哀歌 翔よ!! (7)
やっと巡り会えた
照明の落されたコンサート会場の予約席に座った。
レストランの会場は、30席ぐらいのこぢんまりとした落ち着いた雰囲気で、
静かな時間がゆったりとたゆたっていました。
6月の梅雨に入る少し前の最初の日曜日の午後、
私は、異質な観客として、照明を落とした会場にいた。
浜田正さんの「歳を取るのもいいもんだ」。
昨年の12月に、14歳の孫翔を事故で失くしてしまった。
その翔が好きだった歌「歳をとるのもいいもんだ」。
やっとその歌に巡り会えた。
「あいつが好きだった歌だが、告別式の葬送の歌には使いたくない。
あまりにも悲しくて……」。
耳にこびりついて離れない翔の父親の言葉。
この会場に来て、「やっとあえるよ!お前の好きだった曲に」胸の内で何度も繰り返し、
翔にささやきかけた。
浜田正さんの元気な歌声が会場に満ち、会場の雰囲気が一気に盛り上がってくる。
同時に私は、こみあげてくるものを必死でこらえながら、
「翔、お前の気持に少しだけ近づくことができたよ」と語りかけた。
「この短い時間を、おまえと共有できたことをとても幸せに思うよ」。
今日のこの日をセッティングしてくれた、
熊谷様、浜田様、そして大貫夫妻に感謝し、
「お前の優しさが、きっといろいろの人たちと、私たちを結びつけてくれるのだね」と、
星になった翔にささやきかけます。
みなさん本当にありがとうございました。
今日は翔の月命日です。
「歳をとるのもいいもんだ」を聞きながら、楽しかった日々を思い起こしています。
(2014.6.8)
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