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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

消費税増税は景気回復を阻害する事が目的・・・景気回復に耐えられない日本

2015-10-07 03:54:00 | 時事/金融危機
 

■ 「消費税増税が異次元緩和の効果を相殺した」という主張は正しい ■

一部の「リフレ論者」が「消費税増税が異次元緩和の効果を相殺した」と主張していますが、私もこれは正しいと思います。但し、消費税増税の影響よりも「便乗値上げ」の影響の方が大きいかと。

牛丼 290円 → 380円

これは極端な例ですが、消費税は3%しか値上がりしていないのに、牛丼は30%も値上がりしています。スーパーの食材など、消費税増税に伴って便乗値上げされた商品は沢山あります。

何故便乗値上げされたかと言えば、円安で輸入コストが上昇していたから。本来ならばそのコストは商品の価格に上乗せされるはずでが、デフレ下で価格下落圧力が有る中では値上げは売れ行きを低下させるだけで、需要低下を招きます。

仕入コストを価格転嫁出来なかった各企業ですが、消費税増税時に商工会議者などは価格転嫁を指導していたとも噂されています。日銀の異次元緩和がインフレを達成する為には、標品の値上げが不可欠だからです。

結果的に、便乗値上げによって需要は低下し、日本経済は消費税増税以上のダメージを負ったと私は妄想しています。

■ 財政ファイナンス継続の為には2%のインフレ達成は阻止する必要が有る。 ■

財務省と日銀は異次元緩和によって「金融抑圧政策」という財政の延命作戦に突入しています。

金融抑圧= 低金利 + 適度なインフレの進行

第二次世界大戦後、アメリカは国債の上限金利をインフレ率よりも低く固定して、財政赤字を相対的に圧縮します。イギリスも同様に30年程を掛けて戦時国債の負担を軽減しました。これらを「金融抑圧政策」と呼び、財政赤字の軽減の一つの方法とされています。

「金融抑圧」の成立要件は、国債金利を低く固定したまま、インフレが進行する事で、まさに「異次元緩和」が目的としている事に見えなくもありません。しかし、現在の日本の潜在成長率はゼロ%近傍に張り付いていますから、「金融抑圧政策」は基本的に成立しません。

では、日銀の異次元緩和とは何かと問われれば「財政ファイナンス」に他なりません。日本は100兆円近い予算を組んでいますが、税収はせいぜい40兆~50兆円の間です。50兆円近くを国債で調達する必要が有りますが、それを支える国民の預金は、近い将来国債発行残高を上回ってしまいます。こうなると、国内で日本国債を安定的に消化する事が出来ななくなり、国債金利が上昇し始め財政の継続性に赤信号が灯ります。

こうなる前、国債市場を利用した間接的な財政ファイナンスで、日銀が国債を購入出来る様にしたのが「異次元緩和」の目的です。

異次元緩和は2%のインフレ率を達成すると国債買い入れを減らすテーパリングに着手する必要が有ります。しかし、新発国債の90%に相当する額を日銀が購入している状況で、日銀がテーパリングに踏み切れば、国債金利はポンと跳ね上がってしまい、低利の国債を大量に保有する金融機関や生保などはパニックに陥ります。

そもそも、現在の日本の財政は税収で支える事が出来ないので、異次元緩和という事実上の財政ファイナンス政策に突入した今の日本で、日銀のテーパリングは既に不可能となっています。

■ 消費税増税で景気に冷や水を浴びせる事で景気回復を阻害する財務省 ■

政府は実質2%(名目3%)の成長率で財政赤字を将来的に解消できるとしています。アベノミクス第二弾のGDP600兆円の目標も、この経済成長率を基本としています。

しかし、実際には実質成長率はゼロ近傍に張り付いていて、この目標を達成できそうにありません。その原因は消費税と便乗値上げに求められます。(当然、少子高齢化が最大の要因ですが)

日銀が資金供給を拡大する異次元緩和で、短期的に2%の成長を達成する事は多分可能でしょう。円安による輸入物価の上昇もそれに貢献します。しかし、異次元緩和を止めてしまえば円高に振れるので、すぐにインフレ率の上昇は下降に転じます。

景気が下降して税収が下がる中で、日銀の国債買い入れが減少すれば日本の財政が危機的状況に陥ります。

ですから、財務省は消費税増税で景気に適度に冷や水を浴びせて、2%の物価目標の達成を防いでいると私は妄想しています。消費税10%増税という予定も、景気回復の足を引っ張ります。

■ 既に景気回復に耐えられない日本の財政 ■

日本の成長力が安定して実質2%を達成するならば、財務省が表向き目指す財政再建は可能っでしょう。しかし、少子高齢化の状況でそれは無理です。結局、日本は異次元緩和という財政ファイナンスを止める事が出来ません。

これを言い方を変えれば、「日本の財政が景気回復に耐えられない」となります。この場合の景気回復とは短期的な2%の成長です。(継続的なら問題有りませんが・・・)

では、異次元緩和が10年も20年も継続可能かと言えば、それでは誰がどう見ても「財政ファイナンス」となってしまい、為替市場で円が暴落します。


・・・・そう考えると、今後5年以内に「ウヤムヤになる法則」が発動するのではないかと妄想が膨らみます。「ウヤムヤになる法則」とは、世界的な金融危機の勃発と、それに伴う軍事的緊張の高まりで、世界の国々が「戦時経済に突入する」という「歴史的な法則」です。

リフレ政策という「異常な金融政策」の結果はドルもユーロも含めて「通貨の信用喪失」で終わると思われますが、そうなると国債市場も暴落を演じますから、「ウヤムヤになる法則」を発動せざるを得なくなります。

もしこのシナリオが現実化するならば、財務省も日銀も、異次元緩和の継続性や、日本の財政の継続性を本気で考える必要が無くなります。時間稼ぎで良いのですから・・・。


まあ、クレージーな妄想ですが、陰謀論ですから笑い飛ばしていただけたら・・・。

現代のお金は「ツール」である・・・将来的に減価する円の使い道

2015-10-05 10:09:00 | 時事/金融危機
 

■ 日本は財政が破綻するかも知れないのに、何故他国の援助をする必要が有るのか? ■

「日本は財政が破綻するかも知れないのに、何故他国の援助をする必要が有るのか?」という疑問の声を良く聞きます。借金で首が回らない家庭が、隣りの家にお金を貸してどうするんだ・・・こんなイメージに近いかも知れません。

■ 現代のお金は経済の「ツール(道具)」である ■

ニクソンショックで金兌換制度が停止されて以降、お金は「物」としての価値を失いました。要は紙切れに過ぎません。そんなお金の価値を支えているのは「経済のツール(道具)」としての価値です。「商品やサービスとと交換できる」ことがお金の価値を支えています。

■ 「価値」を空間と時間の制約から解放するお金 ■

ツールとしてのお金の効果の一つに「時間と空間のトリック」というものが挙げられます。

お米を売る事でお金を手にした農民が、すぐ他の商品を買った場合、その行為は物々交換と対して変わりません。ただ、欲しい商品を売っている人がお米を欲している場合だけとは限りませんから、一度お金というものに交換する事で、物々交換の対象者が拡大されます。この場合、お米をお金に変換する事で、物理的な重さや大きさからも開放されるので、「空間的制約」から解放され移動の自由度が増します。

さらに、お金はすぐ使う必要が無いので、「時間的制約」からも解放されます。


■ 国家レベルの時間と空間のトリック ■


途上国への経済支援は、通貨の持つ時間と空間を飛び越える効果を有効に活用しています。

1) 日本国債を発行する
2) 日本国債が市場で「円」に交換される
3) 「円」が途上国に低利で貸し出される

4) 途上国がある程度の経済発展を遂げる
5) 途上国が「円」を返済する

実際にはドルを間に挟んで途上国通貨と円が交換されますが、円が地理的制約を越えてアフリカなどで経済発展に貢献する事になります。

1) 途上国が経済発展を遂げ、途上国通貨が対円で値上がりする
2) 途上国が円を返済するときには、その負担は軽減される


上の例で、もし途上国の返済前に日本が財政破綻していれば、円安によって途上国の返済負担はかなり軽減されます。

こう考えると、「日本の財政破綻からの超円安」が予想されるからこそ、円は途上国支援のツールとして有効なのではないのか。お金がツールであるならば、こういう使い方は世界全体の発展の為には有効では無いでしょうか?だからこそ、世界は日銀の財政ファイナンスに目をつぶる。



未完成の魅力・・・松崎ナオ 『川べりの家』

2015-10-03 14:13:00 | 音楽
 

[[youtube:-NQ1T4vvK58]]

■ 『ドキュメント72時間』のテーマに採用された松崎ナオ ■

NHK大河ドラマ『花燃ゆ』をカミサンがワンセグで見ていた。(我が家にはTVが無いので)
かつての面影も無い松坂慶子がちらっと写っていたので、思わず『ウルトラセブン』に出演していた15歳頃の松坂慶子でも見て口直ししようとGoogleで「マツザ」まで検索ワードを打った所で候補一覧に松崎しげると一緒にチラリと表示された「松崎ナオ」に目が留まりました。

ああ、一時よく聴いていたなと思って松崎ナオを検索すると『川べりの家』の動画が大量にヒットしました。???

こんなマイナーな歌手に何で今頃注目が集まっているの?って不思議に思って「川べりの家」で検索すると、どうやら2013年から2期目が始まったNHKの『ドキュメント72時間』という番組のテーマソングに採用されて一部で話題になったらしい。(テレビ無いので見れませんが・・)

この曲、2006年発売の『Flower Source』というアルバムの2曲目に収録されていたのですが、何で今更・・・・。
ちょっと調べたら、NHKのこの番組のプロデューサがCDショップで掛っていたこの曲が『ドキュメント72時間』のイメージにピッタリだと感じで製作会議で決定したのだとか。発売あから時間も経っていたので、月に数枚しか売れる事の無かったこの曲にシングルは1000枚のバックオーダーを抱える事になったとか。メデタシ、メデタシ。

■ 未完成の魅力 ■

松崎ナオの魅力は何と言っても「触れれば壊れてしまいそうな不安定さ」です。繊細というよりは「ネジが緩んでいる・・」と言うか「暴走しそう・・・」と表現した方が的確なある種の未熟さが初期のアルバムにはありました。一言で言えば「イタイ」のが魅力のミュージシャンです。


風の唄  松崎ナオ

デビューアルバム(ミニアルバム?)の『風の唄』の各曲は「普通の言葉」で書かれているのに不思議に心に浸透する力を持っています。


『花びら』  『風の唄』より


不思議な事に、歌はいたってシンプルなのにアレンジが超ぶっ飛んでいるのが松崎ナオの初期のアルバムの特徴です。


『白い』  『風の唄』より


私は2枚目のアルバムの『正直な人』が彼女の最高傑作だと思います。


『正直な人』 松崎ナオ

一曲目の『true colors』が好きな曲ですが、あいにくネットに音源が見つからないので、2曲目の『哀しみが止まらない』を紹介します。これもシンプルな名曲かなと。

[[youtube:IT-9NQFIlvY]]
『哀しみが止まらない』  『正直な人』より

このアルバムもアレンジが超ヘビーで、アルバム1枚を通しで聴くとゲッソリします。

このアルバムが発売された1998年は椎名林檎がデビューした年です。彼女の『無罪モラトリアム』(1999年)も衝撃的でしたが、亀田誠治のプロデュースはヘビーかつポップですが、松崎ナオのこの初期のアルバムはもっとヘビー&ディープ。デビューアルバムのプロデュースは渡辺善太郎と松本靖雄。渡辺善太郎は「詩人の血」のギタリスト。CHARAの『やさしい気持ち』のアレンジなど多くのアーティストを手掛けていますが、ちょっと腐ったポップスと言うかデカタンスを感じるアレンジが多い様です。

■ シンプルさの獲得 『虹版』 ■


『月と細胞』  『虹版』(2001年)より

続く3枚目のアルバム『虹版』は、一転してシンプルなアレンジ。このアルバムをベストに挙げる方が多いのではないでしょうか。

■ 椎名林檎との奇跡のコラボ 『木綿のハンカチーフ』 ■

『虹版』は松崎ナオをメジャーに押し上げても良い内容だったのですが・・・こういうミュージシャンって本当に売れないんですよね・・・。

そんな折、奇跡の様な出来事が・・・

椎名林檎のカバー曲アルバム2枚組の『歌い手冥利』(2002年)の中の一曲『木綿のハンカチーフ』で林檎ちゃんが何と松崎ナオとデュエットしています。原曲の良さを残しながらも現代的に生まれ変わったこの曲ですが、何で松崎ナオなの・・・って疑問は置いとく事にします。しかし、林檎ちゃんと一緒に歌うと、松崎ナオは至って普通。林檎ちゃんの非凡さが引き立つ結果となりちょっと微妙ですが・・・。

youtubeに何故かパフュームの映像と一緒にアップされていましたので、ちょっと拝借します。アレンジは亀田誠治ですね。



■ メジャーアルバムから離れていた時期 ■

その後2003年に4thアルバムの『FLOR TREM』を発表します。このCD,タワーレコードの限定販売でした。多分、この時期にエピックとの契約が解除されたみたいで、その後はインディーズレーベルからアルバムを発表しています。



このアルバム、今までとガラリと趣が変わり、「ロハス」なんて言葉を連想させる自然でシンプルな肌合いの演奏になっています。




冒頭で紹介した『川べりの家』は、その後に発表された『Flower Source』の2曲目に納められています。アルバム全体としては「普通」になってしまった感じがして、これから後のアルバムは持っていません。

松崎ナオの魅力は「未熟な不安定さ」にあるので、をれをいつまでも保ち続ける事はなかなか難しいのでしょう。似た様なタイプに小島真由美が居ます。

松崎ナオ、小島真由美、小谷美佐子・・・ここら辺が私のかつてお気に入りでした。ちょっと「イタイ」タイプですね。ここに初期の林檎ちゃんを加えると、完璧。






リストの『超絶技巧練習曲』とウクライナ・・・マゼッパ

2015-10-02 06:39:00 | 音楽
 



■ リストの『超絶技巧練習曲』■

古いLPレコードを整理していたら、昔ジャケ買いしたリストの『超絶技巧練習曲集』が出て来ました。実は『ラ・カンパネラ』が欲しかったのですが、この曲は『超絶・・』の曲では無かったのですね。だから、このレコードは長い間、聴くことも無く眠っていました。

こんなレコードいつ買ったっけ・・・なんて思いながらレコード針を落としてみてビックリ、まさに『超絶技巧』の演奏が飛び出して来ました。演奏しているのは旧ソ連のピアニストのラザール・ベルマン(Lazar Berman 1930-2005年)という人。1963年の録音ですから、私の生まれる前の演奏です。

Youtubeに音源がアップされていたので第4曲『マゼッパ』をちょっと聴いてみましょう。



左手の和音が混濁しがちと言われるこの曲ですが、フォルテシモはまさに雷鳴の様。ダイナミックなスケール感と繊細さを合わせ持つ素晴らしい演奏です。

この曲、どこかで聞いた事が有るなと思い「これって水谷豊が弾いていたやつ?」って聞いたら、カミサンは英雄ポロネーズのフレーズを歌い出した・・・。「うーん、それじゃなくて・・」

ネットで調べてみたら、水谷豊が『赤い激流』で弾いていたのは次の曲目だった様です。

1次予選:ショパンの「英雄ポロネーズ」
2次予選:リストの「ラ・カンパネラ」
本選:ベートーベンのピアノソナタ「テンペスト」

ちなみにピアノ演奏は羽田健太郎が担当しています。

■ フランツ・リストは現代のビジュアル系ロックスターの元祖 ■

リストの『超絶・・』は、昔は多くの演奏家がチャレンジしていたと記憶していますが、最近は演奏される機会が減っています。(私は30年程前にリヒテルの人見記念講堂の演奏会で聴いたと思い込んでいましたがどうも記憶違いでした・・・。)

確かに演奏は難しく超絶技巧を要求するのですが、曲としての出来栄えはショパンの方が優れており、技巧的にもショパンの方が実は難しいというのが、評判が落ちた理由の様で、最近ではコンテストの課題曲にもんならないとか・・・。

ネットの質問箱を覗くと「超絶を弾きたいのですが」という若い子の質問に、「手を壊すだけで全然良く無い。古典からしかりと練習しなさい」などという回答が書かれていたりします。

すっかり評判が下がってしまったリストですが、『ラ・カンパネラ』の演奏などを見るとカッコイイ!!・・・しかし、良く見るとこれって右手で弾く所をワザワザ左手を交差させて弾かせてないか・・・。

そう、リストの超絶技巧の曲ってカッコよく「見せる(魅せる)」為に書かれているのです。まさに「ビジュアル系」の元祖。



実はリスト本人はチョー・イケメンで、演奏会でご婦人方が失神する程のスーパースターだったのです。さらに現代でも彼を超えるピアニストは居ないと言われる「ピアノの魔術師」でした。

ですからリストのピアノ曲は生の演奏会で「見て」ナンボのものなのかも知れません。

■ ウクライナの第二の英雄、イヴァン・マゼーパ(マゼッパ) ■



ところで前出の『超絶技巧練習曲集』の第4曲『マゼッパ』ですが、ちょっと変な曲名なので気になって調べてみました。

イヴァン・マゼーパ(Jan Mazepa Kołodyński 1639 - 1709年)はウクライナのコサックの棟梁だった人物です。ロシアのコサック兵で有名なコサックは、ウクライナがまだ荒野だった15世紀半ばに草原地帯で勃興した武力集団だそうです。自由と独立を重んじるその気風からリトアニア王国の影響力が及ばない地域で自治制を有していました。ただ、援軍として数々の戦闘で勇敢に戦った様です。

マゼッパはウクライナ・コサックの勢力拡大に尽力した人物としてウクライナ人に人気が有り、ロシアのピヨトル1世に背いてスエーデンと組み、ロシアと戦おうとしますが、ポルタヴァの戦いで敗れ、マゼッパはトルコに敗走します。その後ロシアはウクライナへの影響力を強め、コサックの自治も廃止されます。

ウクライナはその後ロシアやオーストリアの影響下に置かれますが、18世紀に勃興した民族主義によって独立の気運が高まり、ついに1917年、ろしあ帝国の滅亡によって独立を勝ち取ります。しかし、社会主義政権となたキエフ政府は1919年以降ロシアの傀儡政権と化し、ソビエト連邦時代にも事実上ロシアの支配を受ける事になります。

この様に、ウクライナの歴史は周辺諸国による占領の歴史、とりわけロシアの支配下に置かれた時代が長く、現代のウクライナ国内でロシア人の排斥が起こるのは当然の事とも言えます。コサックの子孫達はロシアは歴史的に敵視しているのです。


現在も民族主義が台頭するウクライナですが、リストの時代にはスラブ系民族を中心として民族主義が台頭し、リストと同時代の作曲家達の中にははスメタナやドボルザークの様な「国民楽派」と呼ばれる民族主義を象徴する人達が活躍します。リスト自身はドイツロマン派に分類されますが、『マゼッパ』を題材に取り上げている事からも、この時代の民族主義と無縁では居られなかったのかも知れません。(民族主義がロマンチックと受け止められていた影響が大きいと思いますが)



本日はお蔵入りしていたLPレコードを聴きながら、ウクライナの歴史をちょっと勉強してみました。


郵政株は買いか?・・・持ってて良かった!?

2015-10-01 08:38:00 | 時事/金融危機
 

■ 老人達に郵政株を勧める証券各社 ■

実家の母の所には毎日の様に証券会社などから「郵政株」を勧める電話が掛ってくる。

「ねえ、郵政株って儲かるかしら」と聞かれたので、「きっと値下がりするから買わない方が良いよ」と答えると、「だって、TVや雑誌でも儲かるって書いてあるわよ」だって・・。

■ プロは買わない郵政株 ■

国内機関投資家などは郵政株にあまり興味を示していないと言われています。(国内販売の95%が国民なので、プロは実際には買えませんが・・・)

ゆうちょ銀行は177兆円という莫大な預金残高を抱えていますが、運用ノウハウを持っていないので今までは日本国債中心に資金を運用して来ました。

しかし、日本国債の金利は異次元緩和で極限まで低下しており、最早国債で利益を上げる事は難しくなっています。ゆうちょ銀行は異次元緩和で手持ちの日本国債を日銀に売却しており、その資金を米国債や日本株や海外株式に投資し始めています。これは金利を考えれば当然の判断です。ゆうちょ銀行の国債運用率は50%を切っています。

現在は日銀の国債を高値で売却して利益を上げる事が出来ますが、将来的にこれが継続する訳では有りません。運用ノウハウの乏しいゆうちょ銀行は銀行としの収益性に根本的な問題を抱えています。

業務規制が存在する為にカードローンや住宅ローンなどの個人貸付や企業向け融資を制限されているから融資残高が少ないのですが、しかし実際のこれらの融資業務が解禁になったとして、ゆうちょ銀行の現行の職員が融資における適切なリスク管理が出来るとは思えません。石原都知事が設立した「新銀行東京」の様に、地域の企業との癒着などで不良債権の山を築く可能性が高いのでは無いかと私は妄想しています。

■ 巨大な投資銀行になりつつある ■

日本最大の預金残高を誇るゆうちょ銀行が融資業務を拡大すると、地方銀行や信用金庫、さらにはメガバンクなどの民業を圧迫する事にもなりかねません。そこで、ゆうちょ銀行は資金を市場運用する方向を選択すると思われます。

ゴールドマンサックスの元日本副社長を市場運用部門のトップに迎えるなど、ゆうちょ銀行も運用ノウハウを高度化させようとしています。銀行というよりも巨大な機関投資家、あるいは投資銀行に近い存在になる可能性が高いのではないでしょうか?

参考までに現状のゆうちょ銀行と三菱東京UFJ銀行の比較を見つけたので紹介します。

             ゆうちょ銀行       三菱東京UFJ銀行

売上          2兆781億円7900万円   2兆8565億円

経常利益(利益率)   5695億円(27.4%)   9026億円(31.6%)

店舗数         2万4000         国内931・ 海外105

預金残高        177兆円         152兆円

融資額         2兆7840億円       98兆円

国債保有残高      101兆6439億円     29兆円





■ 投資銀行のリスク ■

リーマンショックではアメリカの投資銀行の全てが事実上の経営破綻に陥りました。一時的に債権や金融商品の価格が暴落した為に、その市場で資金運用していた投資銀行は、資産を時価評価すれば債務超過に陥ったのです。

アメリカではこれらの投資銀行を商業銀行に吸収合併させて延命します。法律では投資銀行には公的資金を注入出来ないので、商業銀行に合併させて公的資金を注入したのです。

それでも時価評価では受け皿になった商業銀行の経営が怪しくなるので、いい加減な調査でえ経営状態を誤魔化して嵐が去るのを待ちました。

政府やFRBが一時的に紙屑となったMBSなどを買い取る事で、市場は落ち着きを取り戻し、アメリカの銀行の業績は急回復しました。

ゆうちょ銀行が今後、一般の貸付で利益を稼ぐ商業銀行として成長する可能性は低く、巨大な投資銀行になる可能性が高いと思われますが、先述の様に投資銀行にはリスクが付きまといます。

■ プロは買わないから国民に郵政株を押し売りする政府? ■

政府は郵政株の国内販売分の95%を国民に販売するとしています。これ、プロは買わないから国民に買わせるという事の様にも受け取れます。

多分、郵政株の公開からしばらくして日本株市場は外資によって暴落するでしょうから、NTT株よろしく多くの国民が郵政株を高値掴みさせられる事になると思います。

■ 郵政株が値下がりしてからが外資やプロの出番 ■

日本株の暴落局面で郵政株を手放す国民も多いでしょう。外資やプロはそこを狙って行くと思われます。仮にゴールドマンサックスが郵貯株を大量に保有する事になれば経営に関与する事も可能になります。

そうなれば177兆円という運用資金が彼らの手に入る訳で、まさに濡れ手に粟状態です。

尤も現在も市場運用部門のトップはGSのOBですから、既にGSの手中に有るとも言えますが・・・民営化されたゆうちょ銀行を支配出来れば、日本政府の意向を無視した運用も可能です。極端な話、日本国債を叩き売るなんんて事も出来ちゃいます。(やらないでしょうが・・・日本政府や財務省は首根っこを押さえられる事になります。)


■ 国民に買わせる意味 ■

ところで仮に日本株が暴落して日経平均が1万円を切る状況が発生した場合、郵政株を保有する国民はこれを手放すでしょうか・・・。

「このまま持っていれば又いつか値上がりするかも知れない」と考えるお年寄りも多いのではないでしょうか?

リーマンショック時に投資信託が暴落した時、老人達の多くはこれを手放さなかったのでは無いでしょうか。毎月払いのタイプを持っていた人が多いので、基準価格が暴落しても毎月お金が入るので年金感覚で保有し続けた方が多いかと思います。

そもそも郵政株を購入するような余裕のある老人は、「あれ、ちょっと損しちゃったわ」なんて感じで、慌てて郵政株を売る様な事は無いのかも知れません。

■ 財政危機でインフレが発生すれば株は資産保全の手段になる ■

私はいずれ日本の財政は破綻状態になり、円の信用低下によるインフレが発生すると妄想しています。

株はインフレに強い資産で、インフレ率にリンクして株価も上昇します。将来的に日本が高いインフレに突入した場合、預金で資産を保有するよりも株で保有する方が資産保全としては有利です。

こう考えると、政府が国民に郵政株を持たせる事が決して無駄では無い様にも思えてきます。

郵政株は「買い」ですが、それは「今」では無くて「暴落後」では?尤も、ゆうちょ銀行が将来的に破綻しない事が大前提となりますが・・・。