習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『オンディーヌ 海辺の恋人』

2013-04-06 21:11:35 | 映画
ニール・ジョーダン監督の新作がようやくDVDでだが公開された。2009年作品だから、厳密には新作とは言えないが、(この作品の後にも新作を撮っているし)最近は彼の映画が日本で劇場公開されていないのだから、DVDリリースでも、とても嬉しい。表面的にはメルヘンチックなラブストーリーという体裁を取るが、もちろんただ甘いだけの映画ではない。アイルランドの海辺の町を舞台にして、人生に疲れた男(コリン・ファレ . . . 本文を読む
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オリゴ党『社会的な彼女』

2013-04-04 23:07:21 | 演劇
 岩橋さんが今回初めて家庭劇に挑戦する。もちろん彼のことである。ふつうのホームドラマなんかにはならない。では、そこで何をするのか。  彼が今回ここに仕掛けるのは、劇空間であることによって生じる内面の声が外に出てきてしまってそれをお互いに聞いてしまったりする、というスタイルだ。その結果、猫の会話なんてのも、人間との間に生じる。そんなことしたって、別に特別なことが生じるわけではないのだから、やめりゃ . . . 本文を読む
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『ドラゴンボールZ 神と神』

2013-04-04 22:40:34 | 映画
 入場者プレゼントでドラゴンボールをもらった。7つとも貰えたら凄いのだが、ひとつだけだ。でも、そのほうがいい。願いがそう簡単に叶ったりしたら、つまらない。  17年ぶりの『ドラゴンボールZ』のアニメ版。あの忘れるしかないアメリカ映画の実写版のことは、置いといて、今回の映画に期待したのは、最初の興奮だ。天下一武道会で続々と現れる敵たちと楽しそうに戦う悟空。あの素朴さを僕たちは忘れない。  今回の . . . 本文を読む
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西加奈子『ふくわらい』

2013-04-04 22:35:39 | その他
最初は戸惑う。この主人公である女性のとんでもないキャラクターには誰もが驚くだろう。ありえない。でも、彼女は確かにそこに存在し、そんなふうにして生きている。人付き合いが悪い、とか、そういうレベルではない。大体、〈定〉という名前からしてちょっと、である。しかも阿部定ではなく、マルキ・ド・サドをもじってつけられた。そんな名前を付けるなんて、そこからしておかしい。名字が〈鳴木戸〉だから、というのも、あん . . . 本文を読む
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クロムモリブデン『連続おともだち事件』

2013-04-02 21:48:06 | 演劇
 クロムを見ると、ほかのつまらない芝居(というか、他のすべての芝居!)なんて、見ていられない、と思う。レベルが違いすぎるからだ。しかも、その独自の文体は他の演劇作品の追随を許さない。なんて、書き始めてしまうと、そこまで言い切っていいのか、と自分に対して、少しびびってしまうけど、思わずそう書きたくなるほど、これはおもしろいのだ。切り口の鮮やかさ。へんにテンションの高い役者たちの芝居。いったいこれから . . . 本文を読む
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『ザ・マスター』

2013-04-02 20:34:17 | 映画
ポ-ル・トーマス・アンダーソン監督の新作は新興宗教の教祖とその信者となる心を病んだ男との確執劇。フィリップ・シーモア・ホフマンとホアキン・フェニックスのバトルが全編を彩る。ストーリーらしいストーリーがない。彼らの関係性を軸にして、それぞれの一方的な想いがぶつかり合うばかりだ。しかも、まるで救いがない。延々と続く諍いと和解、さらなる諍い。その繰り返し。 だが、その繰り返しから目が離せない。ホア . . . 本文を読む
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『GF*BF』

2013-04-02 20:24:18 | 映画
こういう青春映画が見たかった。話自体はけっこうシビアだけど、心に沁みる。高校時代から始まり、20年間に及ぶ3人の軌跡が描かれる。男2人、女1人という黄金のパターンなのだが、3人の気持ちが、微妙なところでどんどんすれ違う。実は男同士も好き、というのも、なかなか。でも、ホモもの、というのではない。  2人の男がひとりの女の子を同時に好きになる。そこから3人の愛情物語が始まる。愛情と友情の板挟みに悩 . . . 本文を読む
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犬鍋ネットワーク『先生、あのね』

2013-04-02 20:20:14 | 演劇
 前回の『GET UP村』もこんな感じだった。決して悪くはないのだ。だから今回だってまた見てしまう。でも、やはり、がっかりする。作者は、自分の発想のおもしろさを信じきれてない。だから、そのまま、安易にゆるくて甘い作品にして終わり。せめて上演時間を90分にしたなら、もっと考えて作れるのに、60分というお気楽な長さを選択することで、大切なものがみんな抜け落ちてしまうのだ。この手のアイデア勝負の作品はデ . . . 本文を読む
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銀幕遊学レプリカント『眼帯のQ』

2013-04-01 22:03:41 | 演劇
 この手の作品はめっきり減ってしまった。わかりやすくて、たのしい、そんな芝居ばかりが横行する。本来演劇の持っていた可能性は今の小劇場の芝居にはない。そんな中、レトルト内閣の三名刺繍と銀幕遊学レプリカントの佐藤 香聲が仕掛けたこの作品はとても挑発的で刺激的だ。60年代から70年代アングラの王道を行く作品だ。見世物小屋的なドキドキと闇の世界の魔力を併せ持つ。見ている間はなんだかよくわからないけど、でも . . . 本文を読む
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