幼児虐待を扱い、それに行き場所をなくした老人の旅を絡めて描く奥田瑛二監督第3作。前作『るにん』には驚かされた。あれだけのスケールの映画を独立プロで撮り、しかも娯楽作品としても成立させているなんて、奇跡だと思った。しかも採算を度外視して作ってしまうという凄さである。ヒットさせないつもりでは当然あるまいが、よくぞここまで妥協のない作家性を貫いたものだ。今時これほど腰の据わった作家は居ない。これは、た . . . 本文を読む
文明社会に対するメル・ギブソンの痛烈な批評が込められた作品。ここまで拘った完璧主義には、感動するやら、呆れるやら。ほとんど偏執狂的な作り方で、リアリティーへのあくなき追求というよりも、これは自虐的にすら見える。マヤ語で全編通すというのは、あたりまえのことだが、画期的。彼にとっては、残酷シーンも映画として当然なのだが、なんだか無茶してるだけのようにも見える。
何が彼をして、ここまで拘らすのだろ . . . 本文を読む
箕面東『それは現実に継ぐ物語』には参った。ここまでアングラしてくれると笑うしかない。彼らは心から、それを楽しんでいる。お芝居ってほんとうに楽しい。照明と音響、美術、衣装、それらを最大限に生かして舞台の上に不思議な世界を作り上げていく。芝居だからできること、芝居にしかできないもの、それを作り上げるために夢中になっている。
僕たち大人たちすらそれを一緒に楽しんでしまう。ストーリーもよく考えられて . . . 本文を読む
今年のHPFハイライトはこの1作に尽きる。よくぞまぁここまでやりきってくれたものだ。今という時代に向けて、これだけ熱いメッセージを声高に語りかけようとするお芝居を僕は知らない。そのストレートさは、この胸を熱くする。
70年安保なんて知らない世代に革命を語らせようとする総演出の山本篤先生は、その無謀さすら力に変えてしまう。見る前は独りよがりにすらなりかねない暴挙だと思えた。今の高校生に学生運動 . . . 本文を読む