としての自衛隊・・・『GATE自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』 (人力でGO 2015/9/29)

こちらも「安保国会」が開催される時期に合わせたかの様な作品。「平和が自然に存在する」と思い込んでいる多くの日本人に見て頂きたい。「平和」とは「創られる」ものであり、それは「軍事的均衡」や、或いは「絶対的な戦力差」によって維持される事を明確にしています。

「安保国会」や「国会周辺デモ」の「浮世離れした喧噪」を静観する自衛隊員の方々の心中を代弁する作品でもあります。作品としてはバランスがイマイチではあるのですが、微妙な時期に微妙な内容にチャレンジした勇気に喝采を送りたい。


第四位 『六花の勇者』



実はナッシェタニアのウサギコスプレが出て来た時点で視聴を中止しようとした作品。しかし、フレミーが出てきてから釘付け・・・。そして謎解きが始まったら、もう次週が待ち遠しくて・・・。

アニメで探偵物は数多あれど、ファンタジーを用いたミステリーは珍しいのでは無いか。トリックが奇抜なのでミステリーとして成立しているのか?という根本的疑問は有れど、「次週が待ち遠しい」という「連続ものの罠」に視聴者を嵌める事にはしっかりと成功しています。

ちなみに、あらすじサイトで先を読んでしまいました・・・だって誰が7人目か知りたくて我慢出来なかったから・・・。


第五位 『プリズンスクール』




「エログロ」をやらせたら右に出る人は居ない「水島勉」の監督作品。原作は未読ですが、原作自体面白いのでしょう。

バカらしい内容ですが、だからこそ面白い!!


敢闘賞A 『実は私は』



80年代ラブコメを彷彿とさせる作品。どおって事無い内容なのですが・・・結構好きなんです、こういう作品。特に委員長のキャラが。



残念賞  『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』



最初の掴みはバッチリ。『図書館戦争』のエロバージョンとして期待大でしたが、生徒会長がデレた辺りから、『下ネタしか存在しない退屈な作品』になってしまいまいした。


特別賞 『食戟のソーマ』



ジャンプで連載が開始された当初は「つまらない」とさんざん酷評されていたと思いますが、ジャンプは作家を育てるのが本当に上手ですね。アニメ化の内容も素晴らしい。

とにかく「美味しいものを作りたくなる」作品。大人が見ても楽しめます。料理好きの方は是非。



以上、上位3作品と他の作品の差が大きいのですが、前期アニメを独断でランキングしてみました。



ちなみに今期アニメも注目作が多い


『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』

なんと、長井龍雪と 岡田麿里という鉄壁コンビがガンダムを手掛けるという話題作。1話、2話を見た限りにおいて『太陽の牙ダグラム』に近い肌合いを感じます。1話で世界情勢とキャラクターの性格をさらりと提示する辺り、脚本家としての 岡田麿里の力量を感じさせます。実はガンダムの第一話って「何だか訳分からない」という内容が多いだけに、期待させます。

『コンクリート・レボルティオ』

1965年生まれ(私と同じ)のベテラン脚本家「會川 昇」とボンズが仕掛ける意欲作。一言で言えば「石森章太郎」の世界。アニメの歴史を俯瞰しつつ、ウルトラマンを始めとする日本のヒーロー達が背負わされた宿痾に迫る作品。アニメでしか表現できない事にチャレンジしています。決してノスタルジーだけの作品では有りません。


『すべてがFになる』

森 博嗣の原作によるアニメ化。ドラマでも放映されていた様ですが、内容的にはアニメに向いている作品では?「あさのにいお」のキャラデザだけで萌えますが、オープニングも秀逸。

『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』

死体版の『ビブリア古書店』といった所。大人も楽しめる作品ですね。

『Dance with Devils』

今季のダークホースはこれで決まりでしょう。基本的に腐女子向けの作品ですが、『俺の青春ラブコメ・・』の第一期で注目された吉村愛の監督作品。「芝居がしっかりしている」ので、ミュージカル風の突飛な展開にも耐えられます。音楽が意外にゴージャスでGOOD。今季の我が家の女子枠です。

以上、ここら辺が今季注目作品。

今年もハロウィンがやって来る・・・黒田総裁、出番ですよ!!

2015-10-07 04:47:00 | 時事/金融危機
 

本日は下記サイトさんのデータを参考にさせていただきました。グラフ等も拝借しております。

「米国の労働参加率は本当に悪いのか?」
http://www.cmegroup.com/ja/education/featured-reports/labor-participation-rate-no-cause-for-alarm.html



■ アメリカの景気回復のウソ・ホント ■



「アメリカの景気は回復している」というのはウソでは有りません。各経済指標はリーマンショック前の水準に戻っています。

「アメリカの労働参加率は1977年10月以来の低水準に落ちている」・・・・景気が回復しているのに、何故労働市場から去った人も沢山居るの?

いったい、「アメリカの景気回復」はウソなのでしょうか、ホントなのでしょうか?

■ 労働参加率の定義に問題が有る ■



「労働参加率」とはアメリカにおいては「16歳以上の人口で労働出来る人の割合」を示します。ですから高齢でリタイアした人もこの中には含まれます。

アメリカの退職者は1950年代は生産年齢人口の11%程度でしたが、現在は20%を超えています。アメリカの「労働参加率」は1950年代から一貫して低下しているのです。

一方、就業率は2010年頃に舌打ちして、昨年辺りから力強く回復しています。これだけを見ると、「米経済は回復している」と言えそうです。

ただ、リーマンショック後に働き盛りの25歳から54歳までの労働参加率も低下し続けている事は確かで、アメリカの労働市場が完全には回復していない事を裏付けています。




■ 表面的には危機的状況は脱しが、一進一退の雇用市場 ■

アメリカの景気回復に貢献したのは「資産市場」の価格上昇(回復)です。リーマンショックで紙屑になった債権などの価格が回復した事で、アメリカの景気は表面的に回復した様に見えています。株式市場が市場最高値を付けるなど、むしろ絶好調に見えます。



一方、市場はアメリカの農業以外分野の雇用者数の推移に一喜一憂しています。9月は予想を大幅に下回ったとして、FRBの利上げ先延ばしの一因ともされています。

■ 雇用市場を支えているのは結局は緩和マネーによる資産価格の回復 ■




上のグラフはアメリカのGDPにおける産業別の構成比です。2006年とリーマンショック前のデータで現在とは若干異なると思いますが、大差は無いでしょう。

アメリカは製造業が既に衰退しているので、労働市場の大半を金融業やサービス業が占めています。これらの産業は景気動向に敏感です。

金融業は緩和マネーに支えられているのは明らかですが、サービス業も緩和マネーによる資産価格の回復の恩恵が大きいと思われます。

結局、現状のアメリカの雇用市場を支えているいのも、FRBを始めとした緩和マネーです。本来は実態経済のバロメーターである雇用市場までが、緩和マネーの影響を強く反映しているのが現在のアメリカの状況かと思います。


■ 緩和マネーに支えられた偽りの回復 ■

FRBが利上げに入る事で、「緩和マネーが縮小」すると市場が考えた時、偽りの回復は終了します。既にその兆候が見え始めています。

FRBが年末までに利上げを達成する為には「緩和マネーが減らない」と市場が理解する事が重要で、その為にはFRBの縮小する分を補う存在が必要です・・・。


FRBに注目していた視線が、クルっと日銀に向く時が必ずやって来ます。今年もハロウィンが近づいて来ました。