ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

前略おふくろ様

2008年04月20日 | 食材の話

Photo 4月から6月の間だけホタテ貝の稚貝は東北の海から陸揚げされ上京してくる。ベビーホタテなどと呼ばれるが、アサリと同じような使い方をしていただくと大変に美味しい。クアトロでも、このホタテ貝の稚貝は大いに奮闘している。「ホタテ貝稚貝のペペロンチーニ」はたっぷりの稚貝が入っていてお客様は驚くのだ。また、アクアパッツァやペスカトーレでも脇役として頑張っている。
前略おふくろ様
そちらの桜はいかがでしょうか。東京はもう桜も終わり、梅雨時を思わせる天候が続いています。自分も、クアトロの生活にだいぶ馴染みました。しかし、このクアトロは怖いところです。たくさんの立派な魚達が忙しく働いており、自分などはじゃまにならないようにするばかりです。
昨日は、オホーツクから来た4年先輩の天然ホタテさんに合いました。自分も精進して、こんな先輩のようになれたら良いなと思いました。そして、記念写真を撮らしてもらったのです。
そうそう、友達も出来ました。アサリくんとムールくんです。三人で共同で働いたりもしています。しかし、どうもムールくんは怖いところがあります。同じ田舎から出てきたのですが、よく牡蠣棚を荒らしたりしたと云っております。付き合い方を考えようと思っています。
それと驚いたことがあります。スペインから来たトントロという肉です。イベリコの純血種だといばっています。確かにあの脂の入り方、脂の旨みはただものではありません。クアトロのお客様たちもとっても美味しいと云っています。お客様たちは、濃厚な赤ワインと合わせて楽しむそうです。やはり都会に出てくると知らないことがいっぱいあります。
明日の夜はクアトロは貸切になるそうです。自分も忙しくなると思います。
それではまた。
※明日4月21日(月)の6時からの営業は貸切のため一般の営業を休ませていただきます。

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トリオ・ザ・カッキーン

2008年04月19日 | 魚の話

Photo 下積みの苦労をしているのは、アサリだけではなかった。石巻から出てきたホタテの稚貝とムール貝もアサリと同じような苦労を強いられていた。
なにせ、このところのクアトロのステージの競争は激しい。今日も、大阪の黒鯛(こいつは、性転換をするので有名だ、オスからメスに性転換している、ニューハーフである)、八丈島の八丈赤ムツ(海老ちゃんに恋いこがれていて、甲殻類の味がするのだ)、長崎のイサキ(夏の魚のくせにもう出てきた)、北海道大目マス(めったにお目にかかれないマスの王だ)、千葉マコガレイ(こいつは、アサリやホタテの稚貝、ムールの見方だ、アクアパッツァが得意である)、さらに豆あじ、ホタルイカ、ズワイガニ、桜エビと群雄割拠のクアトロだ。
そこで一計を案じたアサリとホタテの稚貝とムールはコンビを組むことにした。
「アサリでーす、ホタテでーす、ムールでーす、三人揃ってマンプクトリオでーす」
チョット古すぎるぜとの意見も出た。
「それでは、トリオ・ザ・カッキーンとかどう」
ムールは提案する。「『愛しのペスカトーレ』とか唄ってみようか」
食いタンをパクる相談である。
※クアトロでは「アサリとホタテの稚貝とムールのワイン蒸し」緊急発売です。

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拝啓!お客様

2008年04月18日 | パスタの話

Photo アサリは、砂を噛む思いで下積み時代を過ごした。晴れてクアトロの舞台で脚光を浴びる日を夢見ている。しかし、アサリはいつも脇役ばかりである。ペスカトーレにでは無くてはならない存在であっても、お客様はヤリイカや切り身の魚を褒める。アクアパッツァにおいても同様だ、主役の立派な魚には勝てない。
過酷な冬が過ぎ春が来るとやっとアサリが主役になれる季節なのだ。見事に成長したアサリの身は殻からはみ出しそうなほどだ。旨みが詰まったその身はプリプリしている。
春はスパゲッティ・ボンゴレこそが脚光を浴びる時なのだ。一年で一番ボンゴレの美味しい季節を迎えたのだ。アサリはほくそ笑む、今こそ僕が主役なのだと。
しかし、クアトロの舞台は厳しかった。「桜エビと春キャベツのスパゲッティ」「天然ホタテのクリームソース」「ウニのクリームソース」「ホタテ稚貝のペペロンチーニ」達が、今が旬の美味しさだとお客様の心を捕らえている。わずかに「ヤリイカとアサリの漁師風」でやはり脇役に甘んじるアサリだった。
拝啓 お客様
ぼ、ぼくアサリは、お客様に喜んで貰いたいと思って大きくなりました。
いつも目立たない脇役のぼくは、それでもいいんです。
お客様がクアトロを気に入ってくれたならそれでいいんです。
でもたまには、ぼ、ぼくが主役のスパゲッティ・ボンゴレも食べて欲しい。
今が美味しいんです。 敬具

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鱧vs八角

2008年04月17日 | 魚の話

S どんよりとした曇り空の中、寒い国からクアトロを訪れた男がいる。いかにも悪相のその男は、八角と呼ばれている。北海道を代表する冬の味覚である。その刺身は、脂身が細かく白身に混じり、口の中でとろける。およそ、その人相いや魚相からは想像出来ない上品な味わいである。
やがて、外は雨に変わった。これから訪れる梅雨時のような雨に変わった。梅雨の時期になると、もてはやされるのがである。この鱧も悪相にかけては、八角に負けない。よりによって、その鱧までも今日、長崎からクアトロに現れた。骨切りし湯通ししたお刺身を梅肉でいただくその鱧の味わいは、梅雨から夏を乗り越える英気を養う。
冬と夏が交わり、相争うかのような雨降りの今日、クアトロで八角と鱧は激突したのだ。春の珍事としか云いようのない両者の対決である。クアトロのお客様どちらを選ぶのだろうか。

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クアトロウ、ワイン・ショップを漁る。

2008年04月16日 | ワインの話

S クアトロウはワインが好きだ。当然のごとく、ワイン・ショップを覗くのも楽しいと思う。新しい町へ行っても、ワイン・ショップがあるとふらりと立ち寄ってみるものだ。色々とワイン・ショップを覗いて歩くと、ある程度ワイン・ショップの見方が解ってきた。まず大手のワイン・ショップはあまり魅力がないと切り捨てている。小さな個人経営のワイン・ショップこそ宝探しの楽しさがあると思っている。
ひとつに、小さい店は値段の付け間違いが多々あるのだ。こんなに良いワインがこの値段ということがある。マニアックなシャンパンが半額以下の値段だったり、シンデレラ・ワインのマグナムを手に入れたりした体験から、この手の宝探しがクセになっている。
次にクアトロウは常々5000円クラスに良いワインがあると睨んでいる。店によって、価格帯別の品揃いが違うのだが、この5000円クラスに大きなウエイトを閉めている店は大手に少ないのである。そのような店を見つけると、ワインの棚をなめるように観察するクアトロウである。
大手のワイン・ショップはこの価格帯が弱い。やたら値段の高いワインを置いて、ワイン・アドバイザーにつまずきそうな店か、安いよという値札がはばをきかせて平積みのワインにつまずきそうな店かどちらかである。
しかし、値段の付け間違いを探すクアトロウはどうかと思う。
※クアトロウは架空の人物であり、クアトロの父がモデルではありません。

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