『カスタムアイドルは進化する』
ゲームには著作権がある。
当たり前だが、ユーザーが勝手に改変したり、改変したものをアップロードすることは違法なのだ。
「砲雷長、まずいんじゃないかな……」
井上多聞補給長は眉間にしわを寄せて砲雷長に呟いた。
呟いてはいるのだが、コーヒー片手に明後日の方を見ながらなので、山本砲雷長は笑ってしまう。
「笑ってる場合じゃないと思うんだが……」
「申し訳ない、ひょっとして『かすたむアイドル』のこと?」
「ああ、みんな好き勝手にいじり始めてる」
たこ焼きと並んで『カスタムアイドル』はブームになっている。
自分の好みでバーチャルアイドルをカスタマイズし、ライブで歌わせて、その優劣を競うというゲームだ。
ツクヨミ激突事件で沈滞した艦内の空気を変えようと、砲雷長が元職のゲームクリエーターに戻って作った。カスタムしたアイドルにはAIが搭載されていて、ユーザーとの会話や育成で成長していく。
歌って踊って会話が出来る!
ユーザーの乗組員たちは、歌って踊るだけではなくて、格闘やシューティング恋愛趣味レーションの要素など、他のゲームと融合させて楽しみ始めた。
機関科ではグランツーリスモと融合させ、レースに余念がない。砲雷科ではシューティングゲームに、補給科ではシムシティーとAトレインの要素が入って壮大な都市経営と人生のシミレーションが流行っている。
他にも分隊や科の枠を超え、ADVやRPGのようになってしまったものもある。
補給長がビックリしたのは、アイドル達をヌードダンサーに特化させ、ストリップの技量を競ってたことだ。
「ちょっと、これじゃ……」
補給科の乗員に言うと「そうですか……」という真摯な答えが返ってきて、さすがは自分の部下!と喜んだ。
しかし、二時間後に覗いてみると、殺しや犯罪なんでもありというゲームに変わってしまい、部下たちは喜々として「死ね!」「殺せ!」「ファック!」などと言いながらコントローラーをカチャカチャやっているではないか!
砲雷長は可笑しくなった。
補給長の目くじらの立て方が、いかにも学校の先生なのだ。
ゲームの中身に不満があるくせに著作権の問題にすり替え、砲雷長に抗議しているのだ。
だが砲雷長はニコニコ笑っているだけだ。
「著作権フリーのゲームよ、それに乗組員の子たちがどう変化させるか楽しみじゃない」
手の空いた航海長がスマホを操作しながら二人の会話に加わった。
「航海長も!?」
補給長は目をむいた。
「見てよ、これ」
「こ、これは……!?」
スマホの画面には首から上はアイドル時代の中村清美、華奢な小顔がツンツンしていてスレンダーなボディーは――保護してあげなきゃ!――とファンをキュンキュンさせる萌え萌えであったものが、なんと、ストリートファイターの春麗のごときイカツサなのだ!
「メガっさ強いのよ、HPもMPも限界突破でさ、あたるとこ敵なしよ!」
「すごい素子さん! ゲーム設定解析しまくらなくちゃ限界突破設定できないんだよ、それも最初の一人一回ポッキリなんだぜ!」
「へへ、伊達に航海長やってないわよ」
「し、しかし、小動物がごときアイドルの体をキングコングのようにするのは……し、しょ、肖像権の侵害じゃ!?」
補給長は涙を浮かべ拳を震わせているではないか!
「え……井上先生、ひょっとして……キヨミスト?」
「え、あ、そ、それは……と、とにかく、だ、ダメです! 校則違反です!」
補給長は真っ赤な顔をして食堂を飛び出して行ってしまった……。
当たり前だが、ユーザーが勝手に改変したり、改変したものをアップロードすることは違法なのだ。
「砲雷長、まずいんじゃないかな……」
井上多聞補給長は眉間にしわを寄せて砲雷長に呟いた。
呟いてはいるのだが、コーヒー片手に明後日の方を見ながらなので、山本砲雷長は笑ってしまう。
「笑ってる場合じゃないと思うんだが……」
「申し訳ない、ひょっとして『かすたむアイドル』のこと?」
「ああ、みんな好き勝手にいじり始めてる」
たこ焼きと並んで『カスタムアイドル』はブームになっている。
自分の好みでバーチャルアイドルをカスタマイズし、ライブで歌わせて、その優劣を競うというゲームだ。
ツクヨミ激突事件で沈滞した艦内の空気を変えようと、砲雷長が元職のゲームクリエーターに戻って作った。カスタムしたアイドルにはAIが搭載されていて、ユーザーとの会話や育成で成長していく。
歌って踊って会話が出来る!
ユーザーの乗組員たちは、歌って踊るだけではなくて、格闘やシューティング恋愛趣味レーションの要素など、他のゲームと融合させて楽しみ始めた。
機関科ではグランツーリスモと融合させ、レースに余念がない。砲雷科ではシューティングゲームに、補給科ではシムシティーとAトレインの要素が入って壮大な都市経営と人生のシミレーションが流行っている。
他にも分隊や科の枠を超え、ADVやRPGのようになってしまったものもある。
補給長がビックリしたのは、アイドル達をヌードダンサーに特化させ、ストリップの技量を競ってたことだ。
「ちょっと、これじゃ……」
補給科の乗員に言うと「そうですか……」という真摯な答えが返ってきて、さすがは自分の部下!と喜んだ。
しかし、二時間後に覗いてみると、殺しや犯罪なんでもありというゲームに変わってしまい、部下たちは喜々として「死ね!」「殺せ!」「ファック!」などと言いながらコントローラーをカチャカチャやっているではないか!
砲雷長は可笑しくなった。
補給長の目くじらの立て方が、いかにも学校の先生なのだ。
ゲームの中身に不満があるくせに著作権の問題にすり替え、砲雷長に抗議しているのだ。
だが砲雷長はニコニコ笑っているだけだ。
「著作権フリーのゲームよ、それに乗組員の子たちがどう変化させるか楽しみじゃない」
手の空いた航海長がスマホを操作しながら二人の会話に加わった。
「航海長も!?」
補給長は目をむいた。
「見てよ、これ」
「こ、これは……!?」
スマホの画面には首から上はアイドル時代の中村清美、華奢な小顔がツンツンしていてスレンダーなボディーは――保護してあげなきゃ!――とファンをキュンキュンさせる萌え萌えであったものが、なんと、ストリートファイターの春麗のごときイカツサなのだ!
「メガっさ強いのよ、HPもMPも限界突破でさ、あたるとこ敵なしよ!」
「すごい素子さん! ゲーム設定解析しまくらなくちゃ限界突破設定できないんだよ、それも最初の一人一回ポッキリなんだぜ!」
「へへ、伊達に航海長やってないわよ」
「し、しかし、小動物がごときアイドルの体をキングコングのようにするのは……し、しょ、肖像権の侵害じゃ!?」
補給長は涙を浮かべ拳を震わせているではないか!
「え……井上先生、ひょっとして……キヨミスト?」
「え、あ、そ、それは……と、とにかく、だ、ダメです! 校則違反です!」
補給長は真っ赤な顔をして食堂を飛び出して行ってしまった……。