湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ヴォーン・ウィリアムズ:勝利への感謝の祈り

2016年11月27日 | Weblog
○スダビー(sp)ボールト指揮BBC合唱団、子供合唱団、交響楽団(inta glio)CD

南極交響曲あたりを思わせる響きを持った前向きな楽曲で、後期RVW特有の重さもあるがおおむね聴き易い。題名が暗示するとおりこれは第二次世界大戦の勝利への希望を託して制作された管弦楽付歌曲(+合唱+ナレーションのオラトリオ的な壮大なもの)であり、ファンファーレからソプラノの高らかなエコーに続く冒頭からして殆ど勝利してしまったかのような祝祭的雰囲気がある。ライナーにあるとおり、その8ヶ月後には広島に原爆が投下されるという悲惨な出来事が起こるのであるが・・・。テキストは聖書、シェークスピア、キプリングの簡潔だがパワフルな言葉による。恐ろしい状況の下でも力強く勝利へと突き進む内容は、後期RVWにしては意外なほど屈折が無く、大戦中も戦争ものを含む映画音楽を数本手がけるといったけっこうアグレッシブな活動を続けていたRVWの実態を裏付けるものとなっている。RVWと第二次大戦の関係を語るとき、必ずといっていいほど5番交響曲と6番交響曲のみが挙げられ、前者は戦争の悲惨さに対する限りない平安の祈り、後者は戦争の悲惨さそのものの深刻な音楽とされ、それだけがRVWの戦争中の作曲活動であるかのように言われる事が多い。実際にはそんなに単純な反戦感情的作曲家ではなかったのであり、プロフェッショナルとしてきっちり仕事していたわけである。もっとも、この曲には部分的に「天路歴程」との近似性が強く感じられ、わかりやすすぎるほどわかりやすい非常に耳馴染みの良い歌には、5番交響曲との関連性も指摘できなくはない。演奏はそれほど魅力的とは感じなかったが、ボールトらしい決然としたしっかりした演奏である。録音はモノラルでやや悪い。○。,
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