りきる徒然草。

のんびり。ゆっくり。
「なるようになるさ」で生きてる男の徒然日記。

憂国の更地。

2012-07-08 | Weblog
ボクらが暮らす町に、広大な更地が生まれた。

昨日の午後、更地のすぐ近くのホームセンターに行ったのだが、
入川の対岸に広がるその光景を目の当たりにした時、ふいに
稚拙ながら自身が電子書籍で発表している短編小説「天満川」を思い出した。

「天満川」
http://rikiru.wook.jp/detail.html?id=207948

あの物語に登場する被曝を体験した高齢の祖父も、こんな淋しく虚しい
気持ちで胸があふれる光景を目にしたのだろうか・・・。
自分で書いた小説ながら、何もなくなってしまい、原っぱ以下の場所に
なってしまったその風景を眺めながら、そんなことを思った。

ここには、紡績工場があった。

この日記を以前から読んでいただいてくださっている方々には、
もう説明不要だろう。
数年前、その工場の前で知り合いのフォトグラファーに撮っていただいた写真も、
もう何度もこのブログで紹介している。まぎれもなく、ボクの宝物である。



もう何を言っても何を行動しても遅いのだけれど、どうしても、
どうしても、ボクには忸怩たる思いがまだ胸の中に残っている。

つい1週間ほど前、Facebookにこの件について書いた。
つぶやきが主流のsnsでは、異例の長文になった。
それでも、その文を読んで下さった方々から様々なコメントを
いただいた。

同じような事を何度書いて仕方ないので、その時ボクが書いた文を、
以下に転載したいと思う。

ボクの暮らす街には紡績工場があった。戦前から街中に鎮座し、
戦時中は英軍捕虜の収容所にもなっていた。その工場の壁面は
そんな激動の歴史を物語る重厚な赤レンガだった。そこに佇むと、
その一角だけ日本ではないような錯覚に陥るような場所だった。
だけど今は、もうない。つい数日前、いとも簡単に取り壊され、
更地になってしまった。数カ月後には、日本全国どこにでもある
ようなショッピングモールに生まれ変わるそうだ。海岸線をコン
クリートで固めてそこに何が生まれた?山を崩して街を作って
そこに何ができた?歴史ある建物を壊してショッピングモールを
作ってそこで何を買うんだ?もうそろそろ、そんなやり方、やめ
にしないか?新しい価値観をみつけなければいけないことを、
昨年の春、ボクらは嫌というほど教えられたんじゃないのか?
コメント
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