Still life with purple plums
The bottle of marc
20世紀の巨匠に入るだろう、ピカソなどと時を同じくベル・エポックを過ごした画家ジョルジュ・ブラックは、キュビズムの創始者の一人。
ほぼ生涯を通して、ストイックにキュビズムの画風を貫き通した。
また、晩年には鳥をモチーフに、絵を展開する。
ルーブルに何度となく通っていたが、ついぞブラックの”鳥”の天井画に気が付かなかった。
たしかに、前もって描法が入っていれば視線を上に向けるだろうが、膨大な展示品を観るだけに留まってしまうから、仕方がないとも言える。
ルーブルのカルコグラフィーに、ブラックのリトグラフがあるのだが、ギターとグラスのモチーフの絵をいまだに欲しいと思っている。
ブラックの描く絵は、とても寡黙だ。
時々、思い出したようにそっと詩を語る絵だ。
彼の絵を飾るなら、慎ましやかなリビングか、本に囲まれひっそりとした書斎がいい。
終生礼節をもって共に時を過ごす隣人のような絵ではなかろうか。
ブラックの絵を、まだ知らない人がいたなら、控えめに彼の絵を紹介したい。
その場では、絵の語る声を聞き取れなくとも、何かしら心に響くものがあると思うから。
いつしかその声ははっきりと、でも穏やかな語り口で聞こえるだろう。
そのときにはきっと、絵の語る詩に魅入られてしまうに違いない。