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徹底した美意識が垣間見られる、コペンハーゲン

2014-06-07 17:21:28 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」バルト海と北海に囲まれたユトランド半島と大小さまざまな島からなるデンマークの中でも東に位置するシェラン島のさらに東に、港町にして首都であるコペンハーゲンはある。

ニューハウンは、色鮮やかな建物が立ち並ぶ港町で、世界的に有名なレゴ・ブロックの直営店がある。
北欧デザインといえば、やはり筆頭はデンマーク。
「ノーマン・コペンハーゲン」は、インテリア雑貨専門店。
キッチン器機など機能性とデザイン性を兼ね備えたものがあり、中でも”ノーム69”という照明器具はすっきりとスタイリッシュなデザインで、世界的ヒット商品となっている。
「ソストレーネ・グレーネ」は、北欧らしいカラフルかつシンプルなデザインの低価格な雑貨を展開している。
1973年に、オーナーの姉妹が世界中から集めた雑貨を売り始めたのが店の起こり。
その後、オリジナルの商品を展開して、今では5000種類以上あり、商品の入れ替えが早く客を厭きさせない。
現在の人気商品は、ふくろうのキャラクターものだそうだ。
「レトロ・ヴィラ」は、ヴィンテージ壁紙、特に1960年代ものの専門店。
1メートルからの切り売りをしているので、壁紙としてだけではなく、箱のデコレーションをしたりと幅広く用途を楽しめる。
有名な北欧デザインのデザイナー、バーナー・パントンは、パントンチェアーといわれる原色のプラスチックを使った一体型の椅子を作った。
シンプルな機能美を追及した彼の作品は、いまだに世界で愛されている。

海に面した地の利からも、シーフードの美味しさはわかるだろう。
「クービュンス・フィスケバー」は、コペンハーゲン近郊で獲れた魚介類を提供し、特にヒラガキがお勧め。
カキとは違い、その名の通り平たい貝で、ミネラル分が豊富でぷりぷりとした食感の身をリンゴ酢とレモンで食べると、濃厚な貝の味が口いっぱいに広がるという。
また、新鮮な魚はシンプルに調理したほうが味が生きるので、酪農国でもあるデンマークの新鮮なバターをたっぷり使って作るタラのバターソテーは、美味さひとしおだろう。
それから、スウィーツ。
「フレルセン・ショコレード」は1897年創業で、”フルボーラー”という国民的スウィーツを販売している。
もともと生クリームにチョコレートをかけて包んでいたものを、中をふわふわのマシュマロに変えたところ爆発的人気を得たのだという。
ラズベリー味のマシュマロをホワイトチョコレートで包んだものなどもあり、甘酸っぱさとまろやかさのハーモニーでそそられる。
「モアモアス」は、デンマーク王家御用達のカフェで、メアリー皇太子妃も常連の店。
今が旬の蕗の様な夏野菜ルバーブは、ビタミンCと食物繊維が豊富で鮮やかな赤い色とすっぱさが特徴。
それを、砂糖とバニラで煮込んだルバーブのコンポートは、甘酸っぱくてイチゴのような味。
初夏の味といったところか。


コペンハーゲンから電車で1時間半のところに、童話作家アンデルセンの生誕の地、オーデンセがある。
緑豊かで美しいこの地に流れる川を船で巡るリヴァークルーズは、5月から8月まで楽しめる。
おとぎの国のような景色に、心が癒されそうだ。
イーエスコウ城”樫の木の森”は、名の由来として湖に城を建てるにあたってたくさんの樫の木の杭を使ったことにある。
緑の森に囲まれた湖に建つばら色の城は、世界の絶景として名高い。
この城の脇には、300年前貴族たちの遊びとして作られた巨大迷路が現存する。
現在、4つあるうちの1つが当時のまま保たれて、大体15分程度で出られる大きさだ。
この巨大迷路、庭を幾何学的に造形するのが好まれるヨーロッパの趣味が高じて出来上がったらしい。

合理的で現実的な国民性なのか、環境問題を考慮して、デンマークでは自転車が交通手段として推奨されている。
コペンハーゲンの市庁舎前にある電光掲示板には、赤い文字でこの前を通過した自転車の数、青い文字で1年間に通過した自転車の数を表示する。
いまのところ、通勤通学などに自転車を使用する割合は40パーセントほどで、50パーセントが目標なのだとか。

街のいたるところ、徹底した美意識を感じさせる。
「こうありたい、こうあるべき」の理想を掲げ、たゆまぬ努力で成し遂げようとする、このくらいの意識の高さを国民が持たないと、景観というものは保てない。
”北欧のパリ”とも言われているらしいが、美しさを大切にする心意気が、似通っているのかもしれない。
しかも、デンマーク人の美意識、デンマークらしさを忘れないでいるところに、さらに高い意識の違いを見る。

われわれ日本が、観光立国を目指すなどお題目を唱えているお偉いさん方がいるけれど、それをどこまで念頭においているのか。
地方でも、環境景観に関する意識は無法地帯。
自分勝手好きなように家を作り、店を建て、看板、ネオンサインが蔦のように蔓延って収拾がつかない。
自由で結構、だけれども、地方の、人口減少に歯止めがかからず、働きたくても場所がないとこぼすならば、すぐには変えられなくとも、街ぐるみ建物の外観をその土地にあった江戸時代とかに統一し、いわゆる日本らしさをアピールするなど思い切った変革も必要かもしれない。

さても、デンマーク人は、どこを見据えて進んでいるのか。