タイトル通りコロナ前に書かれたエッセイを集めたもの。例によって『翼の王国』の連載中のエッセイ最新刊。一昨日から東京に来ているから、その間の読書や映画はお休み。町歩きが中心。今回は新宿から渋谷方面が中心。旅のお供の本はこの一冊だけにした。まぁ今回はたった4日だから、ね。吉田修一によるこの旅のエッセイは楽しい。旅先だけでなく、東京の町歩きにもなっている。なんでもないことを、なんとなく書いてあるのがいい . . . 本文を読む
往年の大スター、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツが主演するロマンチックコメディ。60代に達したジョージ・クルーニーと50代半ばになるジュリア・ロバーツは犬猿の仲の元夫婦を演じる。だがふたりは娘の結婚式を阻止するため共同戦線を張る。バリ島を舞台にしてふたりが縁りを戻すまで、という定番の展開をいかに心地よく見せるのかが監督の腕の見せ所。監督は『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』のオル・パー . . . 本文を読む
森絵都と森見登美彦が帯で褒めているから、読むことにした。ふたりの「森」が誉める森バジルとは何者なのか。(森じゃないけど、辻村深月も褒めていた)5つの短編(中編)からなる連作。5つのジャンルの作品が並ぶ。それぞれは微妙につながる。登場人物やエピソードがリンクしているのだ。ただ、そこにはかなり無理がある。最初の「推理小説」はあっけないし、4つ目の「幻想小説」は僕にはつまらない。高校生男女ふたり組がM1 . . . 本文を読む
こんなファンタジー映画があったのだ。昨年ひっそりと公開されていた。見逃していたけど、見てよかった。そっけないタイトルだけど、ここに描かれる優しい世界は心に沁みる。
夫の戦死という悲しみを乗り越えて自分の夢に邁進する彼女の姿を見ていると、そこから勇気と元気が生まれてくる。小さな映画だけど、大きな幸せを貰うことができる。
ロンドンでひっそりとひとり暮らす彼女の日々。 . . . 本文を読む
こんなタイトルで小説を書くなんて、なんだかとても勇気がある。TVドラマならありそうだが、これ普通に大人向け小説だし。でも敢えて、それだからこそこの気恥ずかしいタイトルをつけた。クビというニュアンスが大事だった。本心ではない。だけど、ここでしっかり決別しなくてはならないというのも事実。さらには小柳先輩の失踪、死は10年後の自分だけど。それは惨めなことではなく、悲しくて。彼からのメッセージを受け止めて . . . 本文を読む
これはある少年が花火職人になるまでのお話。だからこのタイトル。17歳の少年が補導委託で煙花店にやってくる。アルバイト先で暴力事件を起こし、家庭裁判所に送致されたのち試験観察処分となった鳴海円人だ。昨日読んだ『ヨルノヒカリ』に続いて、これも子供の頃に母親を失いひとりぼっちになった少年の再生までのお話。優しい人たちに導かれて、頑なだった心がほぐれてくる。そこから生きていく力が生まれる。花火作りに関わっ . . . 本文を読む
これは2022年の韓国映画。とんでもない映画である。いろんな意味で呆れてしまう映画だけど、究極のラブストーリーだ。とことん極めている。もちろん究極のラブストーリーの最高傑作は、同じく韓国映画のクァク・ジェヨン監督『ラブ・ストーリー』であろう。それと恋愛映画であり同時に難病映画の最高水準の映画はホ・ジノの『八月のクリスマス』だと思う。この二本の傑作を掛け合わせたくらいに強烈な映画が生まれた。それがこ . . . 本文を読む
この寂しさはよく知っている。ひとりぼっちの雨の日。僕は小学生で、窓から外を眺めている。誰もいないし、何もできない。休みの日の午後。(あるいは平日夕方)そんな時は眠るしかない。何も考えずに静かに眠りにつく。そうすれば、誰かが帰ってくる。きっと。そんな夢を見る。
主人公のヒカリには誰もいない。夜野光。27歳。家族もない。恋人もいない。仕事を失くし、住む家も失った。台風の夜。このまま死 . . . 本文を読む
TVアニメの劇場版らしい。昨年映画館で上映していたことを覚えている。こんな題材でアニメ映画を作るのか、と驚いた。さすがに見ることはないなぁと思ったけど、たまたまAmazonプライム・ビデオに入っているのを見て、少し見ることにした。
途中まででやめてもよかったけど、結局、少し居眠りもしながらだけど、最後まで見てしまった。甘いしリアリティのない話の展開には驚くけど、悪くはない。これは . . . 本文を読む
こういう映画が作られるのか。まぁ、Amazonの配信用オリジナル映画だが、映画並みの潤沢な製作費で作られたであろうことは伝わる。だけど、お話があまりにつまらないので、なんだか全世界一斉配信ということが日本人として恥ずかしい。監督は橋本一。決してダメな監督ではない。作品自体もそれなりの雰囲気は作れている。ゴッサムシティのような東京の吹き溜まりの街を舞台にした。ただ、細部がまるで説得力がないから話に乗 . . . 本文を読む
最愛の、で始まるやり取り。彼女からの手紙。あなたがやり取りをやめるまで、私は連絡をする。だけど、いつか完全に私を忘れて欲しい。学生時代の知り合いからの手紙。そして今、十分大人になって、ひとりの女と、彼女からのメールのやり取りをする。社長の夜遊びの相手で行った店のホステスをしていた女。ラプンツェルという源氏名を使う。そして現実にはある人妻と付き合っている。3人の女たちとの『最愛の』関係が描かれていく . . . 本文を読む
石井裕也監督が宮沢りえを主演に迎え、実際に起きた障がい者殺傷事件をモチーフにして作った映画だ。当然だが、重くて暗い。それにしてもこんなにも重いなんて、想像した以上で驚き。だけど、これは必見の映画だ。石井監督が全力で挑んだ。批判も覚悟の上で、障がいと向き合う。主人公は書けなくなった小説家。震災を描く作品で注目されたが、スランプに陥って、もう作家を続けることは出来ない。自分が書くものはただのきれいごと . . . 本文を読む
今月の児童書は4冊。まず、吉野万理子が純頃・絵)の『マジカルカレンダー2』。シリーズの第二作で今回は150年前の日本へ。蒸気機関車で横浜に行く旅。これはおばあちゃんと僕がタイムトラベルして過去のいろんなところに行くという話。たわいないけど、吉野さんだから、ついつい借りてきて読んでしまった。
続いて山本悦子(平澤朋子、絵)『いつかの約束1945』。9歳の女の子が90歳の老婆になって . . . 本文を読む
『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』以来となる監督・岩井俊二&音楽・小林武史コンビによる音楽映画だ。なんと3時間に及ぶ大長編である。このパターンは彼にとって『リップヴァンウィンクルの花嫁』以来のことだ。それにしても今時3時間の映画にOKを出すのは東映だけだろう。もちろん2本とも東映配給。いろんな意味で大胆な映画だ。まず、見ながら戸惑う。この映画、何をしたいのだかがまるでわからない作品なの . . . 本文を読む
60代から90代の老人たちの今を描く短編連作。作者は僕と同い年になる64歳。だからもうすぐ前期高齢者になる。
描かれることは誰にも心あたりがあることばかり。それを軽いタッチで笑いに包み込んで見せてくれる。3つ目までは楽しく読んだけど、そこからは少しだけガッカリしてくる。さすがにネタ切れかな、なんて。だが、そんなことも織り込み済み。わかっていてやっている。緩急つけて7つのエピソード . . . 本文を読む