大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・堕天使マヤ・第三章 遍路歴程・12『「さ」すけ村・1』

2019-01-24 09:18:41 | ノベル

堕天使マヤ・第三章 遍路歴程・12
『「さ」すけ村・1』
        

 

 

 ここも大概だけどお隣もね……

 

 味噌天神のお味噌汁を飲み干すと、ポツンとこぼす虚空蔵菩薩さんだ。

 厨房では菅原道真さんがマヤと同じような微笑みを浮かべている。

「さすけ村へは電車で行ったほうがいいかもしれない」

「どうしてですか?」

 さすけ村は味噌天神の裏手から峠を越えればすぐだ。駅まで戻って電車を待っていると一時間以上のロスになる。ロケーション的にも峠を周って行った方が面白いように思える。

「そうか、堕天使さんなんだ、大丈夫だよね」

 笑顔で訂正すると、道真さんといっしょにお店の前に幟を出し始めた。

――名物 知恵味噌ランチ――

 黄色地に朱色という食欲をそそりそうな幟が数十本立てられ、ポールの上の『味噌天神』の文字の横には『民芸レストラン』の文字が付けられて、文字通り幹線道路沿いなどにあるファミレスのようなしつらえになってきた。塀が胸の高さのところまで下がって来たかと思うとクレープ屋とたこ焼き屋とホットドッグ屋のカウンターが現れた。

 甘味噌クレープとか味噌たこ焼きとか味噌カツドッグとか、メニューだけ見たら引いてしまいそうだけど、下準備が終わっていたのだろう、じきにお味噌の焦げるいい匂いが漂い始めた。

「みそ汁はディスペンサーで無料サービスなんだ」

 これだけいい匂いがしていたら、よっぽどの味噌嫌いでなければ立ち寄るだろう。

「お味噌は知恵にいいんですよね?」

 自分が美味しくいただいたので、効能があるに違いないと恵美が聞く。

「知恵のご利益を半分にします」

「ええーー半分に!?」

「付きすぎた知恵は毒です、だから、ここに吸い寄せてご利益を半減させるんですよ」

「じゃあ……わたしの知恵も半減しちゃうんですか!? お参りとかしてないから、今ある知恵はデフォルトなんですけど!」

「それは大丈夫、半減は虚空蔵菩薩で得たものだけだから」

「そうなんだ、じゃ、行きますか!」

「ごちそうさまでした」

 

 お礼を言うと、二人は峠周りでさすけ村を目指すことにした。

 手入れの行き届いた森を抜けると、道はゆるやかな下り坂。どうやら峠を越えた。

「虚空蔵さんが言うほど大変じゃなかったね」

「ですね、あたしたちが丈夫になったのかな(^▽^)/」

 

――ここよりさすけ村――

 

 標識を過ぎてビックリした。

 SASUKEに出てきそうなスポーツエンタティンメントの設備がズラリと連結されて並んでいる。

 どうやら、これをクリヤしなければ村には入れてもらえないような雰囲気だった。

 

 

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高校ライトノベル・🍑・MOMOTO・🍑デブだって彼女が欲しい!・18『最新の鞄やろー!・2』

2019-01-24 06:02:33 | ノベル2

🍑・MOMOTO・🍑デブだって彼女が欲しい!

18『最新の鞄やろー!・2』  



 旧演劇部の部室にはロッカーがある。

 単なる隠れ家に使っていたので、ロッカーには興味は無かった。
 でも、『山のようなインナー(取り扱い注意)』という妙な芝居で、県大会で一位になっていたこと、小道具に山のような女物の下着を使っていたこと、そして「最新の鞄やろー!」という暗号に俄然興味がわいた。

 ロッカーの中には、まだ演劇部が存在していたころの台本や日誌が入っていた。

 その中から『山のようなインナー(取り扱い注意)』という台本と、県大会で一位になった年の日誌を取り出して部室を出た。
「ちょっと、息が詰まりそうだったわね!」
 部室を出ると、桜子は盛大に息を吐いて、制服の胸をパカパカやった。桜子ほどではないけど、オレも八瀬もうっすらと汗をかいていた。なんせ、軽のワンボックスカーほどしかない部室に三十分以上三人でいたのだ、軽い酸欠にもなる。
「四人分よ! 桃斗一人で二人分はあるでしょ!」
「百戸一人に、ほとんどの酸素吸いつくされたぜ」
 桜子も八瀬も容赦がない。

 桜子は台本を、八瀬は撮りまくった部室の写メを、オレはクラブ日誌を持って帰った。

 久々に三人揃って帰ろうということになった……とたんにメールが入ってきた。
「残念……二人で帰ってくれ」
「なんだ、彼女からか?」
「んなワケねーだろ! 親父だよ親父!」
 夜、三時間ほど空いたので、三人で食事をしようというメールだった。

 駅のホームは桜子と八瀬の向かい側になった。何とも寂しい。

 部室の中では、あれこれ探すのに夢中だったけど、ごく近くで桜子を感じていたことを思い出す。
――そういや、瞬間だけど桜子に触ったなあ――
 ロッカーを開ける時に、左の肘が、桜子の柔らかい胸に触れた。今になってドギマギする。
 気づくと、向かいの桜子と八瀬の姿が無い。電車の尻が遠ざかっていく。

 隣の駅の改札で、親父とお袋と待ち合わせ。

「新しい店を見つけたんだ、さ、行こう」
 親父は、そういうとスマホのナビを開いた。

 ナビに変わる寸前、一瞬マチウケ画面が見えた。
 桃の入学式、入学式の看板の前で撮った桃のアップ。葬式の日、桃の遺影に使ったやつだ。
 入学式では、いっぱい写真を撮った。一枚だけ、ちょっと実年齢より上に見えるのがあって、桃のお気に入りだった。
「高校生に見えるね!」
 桃は、その画像を細工して高校の制服にしてしまった。
「三年たったら、この制服だね!」
 喜んでいたけど、桃は、この制服を着ることなく、一か月後には帰らぬ人になってしまった。
「ちょっと、この子だれよ!?」
 一度マチウケを見られて、桜子に詰め寄られたことがる。
「スタイルもルックスも、良すぎ! ん? 組章……うちのクラス!? ちょっと桃斗!」
「それ、桃だよ」
 答えを言うと、桜子はビックリした。
「桃ちゃんて、美人になるよ! スタイルもイケて……あ、これはハメこみか!」
 そのあと桃に聞くと、桃は、こう言った。
「首から下は、桜子さんだよ」
 オレは、桜子と桃の両方を見直した。

 そんなことをポワポワ思っているうちに親父とのディナーが終わった。

「なかなか美味いフランス料理だった!」
「ハハ、桃斗は味オンチだなあ、今のはイタリア料理だぞ」
「ホホ、ほんと、この子ったら」
「アハハ」

 笑っておいたが、何を食べたか覚えていなかった……。

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