○ハーン(Vn)リシッツア(P)(DG)2010/6・CD
この全集(断片や編曲除く)の中では一番に推せる演奏。もともと抽象的で隠喩的な作品がこの組み合わせの真面目なアプローチに適していたともいえよう。演奏表現も他の作品に比べて落ち着いているように思える。音色やアーティキュレーション付けに単調さは否定できないが、非人間的な無調音楽から懐かしい賛美歌旋律に昇華されてゆく全3楽章の流れを単一楽章のように大きくとらえ、様々に秘められた既存旋律の断片を滑らかにコラージュしてゆくのがじつに巧い。そうとうの準備を思わせる出来である。アイヴズ自身がおそらく最も自己に忠実に書いたヴァイオリンソナタであり、終楽章には1番弦楽四重奏曲の終楽章や4番交響曲の終楽章に通底するテーマ(多分に宗教的なものだろう)があらわれていて、2楽章あたりの新ウィーン楽派をまで思わせる抽象性との対比ないし「融合」も見事なものである。この盤を手にしたらまずこれから聴いていただきたい。○。
この全集(断片や編曲除く)の中では一番に推せる演奏。もともと抽象的で隠喩的な作品がこの組み合わせの真面目なアプローチに適していたともいえよう。演奏表現も他の作品に比べて落ち着いているように思える。音色やアーティキュレーション付けに単調さは否定できないが、非人間的な無調音楽から懐かしい賛美歌旋律に昇華されてゆく全3楽章の流れを単一楽章のように大きくとらえ、様々に秘められた既存旋律の断片を滑らかにコラージュしてゆくのがじつに巧い。そうとうの準備を思わせる出来である。アイヴズ自身がおそらく最も自己に忠実に書いたヴァイオリンソナタであり、終楽章には1番弦楽四重奏曲の終楽章や4番交響曲の終楽章に通底するテーマ(多分に宗教的なものだろう)があらわれていて、2楽章あたりの新ウィーン楽派をまで思わせる抽象性との対比ないし「融合」も見事なものである。この盤を手にしたらまずこれから聴いていただきたい。○。