豊かな人生とは……
イタルさんは何でもできるけど、家族に甘えて何もしない人だった。
ジョージ秋山の『浮雲』のように、ほのぼのと幸せに暮らしていた。
僕はこのマンガが好きだった。
昔、テレビの連続ドラマにもなった。
酒と女の人が好きで、落ち葉で焼きいもなんかして、いつもボケーとしている。
無駄なことや、くだらないことに夢中になっている。
豊かな人生には本当は、無駄なことや、くだらないことが大切なんだ。
「それでもやっぱりがんばらない」より
鎌田 實著 集英社 2005年刊 第一刷
若い時、彼は仕事があれば休日を返上しても、会社に出て行った。
定時に退社することなんか皆無に等しかった。
気力があり、仕事が面白く、そうして続けることによって仕事に対する自信も出てきた。
仕事は彼の全てだった。
やがて彼は「うつ」になり、職場の仲間たちがそのことに気づき、
しばらく、戦線から退いた。
張りつめた弓のように、緊張した日々。
結局彼は、そのような生活を維持することで、
大切な何かを忘れてしまったのだ。
人の気持ちを思いやることができなかった。
だから、「本当は無駄なことや、くだらないことが大切なんだ」という言葉が、
今は、とてもよく理解できるようになった、と彼は穏やかに言うことができるようになった。
ことの葉散歩道(2) メモ№2より
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