イオセリアーニの4年振りの新作である。相変わらずのノンシャランぶりで、彼のやることはいつもいつも同じだ。それがうれしい。
一国の大臣が辞職させられる。なのに彼はその大事件を人事みたいに受け止める。まるで何とも思ってないだけでなく、仕事から解放されて、無邪気にのんびり人生を送ろうとする。お金なんかなくても、家もなくてもなんとかなるさ、と暢気に構えている。そして、現になんとかなっていく。
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これを現実の風景として見るとなんだか少しいびつで、ありえないな、と思うが、今僕らが生きるこの世界を、少し歪ませるとこんなにも不気味なものに見える可能性は十分ある。
家族4人はばらばらで、同じ家で暮らしているはずなのに、全く心が通い合っていない。表面的には普通にも見えるが、ひとりひとりはとても異常だ。
兄は、いきなり米軍兵士となって中東の戦場に行く。家族を守るために戦争に行く、と彼は言うが . . . 本文を読む
朗読劇と銘打っているが、これはジャンルとしては完全にひとり芝居だ。テキストを持ち朗読するシーンも一応あるけれども、それも全体の中での演出のひとつであろう。
まぁ、ジャンル分けなんて別にどうでもいい。作品が面白かったかどうかが大切で、それ以外の事はどうでもいい。70分ほどのこの作品は、舞台の上で役者である豊島さんが「ひとり」であることを、作品自体の力としたとてもよく考えられた芝居だと思う。
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