湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆スクリアビン:交響曲第3番「神聖な詩」

2016年11月18日 | スクリアビン
○コンドラシン指揮ACO(ETCETRA/RCO)1976/2/12live・CD

実はけっこう手堅い演奏で地味だが、後半になるにつれテンションが上がりミスも混ざるもののライヴとしてはなかなかのしっかりした演奏になっている。1楽章は特に手堅く神との闘争を描いたにしてはいささか大人しい。だがオケはさすが大したもので巧く、木管の音色など素晴らしい。ダイナミックな曲想の連続で大仰にやればいくらでもできる非常に演奏効果の高い音楽だけれども、コンドラシンは敢えて引き締めることにより下卑ることなく純音楽的に高度なものを作りだそうとしているようだ。スクリャービンはじつはけっこう曲想に乏しいところがあり、非常に美しく印象的なメロディを造る反面ひたすらそれを繰り返すだけで長大な音楽に仕立ててしまうところが、中期にあたるこの3番までの交響曲では目立つ。そのため飽きも来易いのだけれども、この演奏くらいしっかり出来ているなら飽きないかもしれない。中間楽章である2楽章は出色の出来で、ねっとりと描かれる「人間の快楽」が、何か非常に高貴で憧れに満ちた希望の音楽に聞こえる。作曲家の貼り付けた標題を音楽が凌駕した見本のような楽章であり、緩徐楽章が得意なスクリャービンの面目躍如たる音楽なだけにコンドラシンもらしくないほどに思い入れをもって演奏しているようだ。再び楽想が戻り3楽章に突入すると1楽章とは少し趣の違う、これこそコンドラシンという強烈さもブラスの響きに聞き取れたりしてくる。思わずペットが裏返ったりしているが御愛敬。神聖な遊びという標題の意味するところは或る程度表現できているが、高みに登り神と合一するイメージはやや弱い。しかし純粋に音楽的なものを求めているのであればこうなるのは必定か。総じてまあまあ。一応○にはしておく。

(後補)RCOライヴボックス4・1970年度(2007/2末発売)収録の音源と同一。

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