ここも大概だけどお隣もね……
味噌天神のお味噌汁を飲み干すと、ポツンとこぼす虚空蔵菩薩さんだ。
厨房では菅原道真さんがマヤと同じような微笑みを浮かべている。
「さすけ村へは電車で行ったほうがいいかもしれない」
「どうしてですか?」
さすけ村は味噌天神の裏手から峠を越えればすぐだ。駅まで戻って電車を待っていると一時間以上のロスになる。ロケーション的にも峠を周って行った方が面白いように思える。
「そうか、堕天使さんなんだ、大丈夫だよね」
笑顔で訂正すると、道真さんといっしょにお店の前に幟を出し始めた。
――名物 知恵味噌ランチ――
黄色地に朱色という食欲をそそりそうな幟が数十本立てられ、ポールの上の『味噌天神』の文字の横には『民芸レストラン』の文字が付けられて、文字通り幹線道路沿いなどにあるファミレスのようなしつらえになってきた。塀が胸の高さのところまで下がって来たかと思うとクレープ屋とたこ焼き屋とホットドッグ屋のカウンターが現れた。
甘味噌クレープとか味噌たこ焼きとか味噌カツドッグとか、メニューだけ見たら引いてしまいそうだけど、下準備が終わっていたのだろう、じきにお味噌の焦げるいい匂いが漂い始めた。
「みそ汁はディスペンサーで無料サービスなんだ」
これだけいい匂いがしていたら、よっぽどの味噌嫌いでなければ立ち寄るだろう。
「お味噌は知恵にいいんですよね?」
自分が美味しくいただいたので、効能があるに違いないと恵美が聞く。
「知恵のご利益を半分にします」
「ええーー半分に!?」
「付きすぎた知恵は毒です、だから、ここに吸い寄せてご利益を半減させるんですよ」
「じゃあ……わたしの知恵も半減しちゃうんですか!? お参りとかしてないから、今ある知恵はデフォルトなんですけど!」
「それは大丈夫、半減は虚空蔵菩薩で得たものだけだから」
「そうなんだ、じゃ、行きますか!」
「ごちそうさまでした」
お礼を言うと、二人は峠周りでさすけ村を目指すことにした。
手入れの行き届いた森を抜けると、道はゆるやかな下り坂。どうやら峠を越えた。
「虚空蔵さんが言うほど大変じゃなかったね」
「ですね、あたしたちが丈夫になったのかな(^▽^)/」
――ここよりさすけ村――
標識を過ぎてビックリした。
SASUKEに出てきそうなスポーツエンタティンメントの設備がズラリと連結されて並んでいる。
どうやら、これをクリヤしなければ村には入れてもらえないような雰囲気だった。