りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

竜頭。

2011-06-23 | Weblog
写真は、僕が普段使っている腕時計。

先日、竜頭が壊れた。
前々から少しねじれていたのだけど、数日前からカチッと
ハマらなくなった。

ここがちゃんとハマらないと、いくら防水機能があっても
意味がない。

今日、仕事帰りに会社の近くの時計屋に行った。
大型ショッピングセンターの中の時計屋だ。

僕より年上っぽい店主に事情を話すと、ルーペを片目に付けて
時計をしげしげと見てくれた。

「あぁ・・・」

しばらくして店主が感嘆とも悲観ともつかない声を上げた。

「これは竜頭が折れてますねぇ」

「直りますか?」

「このブランドは、うちでは取り扱ってないんですよ。直すのなら、
直接このメーカーに送るか、もしくはうちの店から送るか・・・」

ゆっくりと言葉を選びながら話すその口調で、店主がこの時計の
修理にあまり乗る気ではないことは明白だった。
仮に依頼しても、手間賃や何やらで、予想以上の修理代を請求される
可能性もある。

僕は礼を言うと、時計を持って店を出て、クルマに乗りこんだ。

数十分後、僕は別の時計屋の前にいた。
となりの街の小さな時計屋。

僕が店に入ると、1人のおじいちゃんが店の奥から出てきた。
この店の店主だ。
僕の顔を見ると、明らかに僕の顔に見覚えがある表情になった。
僕は少し安堵して、事情を話した。すると・・・

「あぁ、大丈夫だよ、直せる直せる」

・・・と、軽い口調で店主はそう言った。

「その代わり、うちの店にある竜頭で合うヤツを使うけど、ええかね?」

僕は頷いた。
ものの30分、純正ではないが、僕の腕時計は新しい竜頭に取り替えられて、
修理は終わった。
修理代も納得のいく範疇の金額だった。

この時計屋には、昔から世話になっている。
僕は腕時計が好きで、ブランド、ノーブランドを問わずいくつか持っている。
しかしその中でも、自動巻きや手巻きの時計は壊れやすい。

そんな時、僕はこの時計屋に訪れるのだ。

なぜか?

それは、店主のおじいちゃんは、必ず直してくれるからだ。
どんな状態の時計でも、よほどのことがない限り、元通りにしてくれる。

つまり、時計の職人なのだ。

「直ったけど純正の竜頭じゃないからね、水にだけは気をつけなさいよ」

帰り際、時計の職人は僕にそう忠告した。
やっぱり純正じゃないから、完璧な防水機能は無理だったか(笑)
僕は「はい」と答えてお礼を言うと、店の外に出て、直ったばかりの
腕時計を頭上にかざしてみた。

うん。
でもやっぱり、いい。
職人の仕事は、いい。
コメント
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