イエイツ指揮王立スコティッシュナショナル管弦楽団(dutton)CD
「恋するサー・ジョン」というと英国で1,2を争う有名曲「グリーンスリーヴス」(原曲民謡、ここでは「幻想曲」ではないバージョンを収録)が含まれることで知られる。というかそれだけしか知られない。この一応の完成版はイエイツによる8曲からなる編曲だが、RVW壮年期の手札を散りばめたような内容で意外に魅力的な作品となった。「ヨブ」やピアノ協奏曲以降のガチャガチャした作風もおり混ざるし(ヒンデミットぽいところまで)、簡素で穏健な「ただの民謡編曲」ないし民謡調もある。予想では民謡編曲ばかりの恥ずかしい大曲というものだったので、しつこいところはしつこいが、それでもなかなか飽きさせない。タリスのような静謐さは殆どないが、これは譜面にどれだけ書いてあったのかわからないが、楽器の用法がこの人にしては挑戦的でホルストっぽいところもある(立体的な書法はイエイツが施しているのかもしれない)。ちょっと古風な、宮廷風というか明るくゴージャスなところも目立ち、弦楽アンサンブル偏重ではない。「晩年的ではない」ことは書いておくべきだろう。これがどういう意味を示すかはマニアがわかればいいということで、けっきょく全体としてはRVWに田園交響曲や素朴な民謡組曲みたいなものを求める向きにアピールするものだ。フィナーレのように「こりゃヴォーン・ウィリアムズじゃない」というのもあるけど。そもそもRVWにチャレンジングな作風を求めて聴く人はいないだろう。イエイツとロイヤルスコティッシュナショナル管弦楽団は規律正しく立派にやっている。
「恋するサー・ジョン」というと英国で1,2を争う有名曲「グリーンスリーヴス」(原曲民謡、ここでは「幻想曲」ではないバージョンを収録)が含まれることで知られる。というかそれだけしか知られない。この一応の完成版はイエイツによる8曲からなる編曲だが、RVW壮年期の手札を散りばめたような内容で意外に魅力的な作品となった。「ヨブ」やピアノ協奏曲以降のガチャガチャした作風もおり混ざるし(ヒンデミットぽいところまで)、簡素で穏健な「ただの民謡編曲」ないし民謡調もある。予想では民謡編曲ばかりの恥ずかしい大曲というものだったので、しつこいところはしつこいが、それでもなかなか飽きさせない。タリスのような静謐さは殆どないが、これは譜面にどれだけ書いてあったのかわからないが、楽器の用法がこの人にしては挑戦的でホルストっぽいところもある(立体的な書法はイエイツが施しているのかもしれない)。ちょっと古風な、宮廷風というか明るくゴージャスなところも目立ち、弦楽アンサンブル偏重ではない。「晩年的ではない」ことは書いておくべきだろう。これがどういう意味を示すかはマニアがわかればいいということで、けっきょく全体としてはRVWに田園交響曲や素朴な民謡組曲みたいなものを求める向きにアピールするものだ。フィナーレのように「こりゃヴォーン・ウィリアムズじゃない」というのもあるけど。そもそもRVWにチャレンジングな作風を求めて聴く人はいないだろう。イエイツとロイヤルスコティッシュナショナル管弦楽団は規律正しく立派にやっている。