りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

雲が生まれる場所。

2011-08-18 | Weblog
ふと、思い出した。

10年前の今ごろ、僕は信州にいた。
信州の安曇野の辺りにいた。

当時、ちょっと精神的にダウンしてしまい、仕事を休職した。
家族と離れ、クルマで国内を一人で旅した。

山陰から日本海に沿って一路北上し続け、北陸から信州に入った。

信州は、高校の修学旅行以来だった。
その時は志賀高原でのスキー合宿だったので、安曇野へ訪れたのは、初めてだった。

なだらかな高原がどこまでも広がり、その向こうには日本アルプスの山々が
天を刺していた。

穂高岳、槍ケ岳、乗鞍岳・・・中国地方のなだらかで鈍角な山々とは違い、
急峻で威容を誇る鋭角な山々は、いつまで見ていても飽きなかった。

山頂付近で白い雲が湧き立つ。

見方によっては、山が白い煙を吹き出しているようにも見える。
しかし、それらは当然、活火山ではないので、噴火ではない。
日本海から流れ込んだ空気が山々にぶつかり、次々と雲が生まれているのだ。

雲が生まれる光景を肉眼で見たのは、おそらくこの時が初めてだった。

風は、絶えず流れているんだな。
雲は、絶えず生まれているんだな。

そうか。
すべてのものは、絶えず動き続けているんだ。
同じものは、何ひとつないんだ。
変わらぬものは、何ひとつないんだ。

僕はその光景を安曇野の高原にクルマを停めて、いつまでも眺めていた。
牧歌的な景色の中で、いつまでも眺めていた。
じっと、じっと、動きを止めて。
コメント
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