習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『わたし達はおとな』

2022-07-03 20:41:13 | 映画
これもまた20代の女性に生き方を描く映画だ。主人公のふたりは大学生なので、『わたしは最悪。』や『リコリス・ピザ』のふたりよりは若い。実はこれは先週に見た映画だが、書くのを後回しにしていた。つまらないからではない。地味な映画だけど、とても誠実な映画だ。それだけに息苦しい。だから、書くのを先送りしてしまったのだ。 主人公のふたりは現役大学生に見えない。20過ぎではなく、20代後半に見えてしまうのが少 . . . 本文を読む
コメント

『リコリス・ピザ』

2022-07-03 19:47:37 | 映画
なんとこれで今年のアカデミー賞の作品賞ノミネート10作品、すべてを見たことになる。快挙だ。たまたまだが、こんなことって今までなかった。だいたいすべての映画が日本で公開されているわけではないし。でも、今年はすでにアカデミー賞授賞式の段階でほぼすべての映画が公開されていたのだ。配信の力もあろうが、今はそんな時代になってしまったのかもしれない。いや、やはりそれは今年だけ特別なのかも。まぁ、そんなことはど . . . 本文を読む
コメント

『わたしは最悪。』

2022-07-03 19:03:25 | 映画
映画のタイトルとしてこれはどうか、と思う。反語的意味でとらえるべきなのだけど、それは映画を見た後でなくてはわからない。でも、観客はこのタイトルでは見ない(見たい、と思わない)のではないか。というか、最悪なあんたの話なんか誰も見たいとは思わないはず。 この映画が、「序章、12章、終章」からの展開になるということを最初に提示して帰着点を明らかにするところから始めたのはなぜだろうか。彼女がどこに行きつ . . . 本文を読む
コメント

『三姉妹』

2022-07-03 17:46:55 | 映画
こんな不幸のつるべ打ちって、どうよ、と思う。途中から笑うしかないな、とも思う。確かに三姉妹はそれぞれ精一杯生きている。でも、こんな話ありなのか、と驚く。これはいくらなんでもあんまりな展開ではないか、と思うのだ。映画はこの三姉妹のそれぞれの「今」を描く。彼女たちが抱える問題と向き合う。悲惨というのとは少し違うけど、なんだかなぁ、と思うし、とんでもない。もう少しなんとかなりませんか、と思う。長女の弱さ . . . 本文を読む
コメント (1)

加納朋子『空をこえて七星のかなた』

2022-07-03 17:26:09 | その他
紹介文には「南の島で、山奥のホテルで、田舎町の高校で。星を愛し星に導かれた人々が紡ぐ七つのミステリー」とある。そうか、これはミステリーなのか、と僕は思う。でも、ほんとうはそうじゃない。良質のミステリーは最良の人間ドラマでもあるから、つまらないジャンルわけの分類なんかどうでもいい話なのだが。 この短編連作は、まず独立した星を題材にした短編集として素晴らしい。同時に連作長編としてのスタイルも踏んでい . . . 本文を読む
コメント

吉野万理子『恋愛問題は止まらない』

2022-07-03 16:48:03 | その他
リレー形式で描かれる群像ドラマ。第1部は30人のエピソードの連鎖。バトンを渡されたメンバーがお話を(どんどん)つないでいくのだが、その人物が主人公となり、独立したエピソードがそこには描かれる。でもその小さな連鎖が最終的にはひとつの大きな物語へと変貌する。5年後を描く第2部がただのまとめ(あるいはオチ)ではなく、ふたりのラブストーリーのハッピーエンドになる。空白の5年間までもがそこには描かれることに . . . 本文を読む
コメント

大山淳子『猫弁と幽霊屋敷』

2022-07-03 13:30:35 | その他
昨年『猫弁と鉄の女』を読んで驚愕した。面白すぎる、と。こういう軽いタッチの小説は山盛りあるけど、そこに描かれる主人公たちの生き方が素敵だから、心地よく作品世界に浸れるのがいい。夏川草介の『神様のカルテ』シリーズと同じだ。こういう生き方にあこがれる、というか、たぶん自分の中にもそういう一面があるから、共感したのだろう。真面目過ぎて、損ばかりしている。でも、自分ではなんとも思ってないから、これはこれで . . . 本文を読む
コメント

あみゅーず・とらいあんぐる『ほどらひの夢』

2022-07-03 12:20:58 | 演劇
「しゃば・ダバ・だぁリーディング その11」である。あみゅーずは、毎年7月、11年間連続でこのリーディングスタイルでの夏公演をしている。毎回いろんな工夫を凝らしていくうちに、彼女たちは「リーディング演劇」というものを定着させ、極めたのではないか。今回、今までで一番完成度が高い作品に仕上がっている。 取り上げたのは中島京子、川上弘美、山崎マキコの3人の作品だ。先の2人はおなじみのみんなが知っている . . . 本文を読む
コメント

スラステ slatstick 『Love in Smoke』

2022-07-03 11:31:42 | 演劇
「スラステ  初のなんちゃってミュージカル」なんてチラシには書かれてある。しかもタイトルの真下にしっかりと白抜きで。タイトルである『Love in Smoke』よりも目立っている。だが、そこにこそ実は今回の彼女たちの(もちろん、中村なる美と 永津真奈ですね)強い意志を感じる。これは本格ミュージカル、では断じてなく、というその差別化が楽しい。もちろんそれは作り手の弱気ではなく、ましてやふざ . . . 本文を読む
コメント