爺が、親父の山に咲いていたからと、きれいに咲いた桜を持ってきた。台風で葉っぱが落ちて、春とまちがって咲くのだという。
7年前に亡くなった義父の山は、10年以上も手入れがされていないので、台風で杉の木はたくさん倒れ、雑木は見上げるほど大きくなって杉の木をおびやかし、イノシシの仕業と思われる掘り返しで足元は危なげだったそうだ。
爺は昨年の末頃から、時間をみつけては、兄弟の力を借りて、荒れた登り坂を整備し、倒木を始末し、土砂崩れを誘発しないように足元の穴をならした。
クヌギの木があったので伐採して、本を頼りに初めての椎茸の種駒を打ち、湿度や、温度の管理をして,椎茸の頭の出てくる日を待っている。
大まかの整備が終わっても、山の空気が自分に合っていると言って、今でも通い続けているが、先日は蜂に刺されてショックだったと言っていた。
春の筍はすべてイノシシが先に食べてしまっているし、実のなる木も全部猿に食べられてしまうらしい。山に登っていくと、すぐ近くでイノシシの鼻息が聞えることもあると言う。
それでも、少々危険でも、汗を流した後に山の空気の中で食べる弁当は「うめえ~」そうだ。こんな余暇の過ごし方もあっていいものだなあと、私にはできないだけに、少々うらやましい山の話である。