吉祥寺という街が生き生きと描かれてある。まずそこが気にいった。なんだか幸せそうなのだ、この街は。なんでもない街なのに。そこがいい。
主人公は40代の女性漫画家(小泉今日子)。映画は彼女の日常のスケッチなのだが、それがとてもリアルに描かれている。でも、それはまるで魔法の世界のようなすがすがしさ。絵空事というのとはちょっと違う。なによりまず彼女たちはなんだか楽しそうだ。
もちろんノーテンキで . . . 本文を読む
この北野武の新作を見ていると、ビートたけしの持っている暴力的な衝動は1歩間違えれば喜劇になるという当たり前に事実に改めて気付かされる。
初期の作品の抑えたタッチは彼の本来の資質を抑え込むことで生まれた異形の世界だった。最近の過剰な作品こそが彼の本来の資質なのかもしれない。今回だって必ずしもシリアスな作品とは言えまい。おふざけが過剰であり、全体のバランスを崩しかねない状態だ。しかし、それこそが . . . 本文を読む
今回はとても軽めの芝居になっている。探偵もので、もちろんミステリー仕立て。(はせさんがいかにも好きそうな設定だ)ただ、この主人公、あと半年の命で、しかも、今少しずつ記憶を失っていっている。このまま自分が誰なのかすらわからなくなるのか。そんな設定の下、お話は展開する。
死をテーマにしているのに軽いタッチの作品になっていて、ラストも含めてとても爽やかなのもいい。久々に栗木己義さんが主演。彼がけっ . . . 本文を読む
いつもほんとに変な芝居を見せてくれる(これは褒め言葉)劇作家集団ヨヴメガネの新作は2話からなる連作。本当なら栗田俊之さんの新作と松永恭昭さんの2本立のはずが、諸般の事情で松永作品の2本上演となった。
彼の台本はいつも話の輪郭がはっきりしない。それが魅力でもあるが、連続でやられるとすこしへこたれる。1本目の『へ~たんな路』はゲームをする男女と、小説を書いている女とそれを見ている男、この2組の話 . . . 本文を読む